【2021年人気アイテム総まとめ】
2020年の始まりとともに突如我々を混乱に陥らせた新型コロナウイルス。2021年もその影響は収まりませんでした。
自動車業界では、海外の工場が稼働できずに部品供給が大幅に遅れて生産調整を余儀なくされたことに加え、原材料の高騰や半導体不足ももろに影響し、新車の納車に大幅な遅れが生じています。
その影響で中古車相場が上昇。新聞やネットニュースでは「中古車高騰!」という見出しを何度も目にしました。
ここには、人々の意識の変化も影響しているようです。
少し古い情報ですが、中古車情報メディアのカーセンサーが2021年6月に発表した「カーセンサー中古車購入実態調査 2020」によると、コロナ後には、クルマをカスタマイズしたり運転そのものを楽しむ人が増えたと言います。
これまでは夜に飲みに行っていた人が出歩けなくなり、かといって人と接する趣味を楽しむこともできない。それならと一人で楽しめるカスタマイズや、運転そのものを楽しめるクルマを目的地は決めず走らせるような楽しみかたをする人が増えた。これも中古車への注目が高まった一つの要因でしょう。
ここでは、相場が上がった中古車市場でもとくに目立った動きをしたものを紹介します。
1. 新型の人気の影響で旧型の相場が急上昇「トヨタ ランドクルーザー200」
2021年8月、14年ぶりにフルモデルチェンジを行ない300系へと進化したランドクルーザー。「どんな場所に出かけても無事に生きて帰ってくる」ことを目的に開発されてきた究極のオフロードモデルは世界中で需要が高く、もともと中古車相場も高値で推移していました。
ところがランクル300がいよいよ発売になるという噂が流れたことから相場が上昇し始め、ランクル300が2年以上の長期納車待ち(公式サイトでは2年以上となっていますが、ネットでは5年待ちという声も多数上がっています)という状態になると、200系ランクルの中古車相場は上昇に拍車がかかりました。
現在は、2008年のデビュー時のもので、さらに走行10万kmを超えたものでも300万円以上するのは当たり前。中には新車時価格とほとんど変わらない価格で取引されているものも。顔が大きく変わった2015年8月以降のモデルは安くても550万円以上、年式が新しいものは800万円以上するものも珍しくありません。
200系ランクルの相場が上がり始める直前にはこの事態を予測して投機目的で購入した人もいたのでしょう。新車の納期が大幅に遅れているので、この状況は当分続くと思われます。
2. PLaYがオーダー停止になり相場が急上昇「ホンダ ヴェゼル」
2021年4月に2代目へとフルモデルチェンジしたヴェゼル。都会的でスマートなデザインが支持され、発売1ヶ月で月間販売計画の6倍以上となる3万2000台以上の注文が殺到。もっとも多く注文が入ったのは中間グレードのe:HEV Zですが、上級グレードのe:HEV PLaYの人気もかなりありました。
e:HEV PLaYは専用インテリア、高触感バーミリオン塗装のセンターコンソール、パノラマルーフなどを装備します。
もともとの生産台数が少なかったこともあり、e:HEV PLaYの納期は1年待ちとも言われていました。ところが10月末からe:HEV PLaYは「部品供給の遅れ」を理由に受注を一時停止する事態になりました。
そうなると「どうしてもこのグレードが欲しい!」という人は中古車市場に注目します。現在、e:HEV PLaYの中古車は新車価格より100万円以上高い価格で取引されています。
3. 突然の生産終了アナウンスにより市場が混乱「ホンダ S660」
爽快な走りを楽しめる軽オープンスポーツとして2015年3月に登場したS660。デビュー時は中古車市場でプレミア相場になるほどの人気で、それが落ち着いた後も中古車は人気があり、比較的高値の相場で推移していました。
そんなS660は2021年3月にS660 Modulo Xの特別仕様車となるバージョンZを発売。これは嬉しいニュースであるのですが、問題は同リリースの後半。そこには「2022年3月をもって生産を終了することになりました」という一文が書かれていたのです。
