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高圧洗浄機の使い手になったり、農家になったり。大まじめで面白いシミュレーションゲームの世界

「シミュレーター」という言葉からどんなものを連想するでしょうか?

自動車教習所にあるドライビングシミュレーターなどはその最たる例ですが、ゲームの世界には驚きのシミュレーターが多数存在します。

なかには、少しおバカなものもありますが、「シミュレーター」を名乗るだけあって挙動はリアルで真面目に作り込まれています。ここでは、話題の新作からニッチなものまでを紹介します。

ファーミングシミュレーター 22(PS4/5、Xbox、PC)

タイトルからもわかるとおり、農業をテーマにしたシミュレーターです。

プレイヤーは最先端技術を駆使する農家になって、アメリカとヨーロッパの3つの異なる環境で農場を開拓します。農業だけでなく、畜産、林業を中心とした幅広い農場経営体験を実現しており、シーズンサイクルによって季節の移り変わりがあるなど、かなりリアルな農業ライフを体験できます。

本作は2021年11月の発売から1週間で150万本(グローバル)の出荷を達成しており、シリーズ初のクロスプラットフォームでのマルチプレイにも対応しています。人気の理由は、リアルなゲームプレイもさることながら、100以上の実在する農機メーカーから400以上の車両や農機具がゲーム内に登場するリアルさでしょう。

こうした農機具を使用して、小麦やトウモロコシ、ジャガイモ、綿などの作物の種を蒔いて収穫を楽しみながら、生産物の収穫や農場の手入れ作業も体験できるのが醍醐味の1つ。もちろん、オンラインマルチプレイでは、フレンドと協力して農場を運営することも可能。

農業という大きなテーマを扱いながらも、各ディテールやステップまで丁寧に作り込まれた1作です。

Euro Truck Simulator 2(PC)

2012年の登場から今なお高い評価を得続けているトラックをテーマにしたドライビングシミュレーションゲーム。PCゲームプラットフォームのSteamでは「圧倒的に評価」となっており、全世界にプレイヤーが存在します。

中央ヨーロッパ地域を中心に、欧州地域をセミトレーラーで走行し、交通ルールを守りながら荷物を目的地まで輸送することが目的の本作。ドライビングシミュレーターというと、PSの『グランツーリスモ』シリーズやXboxの『フォルツァ』シリーズを思い浮かべる方もいると思いますが、本作はトラックが主役なのでハイスピードでサーキットを駆け抜けラップタイムを競うことはありません。

ゲーム開始直後は、トラックを購入して荷物をつなぐなどの簡単なミッションをクリアしていきながら資金を貯めていく流れですが、ゲームが進行するにつれて長距離輸送や危険物輸送などのミッションが登場し、本格的なトラック輸送を楽しめます。

プレイヤー自身がドライバーになるだけではなく、従業員を雇って育成しながら会社を経営する機能まで搭載されていて、かなりプレイしがいのある内容。ゲーム内の主役ともいえるトラックは、ライセンスを受けた実在メーカーのものが多数登場し、どっぷりと世界観に浸ることができます。Windows版だけでなくMac版も配信されている良作の1つです。

PowerWash Simulator(PC)

洗車や庭掃除でおなじみの高圧洗浄機のシミュレーターの本作。目のつけどころがすごいですが、高圧洗浄機で汚れが落ちていく瞬間を知っている人にはあの快感がわかると思います。

キャリアモードでは、町中のさまざまな汚れを高圧洗浄機できれいにしていくことがミッションです。とはいえ、制限時間や目標スコアなどはなく、ひたすら思いのままにきれいにしていくことになります。チャレンジモードも用意されていて、制限時間内に洗浄を終える、最小限の水でクリーニング精度を試すなどもあります。

もちろん、汚れもさまざまなものが用意されています。落書き、油汚れ、コケやカビなどがあって、こうした汚れに合わせてノズルやクリーナーの拡張部品を的確に使っていく必要があります。

2021年12月のアップデートでは、マルチプレイ機能が追加。最大6人のプレイヤーたちが高圧洗浄機を片手にあらゆるものをきれいにしていくシュールなゲームプレイも楽しめます。

PC Building Simulator(PC)

各種パーツや見た目にこだわりたい人のなかには、PCを自作している人も多いですが、本作は自作PCのシミュレーターです。

言葉で聞くと「?」となりますが、実在のPCパーツメーカーが多数協賛しているなど、わかる人にはわかる本物志向のゲームです。

ゲームはメインとなるキャリアモードと自由にPCを自作するフリーモードに大きく分かれています。キャリアモードでは、プレイヤーはPC修理店となって客から届く依頼に対応していきます。依頼はPCウイルス駆除、PCの掃除、HDDやグラフィックカードの交換など多種多様。

これらの作業を行うにあたって、PCを分解したり、対応後の起動を確認したりします。PCの知識がないと最初は難しいものの、PC Building Simulatorを通して得たノウハウで自作PCを実際に作ったユーザーもいるほどです。

本作はPCゲームなので、PCを使ってPCを自作する奇妙な体験になりますが、中身は真面目にしっかりと作り込まれているので、PCの構成を理解するのにも役立ちます。

(文・辻英之)

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