2021年、女性のみの設立チームが獲得下ベンチャーキャピタル資金は全体の2%以下で、最近5年間の最低だったとPitchBook(ピッチブック)の最新データが示した。2021年に女性のみの設立チームが獲得した絶対的金額は前年より83%多かったが、これは米国のスタートアップ全体がこの年に記録的金額を集めたからである可能性は高い。
しかし、その高まった潮はすべての船を持ち上げたわけではない。女性のみの設立チームが獲得した資金のシェアは2年連続で減少したことをPitchBookは示している。
では、一体なぜ、近年のスタートアップへの出資ブームにも関わらず、ベンチャーキャピタル業界は、女性が資金調達するのが困難な場所になっているのだろうか。
先週、ベンチャー投資家のDel Johnson(デル・ジョンソン)氏は、近年、ベンチャーキャピタル業界には女性が増えているにも関わらず、女性のみの設立チームだけが、資金調達プロセスで不利な状況にあるのは事実なのか、そうであればなぜなのかを語り合う場をTwitterスペースでホストした。
ジョンソン氏が紹介したある説は「男性の影の実力者たちが、自分たちの家父長支配的偏見を共有する女性VCを選んで資金を提供する傾向が強いために、そうした偏見をもたない多くの女性が排除されている」というものだったと同氏がTechCrunchに書面で伝えた。簡単に言えば、女性VCは、男性の仲間たちと同様に男性ファウンダーを好む傾向にある、ということだ。
議論に参加し、その後TechCrunchと話した連続起業家のGentry Lane(ジェントリー・レーン)氏も、ベンチャー業界は本質的に女性に対する偏見が強いと信じている。Zoom(ズーム)などのオンライン対話のおかげで、トップクラスのVCがこれまでになく接触しやすくなっているのに、女性ファウンダーの調達資金シェアが増えるのではなく減っていることを、他に説明できるだろうか? これは「染み付いた女性蔑視」だとレーン氏はいう。彼女はベンチャーキャピタルの支援を受けている国家安全保障ソフトウェア会社、ANOVA Intelligence(アノーバ・インテリジェンス)のCEO・ファウンダーだ。
Twitter Spacesでの会話で浮上した説は他にもあった。VCは過小評価されているファウンダーを支援するためのイベントを主催するほうが、実際に資金提供するよりも気が楽なのだと、何人かの参加者が指摘した。投資家は小切手を書く代わりに、いわゆる美徳シグナリングに携わっている、と不満をつのらせた起業家たちは観察する。
さらにレーン氏は、プレゼンテーションと売り込み資料を「通常の人間的会話」よりも重視するVCたちの変わらない性分が、そうした経験が少ない傾向にある過小評価されたファウンダーに対してネガティブな影響を与え続けている、と指摘する。
投資ステージによる部分もあると、参加者たちは主張した。2021年のベンチャー投資全体の増加は、後期ステージラウンドが押し上げたものだが、そのステージは男性ファウンダーが支配する傾向が強い。
さまざまな憶測が飛び交う中、PitchBookレポートには明るい兆しもあった。何かといえば、PitchBookのデータは、女性ファウンダーが少なくとも1名いるVCが支援する企業は、回数で2021年の全ベンチャー投資の25%以上を占め、総投資金額の17.6%を獲得したことを示している。このカテゴリーの大部分は設立チームに男性と女性両方を含んでいる。
アクセラレータープログラムOn Deck(オン・デック)のShriya Nevatia(シュリア・ネバシア)氏は、PitchBookのデータを楽観する理由に挙げ、女性ファウンダーを1人以上含む案件が最近増加していることをツイートで指摘した。「これは50%にかなり近い、2008年が11.8%だったことを思えば相当な早さです」とネバシア氏は書いた。
さらに彼女は「私たちは『今』前進しているところです、みなさんこの調子でがんばりましょう」とツイートした。
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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nob Takahashi / facebook )