新型コロナの影響もあり、世界的にメンタル不調が拡大しているといいます。このような状況下でも前を見て進むためには、治療薬や医療機器のみならず“孤独の解消”や“つながり”も重要、と話すのは株式会社comatsunaの代表取締役であり現役医師である吉岡 鉱平氏。
そしてヘルスケアとしての“つながり”の効果をテクノロジーで最大化すべく、メタバースで展開するヘルスケアコミュニティサービスとして「メタバースクリニック」をオープンしました。
匿名アバターで参加できるさまざまなイベントを通じて孤独や不安の解消に貢献しつつ、ヘルスケアにおけるメタバースの可能性を模索していきたいとしています。
多様な空間で音声でつながる人の輪
「メタバースクリニック」は、医師による悩み相談、自助グループ、座談会などに匿名アバターで無料参加できるサービス。VRデバイスのほかPCからでも参加可能です。なお“クリニック”となっていますが、コミュニケーションの場であり医療行為を行う場ではありません。
悩み相談では、健康相談はもちろん雑談や人生相談など医師とマンツーマンで対話できます。自助グループでは、同様の問題を抱えている他者やその家族と共に自発的につながり、受容的な雰囲気の中で意識変容や行動変容に結びつくようなコミュニケーションが展開されるようです。
吉岡氏は「医師がどれだけ患者さんに寄り添おうとも、実際に同じような状況を経験した人の言葉には到底敵いません」と、自助グループの可能性に期待しています。
座談会は、毎回“ADHD”や“ひきこもり”などのテーマを決めて開催予定。基本的に吉岡氏も参加し、必要に応じてアドバイスを行うとともに有識者をゲストとして招くこともあるようです。
これらのイベントは、音声で会話するため、コミュニケーションにリアリティが生まれるとか。また、テーマごとに空間演出を変えることで話しやすい環境を整えるなど、メタバースならではの施策もあるようです。
スポンサーとメタバーススタッフを募集
同サービスの参加者は無料ですが、マネタイズはどうするのでしょう。
答えは、スポンサーからの広告収入です。スポンサーは、メタバースクリニック上に企業広告を表示し、参加者へのアプローチを図ることができます。また、(参加者同意のもと)イベントの様子を動画化してYouTubeなどで配信する場合には、さらなる広告効果が期待できるでしょう。
現在、このスポンサーとともに“メタバース・プラクティショナー”を募集中。同社はメタバース・プラクティショナーを、メタバース上でアバターとして教育的なコンテンツ配信や対面型サービスを提供する人と定義し、特に医療系・心理系・カウンセリングなどの資格保有者を募集しています。スキルを持っているのに、時間や距離の制限で働きに出られない、という人に新たな選択肢をもたらしそうですね。
今後の展開
同サービスは当面、「VRCHAT」にて展開予定。今後は、サービスの進展に合わせて、クロスプラットフームの可能性やプラットフォームの移行、メタバース企業とのコラボレーション、独自プラットフォームの開発などを視野に入れているとのことです。
また、ヘルスケアという視点からメタバースの持つ可能性を追求すべく、すでにいくつかのアイデアに着手し、サービス化を予定しているといいます。
PR TIMES
note~精神科医の僕がネットの「仮想クリニック」を作った理由~
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/173117
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口