突然の生産終了アナウンスにファンは混乱し、生産終了前にS660の新車を手に入れたいという人がディーラーに殺到。あっという間に2022年3月までの予定生産台数に達し、S660は“売り切れ”状態となってしまいました。
当然、欲しくても手に入れられなくなった人がたくさんいます。その人たちの目は中古車に向き、なんとS660は中古車までほとんどなくなる事態になりました。
もちろんここには価格上昇を期待して、中古車販売店が店頭に並べるのをやめたり、転売目的で購入する人も多くいたはず。
いずれにしてもS660は手に入れることができないクルマとなり、中古車相場は急上昇。現在は流通台数は落ち着きを取り戻したものの、中古車価格帯は140万〜550万円と相変わらずの高値で推移しています。
市場の混乱を見てホンダは2021年11月に650台の追加生産を発表。この申し込み・抽選はすでに終了しているので、乗りたい人は条件の合う中古車を探すしかない状況です。
4. 1990〜2000年代スポーツモデル人気で相場が上昇「スバル インプレッサSTI」
コロナ禍になる前から中古車市場ではスポーツカーが盛り上がっていました。少し前まで1980〜90年代前半くらいのスポーツカーに人気が集中し、相場が高騰。ここにはアメリカの25年ルールの影響で流通台数が減少したことも影響していました(R32 GT-Rなどは最たる例でしょう)。
コロナ禍になってから相場が上昇しているのが、2000年10月に登場した2代目インプレッサ STI(GD系)。このモデルは前期型・中期型・後期型でフロントフェイスが変えられていて、それぞれ丸目(前期型)、涙目(中期型)、鷹目(後期形)と呼ばれています。
どの世代もスペックCタイプRAで走行距離が少ないものは高値が付けられていて、中には500万円以上するものも。冒頭で述べた、コロナでクルマをいじったり走らせたりすることを楽しむようになった人が狙いやすいモデルなので、相場が上がったと考えられます。
ただ、まだ手に入れられなくもない価格帯のものもあるので、欲しい人は早めに手に入れたほうがいいでしょう。
このあたりの年式のモデルはまだ25年ルールの対象にはなっていないものの、流通台数が少ないので今後さらに相場が上昇する可能性が高そうです。
5. 25年ルールの影響もあり年初から相場が急上昇「トヨタ チェイサー」
上の写真は最終型となる100系チェイサーの中では大人しいグレードですが、人気があるのは2.5L直6ツインターボを搭載するツアラーV。チェイサーはこのモデルでFRスポーツセダンとしての地位を確立しました。
MTも設定されたことから走り好きの間で注目が集まり、その後ドリフト車としても人気が爆発します。
100系チェイサーのデビューは1996年9月。つまりアメリカの25年ルールの適用対象になったのです。その影響もあり年初から相場が急上昇。この傾向は今後も続くでしょう。
中古車は走り込んだものやかなり手が加えられたものも多いので、選ぶ際は慎重に。試乗はできなくてもエンジンをかけ、ミッションや電装品などを動かした上で状態やパーツの入手状況などをショップにしっかり確認し、納得した上で購入してください。
■新型車の中古車も価格が上昇。この状態は2022年も続きそう
冒頭でも述べたように、コロナ禍による部品供給の遅れや半導体不足の影響で、メーカーを問わず新車の納期が遅れる傾向が続いています。
それでも納車を待てるなら問題はありませんが、今乗っているクルマの車検時期の関係などで急いで買い替えないといけない人は中古車に目を向けるようになりました。
そのため、ここで紹介した事例以外にも、現行型の高年式であまり距離を走っていない中古車の需要が高まっています。
もともと高年式の中古車は新車よりお得感があるため人気がありましたが、その傾向に拍車がかかる状況に。これはしばらく続くと思われます。
もちろんスポーツカーやSUVの人気も続くはず。
新車はもちろん、中古車を探す場合も、時間と予算に余裕を持っておいたほうがよさそうです。
<文/高橋 満(ブリッジマン)>
高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/423350/
- Source:&GP
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