オンライン採用は、第一次インターネットブームの初期の大ヒット商品の1つだった。しかし、より多くのビジネスプロセスがオンラインに移行する中、オンライン求人検索はただ与え続け贈り物のような存在だ。そこで米国時間3月16日、この分野の別のポータルが、より革新的で確かな技術でこの分野の既存企業に対抗するために、大規模な資金調達を行ったというニュースが飛び込んできた。リクルーターが直接投稿した求人広告と、サードパーティの求人サイトの広告の両方を集約するポータルサイトのTalent.com(タレントドットコム)は、シリーズ Bラウンドの1億2000 万ドル(約141億9800万円)を調達した。同社はこの資金を、国際展開を続け、このプログラム検索プラットフォームにさらに投資し、ユーザー向けの新しい製品とサービスを導入するために使用する予定である。
Talent.comはかなり国際的なプロフィールを持っている。現在、78カ国、29言語にわたって100万社の約3000万件の求人情報を掲載し、その範囲内で毎月2800万人以上のアクティブな訪問者があるのだ。しかし、このスタートアップ自体はモントリオールを拠点とし、今回のラウンドではカナダのVC、Inovia Capital(イノヴィア・キャピタル)がリードし、以前の支援者 Caisse de depôt et placement du Québec (ケベック州金融公社/CDPQ) と新しい投資者 Investissement Québec(インベストメント・ケベック)、Climb Ventures(クライム・ベンチャーズ)、BDC Capital(ビーディーシー・キャピタル)、Fondaction(フォンダクション)およびHarbourVest Partners(ハーバーべスト・パートナー)も参加している。この1億2000万ドル(約141億9800万円)の株式と同時に、BMO Financial Group(ビーエムオー・ファイナンシャル・グループ)のTechnology & Innovation Banking Group(テクノロジー&イノベーション・バンキング・グループ)から新たに3000万ドル(約35億5000万円)の負債性資金も調達している。
Talent.comの共同創業者で共同CEOのLucas Martínez(ルーカス・マルティネス)氏は、Maxime Droux(マキシム・ドルー)氏、Benjamin Philion(ベンジャミン・フィリオン)氏と共同で同社を設立した。同士はインタビューの中で、この資金を使って、消費者が探しているものにもっと関連した結果を見るための技術をさらに構築し、広告の反応性を測定するツールやクリックされた人に応じて料金を請求するツールを使って、雇用主にとってより魅力あるプラットフォームとすることが目的だと語っている。
(コンテンツに興味を持ってもらうためには、適切な表現が必要であることを、同社自身が身をもって知っている。同社は以前、フィンランド語で「アドバイス」を意味するNeuvooという社名だったのだが、収益性は高かったものの、その単語の発音につまずく人が多く、またその意味が大衆市場とは特に関係がないこともあり、あまり急成長しなかった。そこでNeuvooは2019年に社名を見直すことを決め、Talent.comが売りに出されているのを見ると、それに飛びつき、ブランドを変更したのだ。このドメインには130万ドル[約1億5000万円]を支払ったが、不思議なことに残りの詳細は3年間NDAの対象であり、誰が売却を行ったのかは不明である。マルティネス氏は「Google?」と私が聞くと、笑って「違う」と答えたが、それ以上詳しくは語らなかった)
また、同社はこの資金をさらなる国際展開のために投資している。マルティネス氏は、同社が欧州の新たなハブ拠点を設立しているバルセロナから取材に応じた。
現在、この市場には、Indeed.com(時価総額660億ドル[約7兆8090億円]、SimplyHiredなどのブランドを所有する日本の人材大手Recruit Holdingsが所有)や、2021年上場したZipRecruiter(ジップリクルーター)、LinkedIn(リンクトイン)、検索大手Google(グーグル)などのビッグプレイヤーがいる。しかし、今日、新しいテクノロジーと市場からの期待の変化を活用して、新たな競争戦線を導入し、これらの老舗企業に真っ向から立ち向かうスタートアップが数多く存在する。
Deel(ディール)やRemote(リモート)のように、自らをリモート従業員の雇用を支援するプラットフォームと位置づける企業もあれば、Turing(テューリング)のように、リモートという概念を取り入れ、エンジニアという特定の人材プールに焦点を絞っている企業もある。SmartRecruiters(スマートリクルーターズ)は、人材紹介の「Salesforce(セールスフォース)」になることを目指しており、Beamery(ビームリー)のような他の企業もこの目標を追いかけている。Dover(ドーバー)は、別の企業分野からコンセプトを借りて(そのバズワードはオーケストレーション)、採用プラットフォームを構築している。そしてJobandtalent(ジョブアンドタレント)、Workstream(ワークストリーム)、Fountain(ファウンテン)は、カジュアル、ギグ、時間給労働者をターゲットにしたビジネスモデルを持っている。
Talent.comは、後者3社と同様に、時間給労働者やギグワーカー、熟練労働者を含む市場を主なターゲットとしている。求人広告のプログラムアプローチに加え、雇用主向けのその他のツールとしては、既存の応募者追跡システムやCRMを統合する機能がある。消費者向けには、基本的な求人情報の検索に加え、給与の調査、居住地の税金を差し引いた給与の計算、検索結果をより適切にするためのプロフィール質問への回答などの機能が提供されている。これは、この製品が将来どのように発展していくかという道筋を示すものでもあるだろう。
「これは非常に重要なことです」とマルティネス氏はいう。「就職活動は意欲的なものです。多くの人が、応募している仕事に適性がありません。そこで私たちは、経験と教育を組み合わせ、ユーザーが例えばエンジニアになりたいのであれば、そうすべきであると導いているのです。私たちは、あなたが誰であるかを知り、あなたの履歴書を私たちのプラットフォーム上に置き、その分野の教育プログラムをオンラインで紹介します。これが、ユーザーに対してより多くの価値を提供することになるのです」。と語った。
投資家の興味をそそったのは、ユーザーからより多くの収入を得るための幅広いサービス群に対する取り組みだ。
「人材獲得競争は、企業が今直面している大きな課題によって、さらに激化しています。Talent.comは、雇用主が人材を調達し、採用するための最大かつ最も国際的なプラットフォームの1つになるまで急成長しました。このパートナーシップは、真の求職者中心のプラットフォームとなるための一連の付加価値製品を立ち上げ、成長の新たな段階を促すものです」とInovia CapitalのパートナーであるChris Arsenault(クリス・アーセノー)氏は声明の中で語っている。
画像クレジット:Patrick Strattner / Getty Images
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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)