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PayPalが返品サービスHappy Returnsの利用範囲を拡大、全米5000カ所以上で利用可能に

PayPal(ペイパル)は2021年買収した商品返却サービスのHappy Returns(ハッピー・リターンズ)の利用範囲を拡大し、PayPal Checkout(ペイパル・チェックアウト)を利用している売り手は追加費用なしで利用できるようにした。米国時間3月28日にPayPalは、売り手がHappy Returnsの返却・交換ポータル・ソフトウェアを無料で利用できるようにした他、化粧品チェーンのUlta Beauty(アルタ・ビューティー)との提携によって、全米1300カ所以上のUlta店舗に、Return Bars(返品カウンター)を設置すると発表した。

Ulta Beautyの拡大は、まず一部の店舗から始め、年間を通じて他の場所へも展開していく予定だ。

これは、ソフトウェア物流サービスのHappy Returnsを2021年に買収して以来初めての同社に関する大きな取り組みだ。

Return Barの設置場所は買収当時の2600カ所から、Ulta Beauty店舗を含めて5000カ所以上へと2倍近くに増えた。Return Barは全米に広く展開されており、PayPalによると、米国人の78%は半径10マイル(約16km)以内にReturn Barがあるという。

利用者はこの返品サービスを利用するために、別のウェブサイトを訪れる必要はない。売り手がHappy Returnsに対応していれば、販売サイト上で直接返品手続きを進められる。利用者にはQRコードが発行されるので、近くのReturn Barに商品と一緒に持ち込めばよい。商品を箱詰めしたり、箱やラベルを持っていく必要はない。QRコードがスキャンされると、利用者はすぐに返金を受けられる。返品された商品は再利用可能な手提げ袋に、他の返却物と一緒に入れられる。この袋は回収されて処理施設に送られるので、物流の回数を減らすことができるとPayPalは説明する。

Happy Returnsのパートナー小売店は、店舗の入り口とレジで、顧客に返品サービスのことを知らせる掲示を行う。さらに、返品した顧客にはその店で使えるクーポンが渡され、パートナー店にいる間に買い物をするインセンティブが与えられる。これはAmazon(アマゾン)が同社のパートナー店舗、Kohl(コール)などで行っているのと同様のプロセスだ。

返品サービスの利用は、この1年間にオンラインショッピングの成長にともなって増加している。PayPalによると、Happy ReturnsのReturn Barでの対面返品の利用は、2021年2月から2022年2月の間に4倍近く増えた。パートナー小売店の数も倍増し、Everlane(エバーレーン)、Rothys(ロジス)、Gym Shark(ジム・シャーク)、Mack Weldon(マック・ウェルドン)他多数が加わった。買い物客は,Ulta Beautyに加え、Staples(ステープルズ)、FedEx(フェデックス)、PaperSource(ペイパーソース)、Cost Plus World Market(コストプラス・ワールドマーケット)その他の対応店舗にも返却する商品を持ち込める。

PayPalを利用している売り手は、Happy Returnsを追加料金なしで利用できるようになるが、PayPalのチェックアウト手数料はこれまで通りかかる。売り手は、このソフトウェアとポータルを利用して、Returns Barのネットワークを利用せず自身による返品と交換の管理を行うこともできる。ソフトウェアを利用することで、自動化された返品・交換をよりユーザーフレンドリーな体験にすることができる、とPayPalは言い、売り手には返却データの詳細レポートや返品に関する顧客の問い合わせをリアルタイムで見られるダッシュボードも提供している。

Return Barを利用する売り手は返品ごとに追加費用(金額非公開)をPayPalに支払う。それでも、返品配送をまとめられ、配送料金の割引が受けれらることで売り手は費用を削減できるとPayPalは言っている。

「消費者のオンラインショッピングの頻度が高まっても、返品は「対面」で行われることが多く、売り手にとっては費用がかさむ面倒な処理です、とHappy Returns by PayPalのDavid Sobie(デビッド・ソビー)副社長は声明で語る。「Ulta Beautyとの提携は、当社の対面持ち込みネットワークを拡大し、オンラインショッパーが返品を完了するための選択肢を増やします。Return Barは、新たな顧客を店舗にもたらし、売り手はより費用効果の高い実用的な方法でリバースロジスティックを管理できます。

PayPalはHappy Returnsの買収に支払った金額を明らかにしていないが、SEC(証券取引委員会)提出書類には、これは2021年に実施された4件の買収の1つであり(Paldlyを含まない)、合計金額は5億4200万ドル(約669億円)だと書かれている。PayPalはかつてHappy Returnsに戦略的投資を行っており、2019年のBラウンド後の企業価値は550万ドル(約6億9000万円)だった。PitchBook(ピッチブック)のデータによる。

Happy Returnsのサービスは、小規模な売り手がAmazonやWalmart(ウォルマート)のようなeコマース巨人と戦いやすくために作られている。両巨人とも、AmazonはWhole Foods(ホールフーズ)をはじめとする小売店などのパートナーで、Walmartは同社の小売店舗で、顧客が対面で容易に返品できる手段を持っている。Amazonの返品窓口や店内ロッカーを設置することによる潜在的来客への期待は、Amazonの返品にくる買い物客を取り込むことで、KohlやStein Martといった小売店が敵を利用することへと繋がっている。

UltaはHappy Returnのサービスをこれまでパイロットテストしてきたが、同様に来客数の増加と購買への転化に魅力を感じていると報じられている。

画像クレジット:PayPal

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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