自治体にオンデマンド輸送のテックを提供しているカナダのRideCo(ライドコー)は、2000万カナダドル(約18億円)のシリーズAラウンドをクローズした。RideCoの共同創業者でCEOのPrem Gururajan(プレム・グルラジャン)氏によると、新たに調達したこの資金は製品のさらなる開発に充てられ、エンジニアリングチーム、顧客サービス、営業とマーケティングチームの大幅拡大にも使われる。
Via(ビア)を最大の競合相手とするRideCoは、ソフトウェア・アズ・ア・サービスのビジネスモデルを展開している。自前の車両と、Remix買収で獲得した輸送プラニングのテックを提供しているViaとは異なり、RideCoは輸送機関や運行オペレーターに基本的なソフトウェアとアプリを提供し、そうした機関やオペレーターがRideCoの最大の顧客である自治体にオンデマンドの輸送オプションを提供できるようにする。RideCoはまた、従業員の送迎をダイナミックに行う方法を探している企業にもサービスを提供している。
このソフトウェアは、バスやその他の車両のためにダイナミックルートを作成し、需要に応じて次のピックアップ場所とドロップ場所に向かわせる。サンアントニオ、ロサンゼルス、そして直近ではラスベガスといった都市が、こうした機能を利用して、ファーストマイルとラストマイルの輸送へのアクセス問題に取り組んでいる。これは、いまだに固定ルート輸送システムが中心となっているほとんどの都市に共通する問題だ。
「例えば、サンアントニオでは、人口密度が高いため交通の便が良い地域がある一方で、人口密度が低い地域も多く、そうしたところではファーストマイルとラストマイルへのアクセスに問題があります。そうした場合、固定ルート輸送はうまく機能しません」とグルラジャン氏はTechCrunchに語った。
ダイナミックシャトルやバスは、人々が乗車をオーダーする場所や降ろして欲しい場所に実際に行くことでそうした問題を解決し、都市にこれまでよりもモビリティを生み出すことができる。
「当社のサービスを利用している自治体では、ライトレールや高速バスレーンがあり、バスが満員になるような需要がある高頻度コリドーにつながる中・低密度地域でダイナミックトランジットを利用することができます」。
乗客はアプリで車両を確認でき、事前予約やリアルタイムでの乗車予約、あるいは出勤日の毎日午前9時といった定期的な乗車予約も可能だ。
Eclipse VenturesがリードしたRideCoのシリーズAは、創業以来7年間で初の機関投資家からの資金調達だ。グルラジャン氏によると、これはいくつかの要因のためで、まずRideCoは最初の数年間、中核となるテクノロジーの構築と、特定のユースケースを解決するためのベータ版顧客とのテストに注力していた。
RideCoは、製品を市場に投入する準備ができたとき、まだ製品と市場の適合性がないことに気がついた。
「市場に出てみると、この製品に興味を持つ顧客はいましたが、全体として市場はまだ準備ができていませんでした」と同氏は話した。「アプリ主導の交通機関であるものにはまだ不安があったようですが、2018年末ごろからすべてが変わり始めました。サンアントニオのような大都市との契約がいくつかあり、それらはコスト削減と住民のモビリティ向上の観点で大成功を収めました」。
それ以来、RideCoはカルガリーやヒューストンのような大都市からオンタリオ州コブールのような小さな町まで、米国とカナダのあちこちの都市に進出している。パンデミックで交通機関が、乗客の需要パターンの変化に柔軟に対応することや、近代的ですぐに反応するネットワークへの要望に応える新しい方法を考え始めたことも、RideCoの成長を加速させたとグルラジャン氏はいう。
この1年間で、RideCoの顧客数は2倍になったが、同社はその成長の基盤を明らかにしていない。
主要な競合相手であるViaが、オンデマンド輸送のプロバイダーというよりも、総合的な輸送技術プロバイダーとして提供するサービスを多様化させている中で、RideCoはオンデマンド輸送の提供を強化している。技術の類似性から2021年に互いに特許侵害訴訟を起こしたこの2社は同じ年に設立されたが、ViaはRideCoよりもはるかに多くの市場シェアを獲得している。
RideCoは、黎明期にあるこの業界で、まだシェアを切り開くことができるかもしれない。米国とカナダの交通機関の約16%がすでにオンデマンド交通を提供しており、この数値は他の共有モビリティの形態とともに増え続けると予想される。RideCoは、現在の勢いを維持する必要がある。
画像クレジット:RideCo
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi)