PCやスマホなどの情報機器とコンピュータウイルスの戦いはいたちごっこであり、新たなウイルス出現に対して情報機器側がその対策をするということの繰り返しです。
そんななか、PCやスマホが発する電磁波からウイルス感染の検出に成功したという研究が発表されました。
ただ、この技術を悪用すれば機密情報や個人情報が知らない間に盗み取られるかもしれません。
ウイルスが発する独自の電磁波の波形を検出
この研究はInstitute of Computer Science and Random Systemsの研究チームによっておこなわれました。
PCやスマホの電子回路はソフトウェアを実行すると電磁波を発生しますが、電磁波の波形はソフトウェアによって異なります。
そこで、コンピュータウイルスが活動しているPCやスマホからはそれを示す波形が検出されるとこの研究チームは考えました。
実際に実験をおこなったところ、それぞれのコンピュータウイルスの動作に対して独自の波形パターンを確認することができたとのことです。
そこで、コンピュータウイルスが発する電磁波の波形を検出できるようプログラミングし、PCやスマホなどの電磁波を読み取って入力したところ、99.82%の確率でマルウェアやコンピュータウイルスを検出に成功しました。
悪用の可能性も
この技術の優れているところは、PCやスマホにウイルス対策アプリをインストールする必要が無く、ウイルス検出をおこなうためにPCやスマホの動作に負荷がかからない点です。
ただし、この技術を悪用すると、逆にマルウェアやコンピュータウイルスに感染させずとも、電磁波によって機密情報や個人情報が漏洩するかもしれません。
このような攻撃は「サイドチャネル攻撃」と呼ばれ、電磁波の他に消費電力の変化や電子機器が発するノイズなどを利用した方法が存在しています。
このため、クレジットカードやキャッシュカードに使われるICチップでは、「対タンパー性」と呼ばれるサイドチャネル攻撃をおこないづらい性質を持たせる設計がおこなわれています(たとえばあえて無駄の多い回路設計をしてパターンを読み取りづらくするなど)。
スマホには多数の機密情報や個人情報が格納されており、これからはスマホのハードウェアにも耐タンパー性が求められていくのかもしれません。
Source: ACM Digital Library via Tech Xplore
(ハウザー)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-433049/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania