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変換効率23.9%。EPFLが次世代の太陽電池「ペロブスカイト」製造で新技術!

次世代太陽電池材料の候補として有力なペロブスカイト。低コストで製造できて折り曲げることも可能といったメリットを備えています。

エネルギー変換効率に関しても、昨年Oxford PVが29.52%の記録を打ち立てるなど、すでにシリコン系太陽電池をしのぐほどに。安定性に課題が残っていましたが、このほどスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)らの研究チームが、これを克服する技術を開発したようです。

同技術により、エネルギー変換効率23.9%で1000時間以上安定稼働するペロブスカイト太陽電池が実現しています。

ペロブスカイトは製造過程の課題が

ペロブスカイトは、ハロゲン化金属と有機物から作られるハイブリッド化合物です。今回の研究では、ヨウ化物ペロブスカイトに焦点が当てられました。

ペロブスカイトの優れた集光性を生かすには、その製造過程で集光面の欠陥を取り除くことが重要です。その際、ペロブスカイト膜の表面をコーディングして、耐性と安定性を高める「パッシベーション」と呼ばれる方法を用いています。

この処理では、一番目のペロブスカイト光吸収材の上に2次元ペロブスカイト層が追加されることに。ただしパッシベーションにより、電荷が移動しないペロブスカイト層が形成されてしまうことがあり、太陽電池実用化の妨げになっていました。

大面積ペロブスカイト太陽電池の製造も

研究チームは、ヨウ化物PDEAI2(フェニレンジエチルアンモニウム)のさまざまな異性体(含まれる分子の種類は同じだが配置が異なる化合物)で、2次元ペロブスカイト層の形成に有効なものを調べました。

結果、最も有効なPDEAI2異性体は、最も立体障害(分子の構成要素がぶつかることで化学反応などに制限が生じる)があるものと判明。この知見を生かして製造されたペロブスカイト太陽電池で、高いエネルギー変換効率と安定性が示されたかたちです。

エネルギー変換効率23.9%、1000時間以上稼働するペロブスカイト太陽電池のほかにも、26cm2のアクティブエリアを持つペロブスカイト太陽電池モジュールで、21.4%のエネルギー変換効率を達成。これは大面積化が難しいペロブスカイト太陽電池において、記録的なエネルギー変換効率となります。

参照元:3D chemistry boosts perovskite efficiency to 23.9%/ EPFL News

(文・山田洋路)

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