サイトアイコン IT NEWS

「OK Google」から始まる新たなカーライフ!ボルボ「XC60」は各種機能をAndroidで操作

グローバル市場において、今、ボルボのラインナップで最も売れているのが「XC60」。同車はメルセデス・ベンツ「GLC」やBMW「X3」、アウディ「Q5」、レクサス「NX」辺りをライバルとするミドルクラスSUVだ。

そんなXC60のマイナーチェンジモデルが、先頃、日本に上陸した。果たしてボルボの売れ筋モデルは、どんな進化を遂げているのだろうか?

■安全性だけでなく先進性においても世界をリード

XC60のマイナーチェンジモデルにおける大きなトピックは、現行車で初めてエクステリアデザインに手が入ったこと。シンプルな形状となったフロントのバンパー&グリルや、エキゾーストパイプを裏側に隠したリアバンパー、そして、アルミホイールなどのデザインがリファインされている。

インテリアでも、メーターパネルやオーバーヘッドコンソールのデザインが変わったほか、センターコンソールに存在していたドライブモード切り替えダイヤルがなくなり、タッチパネル操作に組み込まれるなどの変更が施された。

また先進安全装備には、“先行車発進告知機能”と“リヤ衝突回避・被害軽減ブレーキ・システム”を新たに追加。前者は停車中に前のクルマが動き出したことを音とメッセージでドライバーに伝える機能で、後者は車庫入れなど低速後退時に衝突しそうになるとブレーキを介入させて衝突回避をサポートするというものだ。

パワートレーンは3種類を設定。いずれも2リッター4気筒で、「B5」はターボエンジン(250馬力)に小型モーターを加えたマイルドハイブリッド、「B6」はターボとスーパーチャージャーによるダブル過給エンジン(300馬力)に小型モーターを加えたマイルドハイブリッド、そして「T8」はターボ+スーパーチャージャーのダブル過給エンジン(318馬力)に、大型モーターと外部充電可能な大型バッテリーを組み込んだプラグインハイブリッドとなる。いまやボルボは、EV(電気自動車)を除けば全車ハイブリッドというモデル構成なのだ。

ボルボといえば、かつては“頑丈で安全なクルマ”というイメージが強かったが、今ではそれに加えて、先進性においても世界をリードしようとしている。全車両がモーターを組み込んだ電動車というのもその一環だし、2021年3月には「世界の自動車メーカーに先立ち、2030年には販売するすべてのモデルをEVにする」と宣言している。2030年まで残された時間はわずか9年しかないが、「環境を守るためになんとしてでも実現する」と、未来へ向けたロードマップを敷いている。

このようにボルボは、グローバル販売台数が年間70万台ほどという小規模メーカーながら、先進性において自動車業界の先頭を走ろうとしているのだ。

■ナビや音楽だけでなく車両設定にもGoogleを活用

そんなボルボを象徴する機能が、新しいXC60に搭載された。Googleとのコラボレーションにより、スマートフォンでお馴染みのOS=Androidをベースにしたインフォテインメントシステムが採用されたのだ。もちろん、クルマのOSにAndroidを組み込んだのは世界初である。

このシステムは、クルマにAndroidのタブレット端末(と通信機能)が組み込まれ、そのタブレットを通じて車両の各種機能を操作する仕組み、と考えれば分かりやすい。しかも、お馴染みのナビゲーションアプリ「Googleマップ」だけにとどまらず、オーディオやエアコン、さらには各種機能といった車両側の設定まで、Androidをインターフェースとしている点が新しい。

そのメリットは、なんといっても音声操作の充実だ。ご存知のように、いまやスマホの音声認識精度は目を見張るものがあり、「自宅までの道を教えて」といえばナビを設定してくれるし、「6時に目覚ましをセットして」といえばタイマーをセットしてくれる。さらには、「ボルボの特徴を教えて」といったあいまいな質問をしても、求められている答えを高度に判断し、的確な回答をしてくれる。

こうした音声入力を活用することで、ドライバーは運転に集中したまま音楽の選択やナビ目的地の設定、さらには、これから出掛ける先での周辺情報の下調べだって、ハンドルを握ったまま行えるようになる。スマホ利用者の多くが実感している便利かつ直感的なやりとりをクルマの操作でも実現するのだから、便利なことこの上ない。

ちなみに、XC60に搭載されたAndroidは、現時点では英語のみの対応となっているが、2022年の早い段階には、すでに納車された車両も含め、日本語対応にアップデートされるという。そこからが、Googleを内蔵したXC60の本領発揮といえるだろう。

■最新のXC60は夢の「ナイト2000」に近づいた!?

そしてもうひとつ、新しいXC60で注目したいのがGoogleとの連携機能だ。

Googleアカウントをスマホなどと同期可能で、普段からGoogleの各種アプリを活用している人は、スマホで設定した目的地履歴などがカーナビにも自動で反映されるため、目的地設定の手間を省ける。

それと同様、アプリをダウンロードすれば、スマホと同じ環境が車内でも同様に使えるのも便利。例えば、Googleカレンダーとの連携により、「今日はどんな予定がある?」といった質問にだってクルマが答えてくれるのだ。

さらに、インターネットで操作できるスマート家電と対応アプリを組み合わせれば、クルマから音声操作で家電をコントロール可能。例えば、これから来る寒い日などは、自宅に着く前に音声でリビングのエアコンをオンにしておけば、部屋に入ってから寒い思いをしなくて済む。車内空間と自宅とをシームレスに融合してくれるのだから、なんとも未来的である。

そんな最新のXC60をドライブして実感したのは、クルマはまた少し「ナイト2000」に近づいたということ。1980年代のアメリカのドラマ『ナイトライダー』に登場した超先進的なクルマが、まもなく現実のものになろうとしている。

ちなみに今後はボルボに限らず、BMWやホンダなども車両にGoogle OSを組み込むことを表明済み。「OK Google」から始まるクルマとの新しいコミュニケーションが、これから広く普及していくことだろう。

<SPECIFICATIONS>
☆リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスプリクション
ボディサイズ:L4710×W1900×H1660mm
車重:2160kg
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ターボ+スーパーチャージャー+モーター
エンジン最高出力:318馬力/6000回転
エンジン最大トルク:40.8kgf-m/2200~5400回転
フロントモーター最高出力:46馬力/2500回転
フロントモーター最大トルク:16.3kgf-m/0〜2500回転
リアモーター最高出力:87馬力/7000回転
リアモーター最大トルク:24.5kgf-m/0〜3000回転
価格:959万円

>>ボルボ「XC60」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

【関連記事】
昔も今もボルボはロングドライブがラク!「XC90」で300km走って分かったその理由

見るからに速そう!スポーティな見た目と強心臓でボルボ「V60」の魅力が再燃

ディーゼル車でも走りは刺激的!BMW「X3」Mパフォーマンスは驚きの連続です

モバイルバージョンを終了