コンテンツパブリッシングプラットフォームのMediumが、Projectorという小さなスタートアップを買収する。これにともない13人のProjectorチーム全員がMediumにジョインし、Projectorの共同創業者でCEOのTrevor O’Brien(トレボー・オブライエン)氏がMediumの最高製品責任者になる。
Projectorについてご紹介しよう。同社はブラウザベースのグラフィックデザインツールを開発してきた。ポッドキャストのアートワーク、Facebookイベントのロゴ、Instagramのストーリーといったソーシャルの投稿に使うグラフィックスをわずか数回のクリックで作れる。
プロ級のデザインスキルがなくても、Projectorのテンプレートライブラリを利用し、テンプレートの画像とテキストを置き換えて自分のグラフィックスにすることができる。
ProjectorでアニメーションGIFやプレゼンテーションを作るユーザーもいる。他の人と一緒に作業をしたい場合はリアルタイムでコラボレーションできる。完成したら、プレゼンテーションやデザインをリンクで共有する機能もある。
Mediumは買収の条件を明らかにしていないが、Projectorは10万人のユーザーを抱え、3回の資金調達ラウンドで2300万ドル(約26億2000万円)を調達した。Projectorには、Upfront Ventures、Mayfield Fund、Foundry Group、Upside Partnership、Homebrew、Mantis VC 、Van Wickle Venturesが投資した。Mark Suster(マーク・サスター)氏とRishi Garg(リシ・ガルグ)氏がProjectorの経営陣として参加した。
Projectorの共同創業者でCEOのオブライエン氏はこれまでにCoda、Twitter、YouTubeでプロダクトチームを率いてきた。同氏がMediumの最高製品責任者になるが、Mediumには今回の買収まで最高製品責任者はいなかった。
Projectorの共同創業者でエンジニアリング担当VPのLuke Millar(ルーク・ミラー)氏は、Mediumのエンジニアリング担当VPになる。
オブライエン氏は「Mediumは、長期的にはProjectorを独立したプロダクトとして運営し続けることはありません。Mediumのコアのプラットフォームに集中し、Projectorのテクノロジーと専門性を活かして世界有数のクリエイターツールと読者のエクスペリエンスを構築します」と述べている。
さらに同氏は「Projectorは、既存のお客様が今後の利用を停止し、停止前に作品を書き出せるようにするために、2022年3月まで運営を続けます」と補足した。
MediumがProjectorの実績を今後活用していけば、ユーザーが自分のMediumサイト、投稿、ニュースレターをカスタマイズするデザイン機能の充実が期待できるだろう。リアルタイムのコラボレーション機能も増えるかもしれない。
Mediumの投稿エディタは多くのコンテンツマネジメントシステムからヒントを得て、すっきりとした直感的なデザインになっている。Mediumが文章だけでなくさまざまなメディアのコンテンツにも同様にデザインを重視したアプローチをとるか、注目される。
画像クレジット:Medium
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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)