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ブルーカラーに特化したHRテック企業のSenseにソフトバンク・ビジョン・ファンド2が出資

Sense(センス)は、世界最大級の人材派遣会社や人材紹介会社がタイムリーに人材を見つけて採用するための支援を行うHRテックのスタートアップ企業だ。同社が新たな資金調達ラウンドで評価額を5億ドル(約565億円)に拡大したと、関係者がTechCrunchに語った。

サンフランシスコに本社を置くこのスタートアップは、シリーズDの資金調達ラウンドで5000万ドル(約56億5000万円)を調達したという。SoftBank Vision Fund 2 (ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導したこのラウンドは、創立から5年半の間にSenseが調達した資金の総額を9000万ドル(約101億7000万円)に押し上げた。シリーズCラウンドを終了してからわずか6カ月で、同社の評価額が何倍にもなったことがTechCrunchの取材で明らかになった。

Senseは、ブルーカラーの労働者の要求に応えることに注力し、企業が人材のライフサイクル全体を管理することを支援する。

ナレッジワーカー(知識労働者)の採用には半年もかかることがあるが「倉庫の梱包作業者を雇用するような世界では、企業はその日中にその人を入社させる必要に迫られています」と、Senseの共同設立者であり最高経営責任者であるAnil Dharni(アンリ・ダルニ)氏はTechCrunchによるインタビューで説明した。同氏は、評価額についてはコメントを避けた。

現在、プロフェッショナルソーシャルネットワークなどの採用プラットフォームの大半は、知識労働者向けに設計されていると、ダルニ氏はいう。「しかし、Uber(ウーバー)のドライバーやAmazon(アマゾン)の倉庫作業員のような人々に、そのようなプラットフォームは関係ありません」と同氏は述べ、課題を表現した。

人材の適格審査に、自動化や人工知能、パーソナライゼーションを活用しているというこのスタートアップ企業は、600以上の企業を顧客に持ち、Amazon、Sears(シアーズ)、Vaco(バコ)、Kenny(ケニー)などの企業が、Senseプラットフォームを使って採用規模を拡大しているという。

Senseの顧客は同社のプラットフォームを利用することで、選考できる候補者の数が平均で263%増加し、採用にかかる時間が最大で81%短縮されたと、Senseは社内数値を引用して述べている。

「今回の資金調達は、今日の売り手市場の世界で、パーソナライズされた人材エンゲージメントの必要性を検証するというだけでなく、私たちが将来の仕事の形を変える手助けをするために、当社のプラットフォームをグローバルに加速させるものです」と、ダルニ氏は述べている。

Senseは、チャットボットをはじめとするさまざまなサービスを提供しており、企業が雇用慣行からバイアスを取り除くのに役立っていると、ダルニ氏は語る。

ダルニ氏によれば、この1年半の間に、同社のプラットフォームは医療従事者の雇用にも利用されるようになっているという。

ダルニ氏は前職の会社で人材採用の課題に直面したことがきっかけで、Senseを起ち上げる着想を得たという。同氏は以前、ゲーム会社のFunzio(ファンジオ)を共同設立している。この会社はGREE(グリー)に2億1000万ドル(約238億円)で買収された。

「人材が企業を左右することを実感しました。適切な人々を集めることができなければ、その会社は成功しないでしょう。TAM(獲得可能な最大市場規模)やビジネスモデルがどうであるかは関係ありません」と、ダルニ氏は語った。

「このような認識のもと、私たちが次に起ち上げるスタートアップは、人材確保のためのソリューションを提供するものにしようと決めました」。

ダルニ氏によると、Senseは2000億ドル(約22兆6000億円)規模の機会を狙っているが、そのほとんどがまだ未開拓だという。

Senseは過去1年間で売上高と従業員数を2倍以上に増大させた。今後は、西ヨーロッパを含むいくつかの市場で事業を拡大していく計画であると、ダルニ氏は述べている。

SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のマネージング・パートナーであるSumer Juneja(シュメール・ジュネジャ)氏は、声明の中で次のように述べている。「私たちは、顧客の企業が質の高い人材をより早く見つけて採用できるようにするために、Senseのプラットフォームが重要な役割を果たすことは明らかだと確信しています。それを国内およびグローバルに拡大していくとともに、企業がどうやって優れたチームを作り競争するかを、積極的に変革していく彼らの能力に疑いの余地はありません」。

画像クレジット:Sense

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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