ここ数年、ロボット研究者たちが有脚ロボットで実現した成果は驚くべきものばかりだ。2021年7月にオレゴン州立大学はCassieを5km走らせたのは記憶に新しいところだが、今週、チューリッヒ工科大学の研究者たちは、ANYmalロボットが近くの山を登る訓練でその身体能力を伸ばしたと発表した。
訓練した四足ロボット(Boston Dynamicsの製品をどうしても連想させる形状の)は、近くのエッツェル山という標高1098メートルの山頂を歩くように訓練されている。このロボットは、120メートルの標高差がある山道を31分間で歩くことができたという。これは、人間のハイカーの標準的な歩行時間よりも4分も速い。さらにつまずいたり、踏み外したりすることなく、このロボットがタスクを達成したということは、多くの人間が思う以上にすばらしいものだ。
研究者たちによると、この偉業は制御方式の変更で達成できたとのことで、科学誌でも紹介された。方式は、画像による視覚と触覚のフィードバックを組み合わせたというもので、この組み合わせにより、ロボットはハイキングではよくある視野が限られた凹凸のある地面を楽に歩けるようになる。このフィードバックをもとに、ロボットはどの程度慎重に歩けばいいのかなどを判断する。この技術は、四足歩行ロボットが山を登る前に、まず仮想環境で試された。
研究リーダーのMarco Hutter(マルコ・フッター)氏は、「このロボットは、視覚による環境認識と、脚の直接接触に基づく固有感覚(触覚)を組み合わせることを学びました。これにより、より速く、より効率的に、そして何よりも堅固に悪路に望むことができるのです」という。ANYmalは将来、人間にとって危険な場所や、他のロボットでは通れないような場所でも使用できるようになるだろう。
不整地での安定した歩行は、四足歩行ロボットにおける重要な研究開発課題だ。このようなリアルタイム処理の活用は、最終的には、人間を危険から守るために危険な状況に送り込まれるロボットに役立つと考えられている。
画像クレジット:Takahiro Miki/ETH Zurich
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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)