eスクーターの話題の多くは、シェアードスクーターや、それを展開する企業、展開されている都市の話題で占められている。しかし、ロンドンを拠点とする電子スクーターブランドTaur Technologies(トア・テクノロジーズ)の共同創業者でリードデザイナーのCarson Brown(カーソン・ブラウン)氏は、スクーターシェアリングと乗り物としてのスクーターとを分ける時期に来ているという。
Taurは2019年に、走行中にライダー(乗り手)が正面を向くことができるフットデッキと、大きなタイヤを2つ搭載した、高級で洗練された白いeスクーターの事前予約キャンペーンを開始して、世間に認知された。ロンドンでの発売を予定していたが、栄子0苦ではまだ個人所有のeスクーターが合法化されていない。
そこでTaurは、未来の交通システムを専門とする、サンフランシスコのVCであるTrucks VCから、175万ドル(約2億円)を調達し、ロサンゼルスで始動することとなった。電動スクーターの市場は成熟しているとまでは言えない。新会社の参入は大注目とまではいかないまでも、それなりに注目されるに足る市場であることは確かだ。
ブラウン氏はTechCrunchに「始めたころは、シェアリングが本当に一般的だったと思います。そんな中で自信満々に勇敢で愚かな決断をして、次は所有スタイルが来るよ!と言い切ったのです」と語った。なので、このスクーターを受け入れてくれる市場でチャンスを掴もうとしていますが、LAは製品の観点からだけでなく、大きな部分を占めるブランドという観点でもすばらしい場所だと考えています。普通の人にとってのスクーターのイメージを変えていきます。それができたなら、目的を達したことになります」。
言い換えれば、スクーターをニッチなものとか「二流市民の移動手段」としてとらえるのではなく、憧れの交通手段としてとらえることのできる文化的な転換を図りたいというのが、Taurの考えなのだ。スクーター会社の多くは、あまり個性がなく、文化的にもあまり貢献できていないのは確かだ、とブラウン氏はいう。
「できるだけ安く作って、できるだけたくさん売るというのが普通でした」と彼はいう。「私たちは、本当に最先端で、最前線で、実際に人々が話題にする製品となるものを提供できるチャンスに惹かれたのです」。
Unagi (ウナギ)のスクーターは、スクーター界のiPhone(アイフォン)と呼ばれてきた。同ブランドが最近発表した次世代のModel Eleven(モデル・イレブン)は、物体検知や警告などの高度なライダー支援機能を備え、スピーカーなども内蔵したスマートスクーターだ。そのスクーターは約2860ドル(約33万円)だが、標準的なModel One(モデル・ワン)は約990ドル(約11万4000円)だ。
Unagiは、Iggy Pop(イギー・ポップ)氏のようなセレブのインフルエンサーたちをスクーターのクールなイメージとして採用してきたが、ブラウン氏はUnagiがその形状の可能性を究極まで追求できているとは考えていない。彼は、デザインの観点から考え抜かれ、セクシーに見え、プレミアム価格(1495ドル[約17万3000円])を持つTaurの戦略が、所有欲をかきたてるための文化の転換を促すのに役立つと期待している。