現状に挑戦することが簡単であれば、私たちはもっと多くを知ることができるだろう。それはスマートフォンの世界では、10年半以上にわたりデフォルトになっているフォームファクターの長方形から離れて考える勇気を意味する。スマートフォンの販売が停滞している中、企業は徐々にだが確実にその流れを試している。
近年、進化の行き詰まりがいくつか見られた。ZTEのAxon Mが思い浮かぶ。重大な欠陥があるとはいえ、あらゆる意図と目的において、2つのスマートフォンをつなぎ合わせるというのは勇気ある試みだった。Samsung(サムスン)の折りたたみスマートフォンも、早くから同じような運命にあったようだ。
数世代を経て、同社は状況を好転させてきたものの、プロダクトラインとプロダクトカテゴリ両方の長寿性とメインストリームへの意味合いについては、依然としてあまねく疑問が残されている。GALAXY Z Flip 3は、使ってみて楽しい時間を過ごしたと素直に言える。意図された通りに動作し、他の折りたたみ式デバイスのように扱いにくくはなく、正直なところ、筆者が勧める第一の折りたたみ式デバイスだ。
Samsungと同様、Microsoft(マイクロソフト)もこの分野で優位に立っている。同社はかなり前にメインストリームのモバイル大手になるという希望を捨てた。もちろん努力が足りないからではない。しかし、72億ドル(約8200億円)でNokia(ノキア)を買収したからといって、その夢を実現できるわけではない。代わりに同社はSurfaceシリーズのハードウェアに慰めを見出し、いくつかの真に魅力的なフォームファクターを生み出した中程度の成功を収めた。
初代のSurface Duoは、標準的なPC / タブレットのフォームファクターを超えた考え方を誇るプロダクトラインの方針から生まれたものだ。同社は2019年10月のイベントで、デュアルスクリーンのノートPC「Neo」と、より小型化されたデュアルスクリーンのAndroid搭載端末「Duo」を発表した。前者は生産着手には至らなかった。Microsoftは5月にWindows 10Xのリリース計画を断念することを認めたが、Neoにも同様の意向が伺える。
2020年秋に発売されたDuoは2021年最も待ち望まれていたデバイスの1つだった。ZTEと同じように、Microsoftは、2つの画面をヒンジで融合することで折りたたみ式ディスプレイの必要性を回避した。それでも、10年近くにわたってSurfaceのハードウェアを手がけてきた同社は、明らかにこれまでよりはるかにエレガントなソリューションを生み出した。しかしながら、これまでのAxon Mと同様、初代Duoも大いに失望を招く結果となった。
ハードウェアの観点からは失敗ではなかったものの(セールスは違うストーリーかもしれないが)、問題が多すぎて1400ドル(約15万9000円)という提示価格を正当化できるものではなかった。外部カメラがないこと、ソフトウェアにバグがあること、5Gを搭載しないことなどが、課題の多いこのデバイスの主な問題点だった。第一世代の製品は不完全になる。これがアーリーアダプターの窮状だ。
しかし、消費者にこれだけの金額を払って新しいデバイスを買ってもらうには、期待される品質のレベルがある。初代Duoが満たせなかったものだ。ただし、Microsoftがこれに耳を傾けたことは称賛に値する。もちろん、最初のプロダクトを購入した少数の人には役に立たないものの、同社は将来の顧客により良いサービスを提供することをコミットしている。そういう意味では、Surface Duo 2は単に初代デバイスをアップデートしただけではなく、前世代の最大の過ちを正そうとする取り組みでもあるのだろう。
最初のDuoがこの新しいモデルに近かったなら、Microsoftはかなりの心痛を軽減していただろうという、かなり説得力のある主張ができる。Snapdragon 888と5Gの追加、背面トリプルカメラの搭載、デュアルスクリーン間のギャップの縮小、ソフトウェアの継続的な改善は、正しい方向への重要なステップである。しかしDuo 2は、ユーザーが心から勧めるようなデバイスというのにはまだほど遠い。Microsoftが今後数世代にわたってこのデバイスに投資を続けていけば、問題が根本的なものなのか、それとも単に継続的な改善が必要なものなのかを判断することになろう。
ディスプレイ間の切り替えにまだバグがあるソフトウェアは、後者になる可能性が高い。Microsoftは自社のデュアルスクリーンソフトウェアの開発に加えて、Google(グーグル)がSamsungなどの企業と行ってきた作業の多くを活用し、折りたたみ式ディスプレイで動作するバージョンのAndroidを開発している。もちろん、折りたたみ可能、かつデュアルスクリーンというフォームファクターを開発することは、完全な1対1ではない。しかし、Microsoftの膨大なリソースを考慮するなら、その体験を完全なものすることは、同社がどれだけの時間と資金を投じるかにかかっていると言えそうだ。それはひいては、このデバイスに関心があるという認識の産物でもあるのだ。
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初代Duoは内部カメラでの撮影に依存していたが、Duo 2には背面カメラが3つ搭載されている。これは一見すると確かに良さそうであり、間違いなく改善されている。しかし、カメラアプリは必要最低限のもので、画質はかなり安価なシステムと比較しても常に標準を下回っていた。Duoは混合光と微光の両方で苦戦した。それは2021年に1500ドル(約17万円)のシステムに期待するものを超えるものだった。
MicrosoftはSamsung、Apple(アップル)、あるいはGoogleほどモバイル写真撮影に投資していない。そのことは確かにここに表れているが、将来の世代で改善できることでもある。しかし、最終的には、カメラがデバイスの根本的な問題の1つを引き起こすかもしれない。初代Duoが内蔵カメラに依存していた理由の1つに、フォームファクターの実用上の問題がある。つまり、デバイスを開き、一方にカメラ、もう一方にビューファインダーとして機能する第2のディスプレイという構成で、本体を反転させるという点だ。
同社は実際、カメラの突起部分をうまく処理しており、ディスプレイの背面はやや斜めに重なっている。しかし、実際にそれを使うのは厄介だ。撮影した写真を表示するためのセカンドスクリーンがあるのは便利だが、そのプロセス自体は扱いにくく、タブレットを使って被写体を撮影しようとする感覚に近い。
このように避けられないと思われる欠陥がいくつかあるものの、Duo 2はハードウェアとして優れており、5月に初代Duoに搭載されたMicrosoft Penサポートやデュアルスクリーンゲームなどの機能が追加されたことで、プロダクトはあるべき姿に近づいている。Glance Barのように、デバイスを閉じたときに画面の隙間に通知がちらりと表示される便利な機能もあり、Microsoftが自身の保有するフォームファクターで巧みに仕事を続けていることを示している。しかし、継続的な問題と1500ドルという提示価格を考えると、このプロダクトが真の意味でメインストリームになるという見込みは、ひいき目に見ても何世代も先の話になりそうだ。
画像クレジット:Brian Heater
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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)