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業界の動きも活発化!未来を感じさせる電動バイクの注目モデル5選

クルマに比べると、電動化が進んでいるとは言えないバイクの世界ですが、ここのところ電動バイクに関わる動きがにわかに活性化しています。メーカーだけでなく、自治体なども普及に力を入れ始めているのがポイントです。特に力を入れているのが東京都で、小池都知事が2035年までに都内で販売されるバイクの新車を100%“電動化”することを宣言しています。

こうした動きの一環として東京都は去る12月4、5日に「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」を東京国際フォーラムで開催。電動バイクをリリースしているメーカーがブースを並べ、来場者も3300人を超えました。会場で見かけた電動バイクの中から、将来の可能性を感じさせる5モデルをピックアップして紹介します。

 

1. カワサキの変速付き電動スポーツバイク

カワサキは10月に、2025年までに10車種以上の電動バイク(ハイブリッドを含む)をリリースすることを発表していますが、その際にも展示されていたスポーツタイプの電動モデルを出展。発売時期や価格などは明らかにされていませんが、250ccクラスの車体にバッテリーとモーターを搭載し、軽二輪クラスのマシンとして登場することになりそうです。

現状、国内メーカーがリリースしている電動バイクは原付クラスの実用車ばかり。軽二輪クラスの趣味性が高いマシンがリリースされるのは、バイクファンにとってはうれしいところでしょう。

さらに、このマシンのユニークなところは、電動バイクでありながら変速機構を搭載していること。低回転からトルクのあるモーターを動力とする電動バイクの場合、変速ギアは装備していないことが多いのですが、このマシンはより効率良くモーターの力を引き出すためと操る歓びを提供するために、変速機構を採用したとのことでした。実用一辺倒ではなく、趣味として楽しめる電動マシンとして期待が高まります。

 

2. ヤマハの電動トライアルマシン「TY-E」

国内メーカーの中でも電動バイクに長く注力しているヤマハは、市販車の「E-VINO」に加えて、電動のトライアルマシン「TY-E」と、e-Bike(スポーツタイプの電動アシスト自転車)「YPJ-MT Pro」を展示。

「TY-E」は公道走行のできない競技専用マシンですが、トライアルの世界選手権の電動クラスに参戦し、好成績をおさめています。

このマシン、ただ展示されていただけでなく、トライアルのトップライダーである黒山健一選手によるデモンストレーションにも使用されていました。会場内のステージ上でデモンストレーション走行ができるのは排気ガスを出さない電動バイクならでは。限られたスペースでも電動バイクらしい瞬発力を活かした走りを披露していました。

電動バイクは、航続距離を稼ごうとバッテリー容量を増やすと重くなるというデメリットがありますが、トライアルのように長距離を走行する必要がなく、瞬発的なパワーが必要とされる競技には適していると感じられました。

 

3. aideaの4輪電動モビリティ「AA-i」

3輪の電動バイク「AAカーゴ」をリリースしているaidea(アイディア)は、新たに4輪の新モデル「AA-i」を会場で発表していました。カテゴリとしてはミニカー(原付ミニカー)に該当するので、厳密には電動バイクではありませんが、車体を傾けながら走るのでバイクに近い乗り味を実現しています。

発売時期や価格はどちらも未定とのことですが、満充電での航続距離は最大123km(30km/h 定地走行値)を実現。電子制御で車体を最適な角度に調整する機構を持ち、コーナリング時には車体を傾けて走行できるほか、転倒の心配もほぼないとのことで、新しい乗り物として期待が高まります。

発表の際には、自動運転の実験に使用されている映像も公開され、複数の「AA-i」が連なって走るカルガモ走行などの実験も行われているとのこと。7.7kWhの大容量バッテリーを搭載し、災害時などには外部への電源供給もできるので、電動バイクの枠を超えた可能性を感じさせます。

 

4. BMWの新型電動スクーター「CE 04」

BMWは、欧州などでは既に市販されている電動スクーターの「CE 04」を展示。同ブランドはこれまで「C evolution」という電動スクーターを販売していましたが、このマシンは600ccクラスのスクーターを電動化したものでした。それに対して「CE 04」は、車体から電動マシン専用に設計されたもの。デザインもガソリンエンジンのバイクとは異なる未来的なものとなっており、国内販売が待ち遠しい完成度です。

電動専用の設計となったことで、バッテリーの搭載量は「C evolution」に比べて削減しながらも130km程度の航続距離は確保しているとのこと。発売時期や価格は未定とのことながら、2022年の前半には国内でも市販される見通しです。

ちなみに「C evolution」のほうは、世界的に白バイとして活用されていて、国内でも警視庁などに採用されています。音もなく走行し、電動マシンらしいダッシュ力を持つ電動白バイ、街で見掛けることがあるかもしれませんよ。

 

5. KTMグループの電動ミニモトクロッサー

欧州生まれで、今や幅広いラインナップを揃える一大ブランドに成長したKTMも、以前から電動化に積極的に取り組んでいるメーカーです。今回のイベントにはグループ内のKTM、ハスクバーナ、GasGasの3ブランドの電動ミニモトクロッサーを出展してしました。

50ccクラスに該当するキッズ向けのモデルですが、ピークパワーは2ストマシンに匹敵する5kWを発揮するというからなかなかのもの。907Whの容量を持つバッテリーを搭載し、最大5時間、フルパワーで走行するレースでも25分は連続で走れるのでオフロードコースで遊ぶには十分なスペックです。

サスペンションも前後WP製と本格的で、これの大人向けバージョンも用意してほしいと思える完成度。充電時間は45分で80%、70分で100%となっているので、コースに充電できる設備があれば休憩時間に充電しながら1日遊ぶこともできそうです。価格はKTMの「SX-E 5」とハスクバーナ「EE 5」は70万円、GASGASの「MC-E 5」が66万8000円と安くはありませんが、排気ガスも排気音も出さないことを考えると、遊びのフィールドを広げてくれそうです。

>> EVバイクコレクション in TOKYO 2021

 

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

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