インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、人間の「部屋の片付けの好み」を学ぶことができる機械学習ツールを開発しました。
「片付けの好み」を学習
近頃、すっかり私たちにとって身近な存在となった家庭用ロボット。インペリアル・カレッジ・ロンドンのRobot Learning Labの研究チームは、ロボットがユーザーの「好みに合わせた方法」で家を片付けることができる機械学習ツール「NeatNet」を開発。
「誰もが、自分の家は自分だけのユニークな方法で片付けるものです。これは、居住者が左利きか右利きかや、美的センス、習慣、さらには文化的背景にも影響されているのです」と、同大学のEdward Johns博士は話します。 「私たちは、ロボットが自分の家をパーソナライズされた方法で片付けることができるように、『家をどのように片付けるか』についての人々の好みを学習する方法を開発しました」。
「NeatNet」を使用すると、ロボットは、家の中の家具や雑貨がどのように配置されているかを観察するだけで、ユーザー独自の片付けの好みを学習することが可能。ロボットは、観察し学習した設定条件をガイダンスとして使用し、ユーザーの好みを反映する形で家を片付けることができます。
シーンをグラフとしてモデル化
例えば、仕事机を片付ける際にどのような方法が考えられるでしょうか? 見た目をスッキリさせるために細かい物を全部引き出しの中に整理したいと思う人もいれば、すぐに何にでも手が届くように、ある程度物を机の上に置いておきたい人もいるでしょう。
「NeatNet」を搭載したロボットは、こういった人の「好み」を学習し、それに応じた片付け方をするといいます。同大学によると、この機械学習モデルはNetflixやYouTubeといった、ストリーミングプラットフォームで使用される機械学習ツールからインスピレーションを得ています。つまり、ユーザーの過去の行動の履歴を学習することで、新しいコンテンツを推奨する機械学習と同じような動きをするということになります。
一方で、「ロボットは家(シーン)の中で遭遇する家具や雑貨(オブジェクト)の数を事前に知らないため、『NeatNet』はグラフニューラルネットワークを使用してシーンを処理します」と話すEdward Johns博士。 「これは、シーンの画像から直接学習するのではなく、シーンをグラフとしてモデル化することを意味します」。グラフニューラルネットワークを使用することで、「NeatNet」は異なるオブジェクト間の関係を学習することも可能といいます。
これまで「NeatNet」はシミュレーションでのみテストされてきましたが、今後研究チームは実際のロボットに実装し、実証実験を行っていくとしています。
My House, My Rules: Learning Tidying Preferences with Graph Neural Networks
(文・Takeuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/168082
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:takeuchi