そこで研究グループでは、高温超伝導線の薄膜状の超伝導体を細いフィラメントに分割(マルチフィラメント化)することで、磁束量子線の移動距離を短くして交流損失を小さくした。さらに、フィラメントに短い部分があるなどして超伝導状態が破られないよう、銅メッキを施して電流が問題部分を迂回できるようにした。こうすることにより、標準的な薄膜高温超伝導線に比べて交流損失は約1/20に抑えられた。
現在、研究グループでは、この銅メッキした超伝導フィラメントを細い芯のまわりに螺旋状に巻きつけることで、数十mにもなるマルチフィラメント薄膜高温超伝導線「SCSC」(ダブルSC)ケーブルの開発を進めている。SCSCケーブルを使うことで、より高い密度で交流電流を流せるコイルが実現する。そうなれば、軽量コンパクトで大出力なモーターを作ることができるため、船舶や航空機の電動化や、風力発電機の軽量化による大容量化など、脱炭素に貢献できるとのことだ。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/11/17/kyoto-univ-superconducting-wire/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:tetsuokanai