今さらだが、クラウドインフラ市場は驚異的な成長を続けている。Synergy Research(シナジー・リサーチ)のデータによると、2021年1年間で500億ドル(約5兆7500億円)近いビジネスが追加され、2020年の1290億ドル(約14兆8600億円)から2021年は1780億ドル(約20兆5000億円)に成長した。Canalys(カナリス)も同様の数字を報告している。
四半期に関しては、Synergy Researchの報告によると、市場は500億ドル(約5兆7500億円)に達し、前年比36%増となった。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグ3は、市場が成熟しても、市場での強みを活かして目覚ましい成長を続けている。
MicrosoftとGoogleは同程度の成長率で、四半期で45%前後、Amazonは40%弱の成長率になっている。四半期の売上高は、Amazonが約170億ドル(約1兆9500億円)、Microsoftが約100億ドル(約1兆1500億円)、Googleが約50億ドル(約5700億円)となり、いずれも健全な成長事業となった。
市場の割合による内訳は、2021年から大きく変わっておらず、Amazonが33%でトップ、次いでMicrosoftが21%、Googleが10%となっている。注目すべきは、Amazonのシェアがここ数年頑固に続いているのに対し、GoogleやMicrosoftは時間をかけて着実に成長を続けていることだが、もちろん、市場は拡大を続けており、Amazonの収益もそれなりの伸びを続けている。
実際、Synergy Researchによれば、4年半前にはわずか11%のシェアだったMicrosoftが、18四半期で2倍となり、見事な上昇ぶりを見せているという。Synergy Researchの主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、Amazonのポジションがしばらく変わっていないことについては、あまり心配していない、と述べている。彼はそれをいい問題だと言っている。
「巨大で急速に成長する市場の3分の1を支配することは、はまるのにとてもいい『わだち』です」と、ディンズデール氏は述べた。そして、将来を予測するつもりはないが、急速な成長を一貫して続けることは難しいと指摘した。
「原則として、将来の市場シェアについては、予測もコメントもしません。それは私たちのようなアナリストが超えてはいけない境界線なのです。しかし、数学は強力な力であり、規模が大きくなればなるほど、積極的な成長を維持することは難しくなるとは言えます。それは(企業の)人生の事実なのです」。
CanalysのデータはSynergy Researchのデータにかなり近く、四半期で530億ドル(約6兆1000億円)強、34%増と報告されている。Canalysは、年間では、2020年の1420億ドル(約16兆3600億円)から前年比35%増の1917億ドル(約22兆900億円)としている。
四半期の内訳は、Amazonが33%、Microsoftが22%、Googleが9%となっている。繰り返しになるが、この数字はSynergy Researchのものと引き分けと呼べるほど近いものだ。どちらも市場を同じように定義しているので、大きな驚きにはならない。
Canalysは、ホスティングされた専用プライベートインフラストラクチャまたは共有インフラストラクチャのいずれかのサービスと、サービスとしてのプラットフォームを対象としている。Synergy Researchでは、インフラとプラットフォームサービスを対象としています。両社ともSaaSは除外しており、別カテゴリーとしてカウントしている。
事実、市場は急速な成長を続けており、アナリストや予言者が正しければ、クラウドの成長余地はまだ山ほどあると思われる。特に最大手の企業は、派手な収益を上げてこの成長の恩恵を享受しており、ここ数年、四半期ごとに私たちはそれを目の当たりにしている。
市場の底辺であっても、まだまだ儲けはある。MicrosoftやAmazon、Googleのレベルには及ばないかもしれないが、それでも数十億ドル(数千億円)規模のビジネスの積み重ねは可能だ。今後数年間、私たちは急速な成長を見続ける可能性がある。そうでなくなったとき、それは「人が犬を噛む」ような珍しいニュースになるだろう。
画像クレジット:Kwarkot / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)