株式会社ゼンリン(以下、ゼンリン)は、長野県伊那市(以下、伊那市)と、中山間地域における買い物支援をドローンで実現する新たな公共配送サービスを開始。狭隘な河川上空を“空の道”として整備することで、ドローンの安全かつ長距離の飛行を実現しました。
ドローン配送システムで、買い物困難者支援や地域経済振興を目指す
近年、伊那市では人口減少や少子高齢化の進行に伴い、物流や交通機能の低下が見られる地域がありました。特に中山間地域の高齢者を中心に、日用品の買物困難者の増加が見られたといいます。
そこで、安全かつ長距離のドローン配送システムを構築することにより、中山間地域における買い物困難者の支援や、地域経済の振興を目指すことにしたのです。
2020年8月より実施されている自治体運営のドローン配送サービスでは、利用者がケーブルテレビの画面や電話で商品を注文。配送元となるスーパーでは、注文をもとに商品のピッキング作業を実施。サービス担当者がスーパーで商品を引き取った後に、道の駅「南アルプスむら長谷」のドローンポートへ赴き、商品の配送を開始します。そしてドローンは空の道を利用し利用者宅周辺の着陸地点へ。到着次第、各地区のボランティアがドローンから商品を受け取り、利用者宅へ届けます。
今回、10km以上の長距離飛行が実現したことで、新たに市野瀬、杉島の2つの地区でも、ドローン配送サービスを利用できるようになりました。
ドローンの安全かつ長距離の飛行を支援
2018年より、河川上空をドローン配送航路とし、中心市街地と中山間地域の配送拠点を結ぶ「INAドローン アクア・スカイウェイ事業」の開発・実証を進めてきたゼンリンと伊那市。
本サービスは、高精度な3D地図データを活用することで、伊那市長谷地区を南北に流れる三峰川と美和湖上空域をドローン専用の空路とした“空の道”を形成。建物や障害物を回避した河川上空でのルート生成により、ドローンの安全かつ長距離の飛行を支援します。
また、「衝突判定アプリ」を利用することで、飛行ルート付近の障害物の有無をドローンの離陸前に確認可能です。
使用されるドローンは、「PD6B-Type3C」。バッテリー型ドローンにおける、長距離飛行が可能な高水準モデルを採用しました。さらに、機体軽量化を実現したことで、飛行可能距離が従来の10kmから12kmへと20%増加しています。
(文・和泉ゆかり)
- Original:https://techable.jp/archives/166799
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:izumiyama