パッと見たらTIMEX(タイメックス)の腕時計だけど、よく見たらブランドはKelton(ケルトン)。何だこれ? ってなりますよね。出自を知ったら、つい人に教えたくなってしまいそうな腕時計なんです。
フランスウォッチブランド・Keltonは、ベトナム戦争期に、TIMEXが米軍へ開発したミリタリーウォッチをベースとした「Camper(キャンパー)」(1万6500円)の復刻版2型を発売しました。1970年代から'87年までの限られた期間しか生産されていなかった、“幻のモデル”といわれる時計。なぜKeltonがTIMEXのものをベースにした時計を生産したのか疑問かと思いますが、そこには面白い関係があったのです。
Keltonは、フランス空軍向けの腕時計ブランド・VIXAを率いたステファン・ブーリエが、アメリカ出張時にTIMEXの幹部に声をかけて1955年にフランスで誕生。
当時アメリカで勢いを増していたTIMEXは、ヨーロッパ市場への参入にあたり、第2次世界大戦後のアンチ・アメリカニズムに配慮して、同じデザインと機能の時計を新たなブランドネーム・Keltonで展開しました。フランスの時計製造の中心地である“ブザンソン”に3つの工房と7つの関連施設を構え、約3000人のスタッフを擁する企業に成長してフランス市場で市民権を獲得。'72年には、400万本を販売するなど、ブランドの黄金期を迎えました。
その後、新しいクォーツ技術の登場により、'87年に操業停止を余儀なくされますが、2016年にフランスの“As Conseil Group”が新たなオーナーとなりブランドを再生。'18年にフランスがFIFAワールドカップで優勝した公式記念モデルを手掛け、'21年にはブランドロゴを一新し、フランスウォッチブランドの伝統を現在に引き継いでいます。
復刻版として登場した「Camper」は、1970~'80年代にKeltonが製造・販売したフランス版TIMEXといえるもので、当時のオリジナルモデル同様に手巻きムーブメントを採用。
ケースは戦地で修理をしない前提の、裏蓋が外せない一体型成形。裏蓋にはミリタリーウォッチの名残として、製造元であるKeltonのブランドネームや製造年月日がフランス語で刻まれています。
手巻き式ムーブメントは約35時間のパワーリザーブで、シーガルの自動巻きをベースにしたものを使用。これらの仕様はTIMEXの復刻版では再現されていないため、Keltonの復刻版ならではのポイントです。
ミリタリーウォッチを製造するメーカー同士の不思議な縁により誕生したCamper。同じ復刻版でもTIMEXではなくあえてこのKeltonを選ぶというのもアリ!?
>> Kelton
<文/&GP>
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- Original:https://www.goodspress.jp/news/445769/
- Source:&GP
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