【趣味な男の欲しいモノと秘密基地】
料理好きにとって、お気に入りの道具を使いこなすことも楽しみのひとつ。料理道具の達人として、世界中から集めた包丁や鍋、家電をキッチンにそろえる荒井康成さんに、道具を選び、使いこなす喜びを聞いた。
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■素材や技術に惚れ込んだ道具を使えば一層腕が鳴る!
キッチンカウンターの上にずらりと並ぶガラス容器やコーヒードリッパー。その下の収納やシンク、テーブル周りにも、鍋やフライパン、食器、カトラリーなどがぎっしりと置かれている。1990年代から調理にまつわるさまざまな商品の輸入に携わってきた荒井さんのキッチンには、実に多彩な料理道具が集う。現在は料理道具コンサルタントとして活動しているため、仕事で使う道具も交ざっているが、その大半は自身が本当に気に入って購入したものばかり。愛着のある道具に囲まれて、日々料理を楽しんでいる。
「基本的にアナログ的な道具が好きです。木や鉄など素材感がわかったり、人の手で作られた感じが伝わってくるものをよく選んでいます。こういった料理道具はメンテナンスをしながら長く使っていけるものが多いので、余計に愛着が湧きますね」
洋菓子店勤務などを経て、エミール・アンリ社の日本代理店立ち上げに携わる。その後、料理道具コンサルタントとして独立。専門学校の講師や執筆も手がける。著書に『ずっと使いたい世界の料理道具』(産業編集センター刊)
キッチン周りを見渡してみると必要以上と思える種類の道具が置かれているが、それぞれの違いを深堀りしながら使うのが、荒井さん流の道具の愛し方だ。
「まな板やカッティングボードだけでもかなりの数がありますが、使っている木の種類や形状によって実は用途が細かく異なります。硬さや含まれる油分の違いで、肉や魚、野菜など適した食材も違ってきます。また、メーカーや作り手のこだわり、製造技術を調べてみるのも楽しいです。一つひとつに意味があり、それが料理の出来につながってくるので、単なる道具以上の奥深さが感じられます」
もちろんオーブンやコーヒーマシンなどの家電も持っているが、こちらは日本のライフスタイルに影響を与えたものが多い。
「日本では世界中の料理道具が手に入りますが、その中でもこの30年ほどで食生活やライフスタイルを変えた家電を使っています。例えば、デロンギのコンベクションオーブンは、狭いキッチンにも置きやすく、電子レンジとの使い分けもしやすい。大型多機能なオーブンレンジでは持て余すという人に、近年人気があります。日本メーカーの製品とは少し使い勝手が違いますが、クセがあって最初はちょっと使いづらい道具の方が長く見ると愛着を感じやすいように思います」
道具にこだわりながら料理を作ると、自然と食材や調味料にも興味が湧き、あれこれと買い揃えたくなる。荒井さんが講演などで出会う人にも、そうして料理の沼にハマっていく人が少なくないという。道具を選び、調理しながら使い比べる。趣味として料理を追求するなら、そんな楽しみ方もありだろう。
【特に思い入れが強い3アイテム】
■親子2代で使うまな板
桜の木で作られているまな板は、お母さんから譲り受けたもの。「経年変化を楽しみながら使い続けるのは、SDGsの精神にも合致しています」
■正方形の卵焼き器
長方形の関西型になじみがある人も多いだろうが、東京出身なので正方形の関東型を愛用。「地方ごとの食の違いが道具にも表れて面白いです」
■タークのフライパン
ドイツメーカーによる鉄製のフライパン。「1枚の鉄を職人が叩き上げて作ったもの。肉を焼くと脂を吸収するのですごく美味しく焼けます」
※2021年2月4日発売「GoodsPress」3月号28-29ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/高橋 智 写真/湯浅立志(Y2)>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/430412/
- Source:&GP
- Author:&GP