Spotify(スポティファイ)とJoe Rogan(ジョー・ローガン)氏の問題に関する最新情報が報じられた。SpotifyのDaniel Ek(ダニエル・エク)CEOは米国時間2月6日、ローガン氏が自身のポッドキャストで配信した過去のエピソードで有害な人種的中傷となる発言をしていたことについて、スタッフに社内書簡を送付した。現在は、これらの過去のエピソードのうち70本以上がSpotifyから削除されている。The Hollywood Reporter(ハリウッド・レポーター)に掲載されたこの社内書簡の中でエク氏は、歴史的に疎外されてきたグループの音楽やオーディオコンテンツの使用許諾、開発、マーケティングに、Spotifyが1億ドル(約115億円)を投資すると宣言している。これは、同社がジョー・ローガン氏との独占コンテンツ契約に支払った金額と同じだ。
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「1つの点を明確にしておきたい。私はジョーを黙らせることが解決策だとは思っていません」と、エク氏はSpotifyのスタッフに向けて書いている。「我々はコンテンツに関する明確な境界線を持ち、それを越えた場合には行動を起こすべきですが、声を消してしまうのは滑りやすい坂道です。この問題をもっと広く考えると、批判的な思考とオープンな議論こそが、本物の必要な進歩の原動力となるのです」。
Spotifyは2020年5月、ローガン氏のポッドキャスト「The Joe Rogan Experience(ザ・ジョー・ローガン・エクスペリエンス)」と1億ドル規模の複数年にわたる独占契約を締結、11年分のコンテンツが同プラットフォームでのみ配信されることになった。だが、すでに物議を醸しているローガン氏が、新型コロナウイルスに関する誤った情報を広めている極右陰謀論者のAlex Jones(アレックス・ジョーンズ)氏などのゲストを番組に登場させ、Spotifyユーザーの懸念をさらに募らせることになるまで、それほど時間はかからなかった。
最近では、業界で最も聴取されているポッドキャスターの1人であるローガン氏が、新型コロナウイルスに関する誤情報を広めたことでTwittert(ツイッター)から締め出されたウイルス学者Robert Malone(ロバート・マローン)博士をゲストに招いたことで、270人の医療関係者がSpotifyに誤報に関するルールを導入するよう求める公開書簡に署名するなど、緊張感が高まっている。
ローガン氏による誤った公衆衛生情報を流布する役割を果たしたことに対するSpotifyの不作為に抗議して、Neil Young(ニール・ヤング)氏、Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)氏、作家のRoxane Gay(ロクサーヌ・ゲイ)氏などの著名人が、Spotifyからコンテンツを引き上げた。
「私が考えていることの1つは、クリエイターの表現力とユーザーの安全性をさらに両立させるために、どのような追加措置を講じることができるかということです」と、エク氏は書いている。「これらの取り組みについて相談する外部の専門家の数を増やすように、私はチームに依頼しています。詳細を発表できる時を楽しみにしています」。
今までのところ、Spotifyは、新型コロナウイルスが実在しないと主張するような「危険で欺瞞的な医療情報」を促進するコンテンツを禁止するプラットフォームルールを掲げている(以前はなかった)。また、新型コロナウイルスに関する話題を含むポッドキャストには、コンテンツアドバイザリーを追加することも確約している。
このような広報面での悪夢のような出来事があったにもかかわらず、Spotifyは他のストリーミングサービスと比較して、その市場シェアを大きく失っていない。
画像クレジット:composite:Vivian Zink/Syfy/NBCU Photo Bank/NBCUniversal and TORU YAMANAKA/AFP via Getty Images
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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)