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ラインは細く、よく曲がる竿で!アジングで最初の一匹を釣るコツ教えます

日本の沿岸に広く生息するアジをルアーで狙う“アジング”。ライトタックルで気軽に始められるとあって人気ですが、「最初の一匹がなかなか釣れない」なんて話しを耳にすることも。そこで、週に3日はアジ釣りに出かけるというアジングの達人に、“これだけは知っておきたいアジングの基礎”をギュッと凝縮して教えてもらいます。

村端 駿佑(むらはた・しゅんすけ)さん

メイドインジャパンにこだわり、自社製造のブランクを使用した釣り竿を世界中のブランドへOEM供給する、東京下町のロッドメーカー「リチャーズ」で開発を担当。バスフィッシングで培った視点で、エリアトラウトからアジングまで様々な釣りをこなす

■とにもかくにも“ジグ単”をマスターすべし

▲ジグヘッド(=オモリのついた釣り針)を単体でワームと組み合わせるリグ(仕掛け)が「ジグ単(じぐたん)」

アジングには様々なリグ(仕掛け)が存在します。ジグヘッドやキャロライナリグ(キャロ)、はたまたジグヘッドに追加するフロートなど細分化されていますが、それが「アジングはややこしい」という印象を与えているかもしれません。

なにはともあれ、“一匹アジを釣ってみたい”なら、とことんシンプルな“ジグヘッド単体(ジグ単)”に全集中してやり込むのも手です。

釣りのスタイルは地域やシチュエーションで異なり、“これが正解”というものはありません。今回は、自分がコンスタントに釣れるようになるきっかけになった“コツ”にしぼってご紹介します。

■ロッドは“ジグ単専用6フィート”をチョイス

▲40年以上の歴史を持つリチャーズの技術のすべてを注ぎ込んだ「ペンタスティックPS2F 4LB-600S」(4万1000円)。バーサタイル(高汎用性)な性格なので様々な魚種を狙えます

アジングで一番大切なのは「自分のルアーが水中のどこにあるかを知る」こと。初心者はまずその感覚を覚えるのが“最初の一匹への近道です”。そのためには繊細なティップ(竿先)を持ち、片手で投げられる長さ6フィート(約1.8m)のジグ単専用モデルが最適です。

自分がデザインしたリチャーズの「ペンタスティックPS2F 4LB-600S」のように、軽量でしなやかに曲がるロッドがオススメですね。

▲ペンタスティックのオプションとして用意されているソリッドカーボンのティップはこんなにもしなやか。曲がることでラインを張れ、軽量ジグヘッドの存在を察知しやすくなる

素直でキレイに曲がるようベンディングカーブをデザインしているので、投げやすさもアタリのとりやすさも抜群なんです。

竿先がやさしく曲がるソリッドティップなら、ジグヘッドが潮のなかでどのような状態になっているのか感知しやすい。ロッドは曲がることで機能するので、しなやかなロッドを選んでください。

▲アジングのパイオニアの一人、家邊克己氏が率いる「34(サーティーフォー)」のロッド。「自分のスタイルが見えてきたら、マニアックなロッドを加えても面白いですよ」(村端さん)

そういったロッドでジグ単の動きを感じられるようになったら、よりチューンナップされた専用ロッドを試してみると釣りの幅が広がります。

■リールはエントリークラスでもOK

リールのサイズは、1000〜2000番がベスト。軽量で回転性能に優れることに越したことはありませんが、アジングではたるんだラインを巻き取れればいいので、ハイエンドモデルでなくても大丈夫。実売価格1万円以下のモデルでも十分快適なんです。

ロッドデザイナーだから言うわけではありませんが、アジングはリールより竿にコストを掛けたほうが幸せになれます(笑)。

■ラインは激細の0.2号エステルでがんばる

▲極細のエステル製ライン(写真右、34・ピンキー0.2号:1650円)の先端に、30センチほどショックリーダー(34・ジョイントライン:1078円)を継ぎ足すのが基本。エステルはキズつくとすぐに切れるので、釣行毎に10メートルほどカットします

