近年、労働力不足や非接触ニーズの拡大などにより、リモートによる接客・商談が増えています。その中で、「接する相手の感情が分かりにくく、提供する情報や商談完了のタイミングなどが判断しにくい」といった課題が浮上しているようです。
そこで大日本印刷株式会社(DNP)は、リモート接客中の顧客の声からAIが感情を解析し、接客中のスタッフに結果を伝えるシステムを開発。同社が提供している「DNP遠隔接客支援サービス」にもこのシステムを組み込み、より効果的な接客・商談を支援するサービスを展開する見込みです。
顧客の感情を9つに分類
結果として、正直・本心、高い期待、興奮、恥じらい、確信が持てない・自信がない、ストレス、緊張、強い興奮、より高いストレス、という9つの感情を推定し、接客中のスタッフが扱う情報端末に表示するという流れです。スタッフは表示された結果を「顧客の発言の信憑性」や「現状の心境」などを察知するためのひとつの指標とし、より効果的な接し方を検討することができます。
なお、感情の解析は会話の録音・録画をせずにリアルタイムに実行されるため、個人情報の管理に配慮した運用が可能となるでしょう。
リモート接客をトータルでサポート
DNPは2019年より、ビデオ通話などによるリモートの接客・商談を支援する「DNP遠隔接客支援サービス」を提供中。これは、コンタクトセンターにいるコンシェルジュと店舗に設置したタブレット端末をつなぎ、コンシェルジュが店頭の販売員に代わって、映像や音声を通じてリアルタイムに接客するというサービスです。
複数の店舗を同時に接続できることや、パワーポイントなどの資料をタブレットに表示しながら接客できることで、業務負荷の平準化や機会損失の防止、売上向上につながるといいます。
同社は、この「DNP遠隔接客支援サービス」の他、接客専門スタッフの派遣・育成、接客時に必要なコンテンツの作成、接客の効果分析などの事業も展開中。リモート接客における課題を解決する一気通貫のサービスを提供しています。
今回開発されたシステムを「DNP遠隔接客支援サービス」に組み込み、これまで不明瞭だった顧客の感情にスポットを当てることで、より効果的な接客が実現するかもしれません。なお同システムは、他社のリモート接客システムや機器に対しても、特別な仕様に変更することなく導入可能です。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/167696
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口