暗号資産やフィンテックの世界では、詐欺の検出が今や人気のビジネスとなっている。特に暗号資産は最近、注目を浴びる大規模な事件があり、このエコシステムの住人である企業はこぞって、コンプライアンス能力を高め、規制の熱湯を浴びないよう心がけている。
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フィンテック企業のためのコンプライアンスプラットフォームSardineは、主にネオバンクやNFTのマーケットプレイス、暗号資産取引所、そして暗号資産の新進スタートアップたちに利用されている。同社の50ほどの顧客の中にはBexやFTX、Luno、 Moonpayなどがいる。
CEOで共同創業者のSoups Ranjan(スープ・ランジャン)氏は、TechCrunchのインタビューで「私たちの顧客全員が求めるユースケースは要するに、お金がウォレットにロードされるときに詐欺を防ぎたいということです」という。
顧客がマネーをクレジットカードやデビットカードやACH送金などから自分のウォレットに移すとき、Sardineは独自のアルゴリズムを使ってそのカードや銀行口座にリスクスコアを割り当て、そのトランザクションの詐欺被害可能性を評価する。リスクスコアと詐欺検出という2つの機能を同社は長年提供しているが、米国時間2月10日、同社は、即時ACH送金というサービスを発表した。それを利用すると顧客は、これまでのような、自分の資金にアクセスするための3〜7日の待ち時間を回避することができる。Sardineの方法では、消費者の暗号資産による購入に対し事前に資金をロードしておき、待ち時間に起きる詐欺や規制やコンプライアンスのリスクを避ける。
Sardineは2021年3月に450万ドル(約5億2000万円)のシード資金を調達し、今回はAndreessen Horowitz(a16z)や NYCA、Experianなど新しい投資家からの1950万ドル(約22億6000万円)のシリーズAを調達したことを発表した。これまでの投資家も、このラウンドに参加した。ランジャン氏によるとラウンドをリードしたのはa16zとのこと。
ランジャン氏はこれまで、Coinbaseのデータサイエンスとリスクのディレクターや、Revolutの暗号資産部門のトップを務めた。彼によるとSardineのリスク評価アルゴリズムは、ユーザーの行為がそのベースだ。そのアルゴリズムは例えば詐欺の可能性として、名前のような基本的な入力でいろいろなウィンドウを切り替えるなど、分割されたタイピングを検出する。また、ユーザーのスマートフォンの加速度計やジャイロスコープのデータや、ネットワークトラフィックに関する情報などからも、詐欺の脅威を評価する。
Sardineは警察のツールではなく詐欺の検出が仕事なので、いろいろな規制の地域による政治による違いは重視しない。クライアントは世界中にいて、日本やロシアなどの企業の米国進出を手伝ったこともあるとランジャン氏いう。そして同社の技術者は、世界中のすべての標準時間帯に配置されているそうだ。
「詐欺はグローバルなものです。詐欺師の行動には共通したパターンがあります。お金をカナダで盗むか、米国か日本かといった違いは無関係です」とのこと。
今回の資金調達で得た資金は、近い将来、少なくとも30人の従業員を雇用するために使われる予定だとランジャン氏はいう。技術チームの増強に加えて、成長、マーケティング、法務の各チームを率いる幹部も募集している。
ランジャン氏は「新世代のフィンテック起業家はすばらしいアイデアの持ち主たちですが、外国の複雑なコンプライアンスの処理には疎い」という。
「私たちは彼らの詐欺対策やコンプライアンス処理を助けて、彼ら自身がそこで悩まないようにします。彼らには、プロダクトの構築と立ち上げと市場化対策に専念してほしい」。
画像クレジット:RamCreativ
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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Hiroshi Iwatani)