アジングでリールよりも大切なのがライン(釣り糸)です。素材はナイロンやフロロカーボン(フロロ)のほか、PEなどがありますが、ジグ単アジングにはエステルという素材が適しています。というか、一択です。

エステルのメリットは、伸びが少なく比重が高いので、水によくなじみアタリを感じやすいこと。とくに重要なのが細さで、0.2号など細ければ細いほどいいですね。

釣り経験者ほど「0.2号なんて細すぎ!」と驚かれますが、アジの目の前により自然にジグヘッドを送り込めるので、釣れるチャンスが激増します。

太い糸で自然にジグヘッドを流す技術を覚えるより、細い糸でも切れないよう慣れる方がはるかに簡単です。頭を切り替えて細いラインに挑戦してみてください。きっとアジングの世界がクリアに見えてきますよ。

■ジグヘッドは1.0gに全集中してやり込む

▲ジグヘッドは同じ銘柄で揃えると感覚がつかみやすい。基本は写真中央の1.0gで、強風の場合は左の1.8gから3.0g程度の重めを使用。一番右の0.3gが使いこなせるようになれば言うことなし

ジグヘッドは同じ銘柄でも重さのバリエーションがあり、軽いもので0.3グラム、重いもので3.0グラム程度までラインアップされています。

自然に振る舞う軽いジグヘッドが有利ですが、それでは「ジグヘッドがどこにあるか」わかりにくい。ですので、まずは1.0〜1.3グラム程度のジグヘッドでとことんやり込んでみるのがおすすめです。

■ワームはストレートが基本

▲2.2インチの「パフネーク」(495円)なら、群れのアジのサイズが極端に小型な場合などはカットして対応可能

ワームは2インチ(5cm)程度のストレートタイプが基本です。カラーはプランクトンの群れをイメージさせるクリア&ラメ系と、透明度の低いソリッド系の2種類をまずは揃えておけば十分です。

■ワームは動かしちゃダメなんです

▲そーっとロッドを立て、ジグヘッドが一定の深さを泳ぐように全集中する村端先生。「他の釣り人に出会ったら挨拶して情報交換するといいですよ」とのこと

地域やシチュエーションにもよりますが、アジは基本的に漂うプランクトンを捕食しています。なので、ジグヘッドを派手に動かすのはむしろNG。

ジグヘッドが同じレンジを水平にふわふわ漂うよう、ロッドをゆっくりと持ち上げて、ルアーが手前に来てできたラインのたるみをリールで巻き取る、という動作の繰り返しで十分なんです。

▲「アジは基本的に大きな群れでエサを探しています。レンジを見つけ正しくトレースすればそれほど釣るのは難しい魚ではないんです」(村端さん)

回遊魚のアジは天候などによって泳ぐ深さ(レンジ)が異なります。その日のレンジを把握するために、まずは投げたら5秒間カウントダウン(沈める)してから漂わせ、その次は10秒、15秒と、5秒ずつ深く探っていきます。

ラインが水面に引き込まれなくなったらボトム(水底)についたサインなので、その釣り場の水深がわかるというわけです。

*  *  *

「0.2号のエステルラインで1.0gのジグ単をやり込む」そんな教えを実践すべく、村端さんと東京湾の某所にやってきた取材班。

「今日は風が強いので、足元にたまったプランクトンを食べに集まっているかも」というアドバイスで、岸近くを探っていると「コツンッ」という、小さいけれども明確なアタリが。夢中でリールを巻くと小さなアジが釣れてしまいました!

▲空気を読んだのか筆者のジグヘッドにバイトしてくれたアジ。美しいです

ジグヘッドの様子を想像し、全神経を集中してアジの反応を探る。なるほど、これがジグ単の面白さなんですね。思いっきりハマりそうです!

>> リチャーズ

<写真・文/杉山元洋>

杉山元洋|自転車やSuperCubなどの二輪車と大衆酒場を愛する、下町育ちの編集者兼ライター。男性情報誌、ビジネス、生活情報、グルメなど、幅広い分野の雑誌・ウェブ記事制作に携わる。Instagramアカウント:xcub_redbear

 

 

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