Teslaがドイツのベルリン近郊に設立を計画していたバッテリー工場について、主要プロジェクトの遅延により、補助金11億ユーロ(約1,408億円)の放棄を余儀なくされることが分かりました。
計画遅延と変更で補助金断念
もともとTeslaは、EUの電池産業の発展を目的として設立されたプログラムに基づいて、11億ユーロの補助金を申請していました。
しかし、この補助金はあくまでも申請されたドイツのブランデンブルク工場で「最初の産業展開」を行う場合のみ、支払われることになっています。つまり、Teslaは他の工場で電池を先に製造してはいけないのですが、ブランデンブルク工場で生産されるのは電池ではなく電気自動車だっため、法的異議申し立てがEUから出されていました。
その結果、工場の開所が数カ月遅れ、さらには電池の生産を他の場所で始める可能性が高くなったため、11億ユーロの莫大な補助金は受け取ることができなくなりました。
ドイツ政府はこの事実を認め、Teslaがもはや補助金を求めていないことを明らかにしました。「Teslaが使用しなかった国の補助金は、他のプロジェクトに使用できるようになった」。もっとも時価総額が1兆ドル(約113兆円)を突破したTeslaにとって、1,000億円の補助金は微々たる金額なるのかもしれません。
Teslaの本命は上海工場?
ドイツの工場は補助金を受け取れず終いとなりましたが、それ以外の国でもTeslaは補助金を武器にして、海外で工場を意欲的に展開しています。最も注目されているのは、中国上海の自動車工場でしょう。
2019年末に生産が始まった上海の拠点は、現時点で年間45万台の自動車を生産することが可能です。これはTeslaが昨年世界で販売した自動車の数にわずかに及ばない程度で、理論上は上海だけでほぼ大半をまかなえてしまう計算です。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)によれば、上海の拠点はすでに米カリフォルニア州フリーモントにある工場よりも多くの車両を生産できるとのことです。さらに同社は、約12億元(約210億円)を投資して、工場の生産能力を増強し、従業員を15,000人から19,000人へと増やすのですから驚きです。
Appleの電気自動車はどうなる?
ちなみに電気自動車の生産に意欲的なのは、Teslaだけではありません。AppleやHuawei、Xiaomiなど、スマートフォン業界で強い存在感を放ってきたメーカーが、続々と電気自動車や自動運転車といった分野への参入に意欲を強めています。
Appleは現時点で公式に明らかにしていないものの、TeslaのマスクCEOに言わせれば、開発は「公然の秘密」とのことで、Apple Carは数年以内の登場が予測されています。なお、投資銀行Morgan Stanleyによると、Apple Carは個人所有ではなく共有サービスになる可能性もあるとのことで、技術だけでなく所有の概念にも革命を起こすことが期待されています。
Source:Ars Technica
Photo:Tesla
(kihachi)
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- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania