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スタンフォード大学のヤモリに着想を得たロボットハンドが、ゆで卵や果物を(つぶさずに)掴む

スタンフォード大学は、ヤモリに着想を得たロボットハンドを開発し、長年かけて大きく進化させてきた。今年5月には、この「ヤモリグリッパー」の1つのバージョンが国際宇宙ステーションにも送り込まれ、デブリの収集や衛星の修理などの作業を行う能力がテストされた。

米国時間12月15日の「Science Robotics(サイエンス・ロボティクス)」に掲載された論文で、同大学の研究者たちは、この技術の地球向け応用例として、潰れやすい物体を掴むという能力を実証している。

硬いロボットハンドにとって、このような作業は長年の課題であり、柔らかいロボットグリッパーなど、これまで様々なソリューションが生み出されてきた。

今回発表された「FarmHand(農場労働者)」は、人間の手の器用さとヤモリのユニークな把持能力の両方からヒントを得た4本指のグリッパーだ。後者に関して、スタンフォード大学は、その吸着力のある手足の表面では「分子の外側にある電子の位置の微妙な違いから生じる弱い分子間力であるファンデルワールス力という微小なはためきを介して、強い保持力を生み出している」と述べている。

同大学のチームでは、この問題を「エアルームトマト問題」と呼んでいる。一般的なグリッパーは、同じような大きさの硬い物体を次々と拾い上げる反復作業に適しているが、今回のテストで、FarmHandはブドウの房、ゆで卵、バスケットボール、皿などを掴み上げることに成功した。

「ロボットの手が握力把持と精密把持をするのなら、その間にあるすべてのことができるということを示しているわけです」と、「生物模倣と器用なマニピュレーションに関する研究室」の卒業生であるWilson Ruotolo(ウィルソン・ルオトロ)氏は語る。「私たちが取り組みたかったのは、器用さと強さを同時に兼ね備えたマニピュレーター(ロボットハンド)をどうやって作るか、ということです」。

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画像クレジット:Stanford University
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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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