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コンバージョン率を上げるコピーを書くために避けるべきポイント10選

コピーライティングとは、単に商品を売るために適切な言葉を組み合わせればよいというものではない。売り手がメッセージを発信してユーザーとつながるための手段だ。いくつかの単語を改善するだけで、人々を効果的に説得し顧客獲得につながるコピーを書くことができる。

Demand Curveでは、何千社ものスタートアップが最初の顧客を掴んで成長率を上げることができるよう支援してきたが、その過程で、ランディングページ、広告、メールなどの場面で、コピーの説得力を低下させコンバージョンを妨げるよくある誤りがあることに気づいた。

本稿では、より良い結果を出すためにコピーライティングで避けるべきよくある誤りとその修正方法をまとめてみた。

受動態で書かない

できるかぎり、能動態で書くこと。能動態にすることで、文の主語が強調され、コピー文が短く、かつわかりやすくなる。

次の2つの文の違いを考えてみて欲しい。

マーケティング用のコピーライティングで製品の利点を説明する際には、能動態がとりわけ重要だ。顧客を主役として(顧客の目線で)アクション文として書くこと。顧客が受け取るモノや体験を主語にするのではなく、顧客を主語にする形で文を組み立てることで、製品の利点を思い描きやすくなる。

いくつか例を挙げてみよう。

さらに強い印象を与えるには、生き生きとしたわかりやすい動詞を使うとよい。

一般的な文言

作家で文芸評論家のF. L. Lucas(F.L.ルーカス)が「人に好印象を与えるためではなく人の役に立つために書け」と述べたことは有名だ。それでも多くのコピーライターたちが「ナンバーワンソフトウェア」とか「最高のプラットフォーム」といった一般的なフレーズを使っている。しかし、こうしたフレーズは、読み手に好印象を与えることはあっても、実際に有益な情報を提供することはない。

ルーカスのいうとおり、コピー文は読み手の役に立つものであるべきだ。それには、具体的に書くのが一番である。大げさな主張などの一般的文言を使わずに、読み手のニーズにストレートに応えることだ。

下記のような方法で、コピーに具体性を加えることができる。

ターゲットオーディエンスが考えそうな反論に応える

こちらからのオファーに見込み客が抵抗を示すことを予想し、対応する。例えば、Audible(オーディブル)は「トライアル期間終了前にメールでご案内を差し上げます」と約束することで、いきなりサブスクリプション料を請求されるのではと懸念している顧客に安心感を与えている。

2人称視点で書く

製品を見込み客に直接関連付ける。例えば、ウェディング企画会社Zola(ゾラ)のサービス紹介ページには「私たちはいつもお2人のようなカップルとお話しています。私たちの仕事の中心にあるのはお2人です」と書かれている。このように書くと、3人称でより広く新郎新婦に言及するというより、むしろ個人的に会話しているように感じられる。

例を挙げる

貴社製品の実際の使用例、実際の顧客が貴社製品の利点を享受している例を考える。例を挙げることで、見込み客は貴社製品が自分たちのシナリオに合っているかどうかを判断できる。箇条書きの最後の2つの例は、この記事のヒントを適用する方法についての詳細な基準点になっている点に注目して欲しい。

明確な目的または結果がない

複雑な製品は販売サイクルが長くなることがよくあるが、これは見込み客が理解する必要のある情報が大量にあるからだ。

効果的なコピーライティングは人々を購買行動へと促す。コピーの目的は結局、読み手を説得することだ。結果が出ないならそれはコピーではない。文学だ。

この罠にはまらないようにするには、目的とする結果から逆算して考えてみるとよい。あなたのコピーを読んだ人にどうして欲しいのか。1つ1つの文によって見込み客がアクション(購買)に近づくようにする。

人事ソフトウェア企業Gusto(ガスト)が良い例を提供してくれている。以下に同社のコピーを示す。

「当社ではお客様の個別のニーズに合わせたプランをご用意しています。まずは簡単な質問にお答えください」。このコピーの後に2つのCTAボタンが表示される。1つはアンケートを開始するボタン、もう1つ(「Learn More」ボタン)は、ユーザーを詳細な製品ページに誘導するボタンだ。

「お客様のビジネスに最適なプランを見つけてください」。このテキストの下に「担当者と話す」ボタンが表示される。

「ステップ1:お客様のビジネスとご予算に合ったプランを選択してください」。ここからリンク先の価格ページに移動し、製品比較表が表示される。

見込み客のモチベーションに沿っていない

我々は自分たちを理性的な存在だと考えがちだが、実際にはそうではない。このことは、とりわけ、消費習慣において明らかとなる。我々は感情に動かされて購入し、購入したことを論理で正当化することがよくある。

これをコピーライティングの視点から考えると、見込み客の基本的な願望と感情的な動機に沿ってコピーを作る必要がある。

例として、Wix(ウィックス)とSquarespace(スクエアスペース)のホームページに使用されているヘッドラインを見てみよう。

画像クレジット:Demand Curve

ウィックスのヘッドラインは「Create a website you’re proud of(自慢のウェブサイトを作成しよう)」となっており、単なるウェブサイトではなく見栄えの良いウェブサイトを作りたいというユーザーの願望を引き出している。

画像クレジット:Demand Curve

それに対して、スクエアスペースのヘッドライン「Everything to sell anything(売るための道具はすべて揃っています)」はユーザーの目的に感情的に寄り添っているという感じはぐっと抑えられており、あらゆる製品やサービスを売るための道具一式を提供していることを主張しようとしている(見込み客を説得するために論理的推論を使用した例)。

