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イーロン・マスク氏が「次のTwitterを作りたい」と熱望しても心配する必要はない

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が先週末、地震のソーシャルメディアプラットフォームの構築について「真剣に考えている」とツイートした。

「Twitterが事実上、公共の広場として機能していることを考えると、言論の自由の原則を守らないことは民主主義を根本的に損なうことになる。では何をすべきでしょうか?」と、TeslaとSpaceXのCEOで億万長者、連続起業家である彼はツイートした。

このツイートを読んで血圧が上がった人は、あなただけではない。深呼吸をしよう。彼のDogeSociælXアプリが登場するのは、まだ先の話だ。

マスク氏はこれまでにも、Teslaに関するばかげたミームや考え、さらには重要情報までツイートし、米国の規制当局が眉をひそめる以上の反応を示すと、ショックを受けたように振る舞った過去がある。しかし、マスク氏がTwitterで彼の奇抜なアイデアを実行に移すとなると彼の実績はあまり芳しいものではない。

マスク氏が、次のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)になるという幻想を公言するのは、これが初めてではない。

2018年にTeslaのおかしな経営を、ジャーナリストたちに批判されたとき、彼は「Pravda」というウェブサイトを立ち上げると明言した。Pravdaはロシア語で「真実」という意味で、ロシアの歴史的共産主義者新聞(旧:ロシア共産党機関紙)の名前だ。マスク氏によるそのウェブサイトでは、読者がジャーナリストや編集者やメディア紙誌の「真実度」や「信頼度」を格付けできる。ありがたいことに、この彼のアイデアは実現しなかったが、今ではTwitter自身がメディアを評価する場になっており、ジャーナリストたちもそのことをよく知っている。

E.W. Niedermeyer:メディア批評家として有名で、客観的なジャーナリズムの擁護者であるイーロン・マスクは、Washington Postを買えばそれが自分の個人的なPR攻撃部隊になる、考えている。そう考えれば、今回の件も理解できる。

Faiz Siddiqui:マスクの衝動的で頑固な性格は、他社と違って戦闘的な姿勢を持つ自動車メーカー(Tesla)からの買い埋めを確保するための特別な戦略を必要とした。彼の記事へのコメントの求めに応じてマスクは「これで100回目だが、きみの人形使いによろしく」と言った。

E.W. Niedermeyer:公共の広場としてのTwitterの公正に関するマスクによる突然の真剣で本気の懸念は、メディアの正確さと客観性に関する2018年の懸念と同じで、彼(と彼のフォロワー)の不条理な迫害幻想を補強するための深い偽善的な策略だ。

マスク氏のTwitter生まれのアイデアが離陸するとき、それは次のSpaceXのような本物になったためしがない。

また彼の道化ぶりが際立った年である2018年、マスク氏は彼自身の「銀河系メディア帝国」を発表した。それは「Thud」と呼ばれる(最後に感嘆符が付いてもよい)コメディカンパニーだ。2021年、イーロン・マスク氏がサタデー・ナイト・ライブでホストを務めたあと、私はユダヤ教的なジャーナリズムの仕事に着手した。マスク氏がコメディメディアへの進出を企てたことを忘れていたThudの元従業員13人全員に連絡を取ったのだ。

誰もオフレコで話してくれる人はいなかった。「The Onion」の元編集者たちによって運営されたThudは失敗し、その後、履歴書の会話のネタにされました(元Theranos社員なら共感できるはずでだ)。これらのライターやデザイナーが、Thudについて振り返りたくないのも無理はない。同社のミニマリスト向けウェブサイトでは、Thud(Thudとはモノが落ちるときの「ドサッ」という音のこと)は「短命」で「その名のとおり」といわれている。

当初、マスク氏ははThudに200万ドル(約2億5000万円)を注ぎ込んだが、彼は突然その会社を去り、残された編集者たちに収益化の計画はなかった。

当時編集者のCole Bolton(コール・ボルトン)氏はVergeに対して「億万長者がバックにいるプロジェクトが突然、独立のメディアになるんだ。どうなるかわかるだろ」と語る

これまでにも、ネット上で突拍子もない発言をしてはおもしろがっていたこともあり、マスク氏が突然ソーシャルメディア帝国を作ろうとしていることに慌てる必要はないだろう(この帝国は銀河系でもないのだ!)。さらに、新しいプラットフォームの背後に大物がいる場合でも、それが軌道に乗るという保証はない。Donald Trump(ドナルド・トランプ)自身の新しいアプリ「Truth Social」は、メインストリームである4chanになる準備が整っているように思うかもしれないが、ローンチから数週間経っても、97万6985番目の待ちのままだ。また、一度入場しても、パーティーはあまり盛り上がらないようだ(「セクシーな女の子とのゴルフ」が好きな人は別だが)。

kelsey weekman:やっとTruth Socialの待ち行列を抜けたわ。

仮にマスク氏が独自のソーシャルメディアプラットフォームを構築したとしても、Twitterのようなリーチ力はないだろう。彼は7940万人のフォロワーを誇りBarack Obama(バラク・オバマ)やJustin Bieber(ジャスティン・ビーバー)といった人物に負けず劣らず、同サイトで最もフォローされているユーザーのトップ10にしっかりと入っている。しかし、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)やKaty Perry(ケイティ・ペリー)と違い、マスク氏はそのフォロワーを利用してヒトラーのジョークを口にしたり、Twitterの新CEOであるParag Agrawal(パラグ・アグラワル)氏をJoseph Stalin(ヨシフ・スターリン)に例えたりしている。注目すべきは、自由に発言することを許されないと不満を漏らしているマスク氏だが、これらの不適切なツイートはプラットフォームによって削除されなかった。ヒトラーのミームは彼自身が削除し、アグラワル氏への侮辱はまだ公開されている。

これは言論の自由の問題ではなく、あらゆるかたちの規制を嫌うマスク氏自身の姿勢に他ならない。マスク氏の約8000万人のフォロワーが彼の理論的な新プラットフォームに移行するかどうかは疑問だが、仮に移行したとしても、SECはマスク氏が共有するどのようなインサイダー情報についても責任を問うことができる。

Twitterは常にマスク氏の最も強力なツールであり、トランプ氏のように、SECがいずれ監視することになる新会社を立ち上げようとしても、何も得るものはないように思われるのだ。

これは、熱狂的な夢を実現できるほど裕福で自負心が強い権力者による脅威を心配することはない、ということではない。

結局のところ、マスク氏はトランプ氏より少しばかりビジネスが上手なのだろう。しかし、マスク氏のツイッターでの発言は、偏向的な対話しか生まず、マスク氏のツイートが市場を動かすことがあっても、とには、ただドスンと音を立てて落ちてしまうことを私たちは忘れている。

画像クレジット:Liesa Johannssen-Koppitz/Bloomberg/Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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