しかし、実際には、複数の会社を経営しているとか、広範な製品を販売しているといった状況にない限り、大半の見込み客はこうしたツールをすべて必要とすることはない。そうした見込み客で優先度がより高いのは、審美的に楽しいサイトを作成することだ。ウィックスのサイトのヘッドラインはこの目的に適っている。

複雑な言い回しと業界用語

読みやすさとは、書かれたテキストのわかりやすさのことだ。記事の読みやすさが低ければ、分かりづらい。逆もまた然りだ。

なぜ読みやすさが重要なのか。平均的な米国人にとって、7年生(12~13歳)の読解レベルで書かれたコンテンツが最も分かりやすいという研究結果が出ている。文のレベルがそれより高くなると、分かりづらくなる。

読み手を混乱させたり、自分は頭が悪いと読み手に思わせたりするようなコピーはダメだ。結局、何かを読むために時間を費やしたいと思っている者などいないのだから。

分析ツールHotjar(ホットジャー)は製品ページで、同社のソフトウェアの機能について次のようなフレーズを使って説明している。

こうした表現はシンプルで分かりやすい。「ヒートマッピングおよびコンバージョンファネルテクノロジー」とか「ウェブサイト視覚化ソフトウェア」といったフレーズよりもはるかに効果的だ。そうした専門用語を使うと分析ツールの知識がない読み手は圧倒されてしまう。

つまり、12歳の子どもに話しかけるときに使うのと同じ語彙で書くことだ。Hemingway App(ヘミングウェイ・アプリ)やGrammarly(グラマリー)などのツールを使えば、コピーの読みやすさを判定できる。

長い文

これは読みやすさの項で最初に指摘した点と関連する。長い文に比べ短い文は分かりやすい。さほど労力をかけなくても読み切ることができる。

解決策は、1文で1つのアイデアを表現することだ。冗長な言い回しは削る。

ウェブサイトで見つけた短くてパンチの効いたコピーをいくつか紹介する。

オーディエンスの語彙で語っていない

良いコピーは情報を伝えるが、卓越したコピーは読み手の心に深い印象を残す。読み手とより深く共鳴するコピーにするには、読み手の語彙を使うことだ。

その良い例として犬愛好家向けサブスクリプションサービスBarkBox(バークボックス)のコピーがある。バークボックスのサイトでは「zoomies(犬が興奮して走り回る様子を示すスラング)」や「doggos(犬を示すスラング)」などの語彙を使って熱心な犬愛好家であるターゲットオーディエンスに語りかけている。

画像クレジット:Demand Curve

同様に、スポーツ用具販売のBrooks Running(ブルックス・ランニング)は製品コピーにランニング関連用語を組み込んでいる。「オーバープロネーション(ランニングなどで、着地の際に足首が内側に傾くこと)」や「ニュートラルランニングゲイト」、および同社のターゲットオーディエンスであるランニングコミュニティに固有の用語で表現される状態に最適なシューズであることを強調している。

想定する顧客の語彙は、次の方法で知ることができる。

よく使われる独特の言い回しやフレーズをメモしておき、コピーに取り入れよう。

弱いヘッドライン

ヘッドラインが強いと人はそのコンテンツを読み続ける。強いヘッドラインと弱いヘッドラインを分ける2つの決定的な特徴がある。

これはランディングページのヘッドラインだけでなく、メールの件名、ブログの投稿の見出し等にも当てはまる。

より目を引くヘッドラインを書くには、以下のいずれかの方法を試してみるとよい。

客観的な評価を組み込まない

読み手はセールストークのにおいをすぐに嗅ぎ分け、嫌う。あからさまなセールストークは一方的で押し付けがましく感じられることがよくあるからだ。誇張したり大げさに言ったりしているのではと懐疑的になることもある。

客観的な評価(他の人が貴社製品を評価している証拠)を追加することで、人は、貴社のコピーを押し付けがましいとかいかさまだとか思わなくなる。つまり、他の人に貴社のセールスを肩代わりしてもらうわけだ。

客観的な評価をコピーに組み込む方法は他にもある。

いくつか例を挙げてみよう。

特長を強調している

一部のコピーライターは、製品の派手な特長を重視する傾向がある。製品に画期的なテクノロジーが含まれている場合は特にそうだ。こうした特長はもちろん重要だが、それを取り上げても見込み客の最も重要な質問、つまり「私にはどんな利点があるの」という質問に答えていることにはならない。

そのため、コピーでは、製品の特長を強調するのではなく、それによって顧客にもたらされる利点を重視するようにしたい。

例えば、Venmo(ヴェンモ)のウェブサイトでは、同社アプリ独自のさまざまな利点が紹介されている。

機能を利点という切り口で捉えるには、顧客が直面する可能性のある実生活でのシチュエーションを関連付けてみるとよい。機能がもたらす価値ではなく、その機能が威力を発揮する場面が重要なのだ。

まとめ

コピーライティングで犯しがちな誤りを明確にすることはコンバージョン率を向上させるための最初のステップにすぎない。次のステップは実際にコピーを変えることだ。

以下に、本稿で推奨した修正ポイントをまとめておく。

ランディングページであれ、広告表現であれ、メールであれ、上記の修正を適用することで、コンバージョン率を上げることができる。

編集部注:Joyce Chou(ジョイス・チョウ)は、スタートアップ企業のためのグロース・マーケティング・インサイトを執筆す。Demand Curveのシニアコンテンツリードを務める。

画像クレジット:enviromantic / Getty Images

原文へ

(文:Joyce Chou、翻訳:Dragonfly)

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