1More(ワンモア)から2022年5月10日に発売された、ハイレゾ対応の完全ワイヤレスイヤホン「1More Evo」を、iPhoneと組み合わせて約2週間、使った感想をご紹介します。高音質へのこだわりと、パワフルなノイズキャンセリング機能が特徴的な製品です。記事には、レビュー用に提供いただいたサンプルを使用しています。
高音質とノイキャン性能にこだわったワイヤレスイヤホン
1Moreは、Foxconnグループ会社の中で最も若く社長になった、謝冠宏(ゲイリー・シェ)氏らが2013年に中国・深圳市で創業した、音響設計・開発やウエアラブルオーディオ製品に特化したメーカーです。
5月10日に発売された「1More Evo」は、音質にこだわった完全ワイヤレスイヤホンで、中低音域に強いダイナミック型ドライバーユニットと中高音域に強いBA型ドライバーユニットを組み合わせて搭載しており、ハイレゾ対応として日本オーディオ協会の「Hi-Res Audio Wireless」に認定されています。
サウンドの最終チューニングは、グラミー賞を4回受賞したサウンドエンジニアのルカ・ビルナディ氏が担当しています。
ソニーが開発した高音質伝送規格であるLDACに対応し、対応デバイスと組み合わせれば従来規格の3倍以上の情報伝送が可能です。ただし、iPhoneはLDACには非対応です。
最大42dB(デシベル)のノイズキャンセリングモードと、外部音の取り込みが可能なモードが利用できます。
連続再生時間は、ノイズキャンセリングがオンなら5.5時間、オフなら8時間です。充電ケースを併用することで、ノイズキャンセリングがオンで20時間、オフなら28時間の再生が可能です。バッテリーが切れても、15分間の充電で約4時間の再生が可能です。
イヤホン本体はIPX4等級の防水性能を持つので、スポーツ中の着用で汗をかいても、雨の中で使っても安心して使用できます。
本体カラーは「スノー・ポーセリン・ホワイト」と「ギルト・ブラック」の2色が用意されています。
本記事では、提供いただいたサンプル(スノー・ポーセリン・ホワイト)を約2週間、さまざまなシチュエーションで使用してのレビューをお届けします。
充電ケースはマットな金属素材
「Hi-Res Audio Wireless」のマークが輝く「1More Evo」のパッケージには、充電ケースに入ったイヤホン本体、充電用ケーブル(USB-C to USB-A)、シリコン製イヤーチップ(XS、S、M、L、LLの5サイズ)、日本語を含む多言語のマニュアルが入っています。
充電ケースは表面がマット仕上げの金属製で、手にすると質感の高さを感じられます。
充電ケースは、背面のUSB-Cポートでの有線充電、Qi(チー)規格のワイヤレス充電器でのワイヤレス充電のどちらにも対応します。充電中は正面のランプが点灯します。
充電ケースの底面には、滑りにくいシリコンシートが貼られています。
表面のタッチセンサーで操作。安定した接続
ケースを開けると、左右のイヤホンがくぼみに収まっています。
イヤホンは磁力で固定されているので、ひっくり返して振っても、落ちてくることはありません。
イヤホン側面をつまむようにして取り出すと取り出しやすいです。ただし、イヤホンの形状がつるんとしているので、指先が乾燥していると滑ってしまい、取り出すのにやや苦労しました。手が乾燥気味の方は、ハンドクリームで保湿するとスムーズに取り出せます。
イヤホンにはボタンやスイッチはなく、操作は表面のタッチセンサーに触れて行います。
5サイズ付属するシリコン製イヤーチップから、最もフィット感が好みのものを選べます。筆者の場合は、左右ともLLのフィット感が一番好みでした。筆者の場合、iPadでの映画鑑賞のため、2時間以上連続して着用しても、耳が痛くなることはありませんでした。
装着中は、耳からの飛び出しが小さく、あまり目立ちません。耳に装着したままベッドに横になっても、耳に痛みを感じることはありませんでした。
Bluetoothでのペアリングは、充電ケース内のボタンを3回押すだけで簡単に接続できます。
充電ケースのフタを開けると、直前に接続していたデバイスに自動接続し、耳への装着を感知すると再生を開始してくれるので、とてもスムーズに使うことができました。
iPhoneとの接続は安定しており、自宅マンションの中でiPhoneから離れ、他の部屋に入っても音の途切れやノイズなどの影響はみられませんでした。通勤時間帯の混雑した駅でも、接続が切れたりノイズが入ることもありませんでした。
強力なノイズキャンセリング。高圧洗浄機の音も消えた
「1More Evo」のノイズキャンセリング機能は、周囲のノイズを最大で42dB(デシベル)低減できるという強力なものです。
ちなみに、AppleはAirPods Proのノイズキャンセリング性能について具体的な数値を公開していませんが、比較してみるとノイズキャンセリング性能は「1More Evo」の方が高いと感じました。
ノイズキャンセリングモードは、最も強力な「ディープ」、比較的緩やかな「マイルド」、外を歩いている時の風切り音を集中的に低減する「WNR(Wind Noise Resistant)」、自動で最適なレベルに調整する「スマート」の4モードが用意されています。切り替えは「1More Music」アプリで行います。
「ディープ」に設定すると、エアコンや換気扇のノイズ、走行中の地下鉄の騒音も大幅に低減され、音楽やPodcast、Radikoをクリアに聴くことができました。
大きなノイズを発するサイクロン式掃除機、ケルヒャーの高圧洗浄機を使って掃除しながら音楽やPodcastを聴いてみましたが、ノイズがかなり低減され、聞き取りやすくなりました。
自然な会話が可能な外部音取り込みモード
ノイズキャンセリングと、外部音取り込みとの切り替えは、イヤホン本体側面を長押し、もしくは「1More Music」アプリのどちらでも可能です。
外部音取り込みには、周囲の音を全体的に取り入れる「環境パス」と、人の声を特に聴きやすくする「ボーカルエンハンス」の2モードがあります。音楽の再生を止めて「ボーカルエンハンス」にすれば、イヤホンを耳に入れたままでも自然に会話ができて便利です。
なお、「1More Evo」のノイズキャンセリング/外部音取り込みの機能は、イヤホンを充電ケースに入れるとオフに戻るので、再びノイズキャンセリング機能を使いたい場合には、タッチセンサーの長押し、または「1More Music」アプリで、同機能を有効化する必要があります。ノイズキャンセリングモードで使うことが多い筆者としては、直前に使ったモードを記憶しておいてくれると良いと感じました。
iPhoneとの組み合わせでも高音質で聴ける
「1More Evo」は、高音質伝送方式のLDACに対応しているので、対応デバイスと組み合わせると高音質での伝送が可能です。残念ながら、iPhoneなどApple製品はLDACには非対応です。筆者はLDAC対応デバイスを所有していないので、LDACによる音質の変化を体験することはできませんでした。
しかし、「1More Evo」には中低音域と中高音域のそれぞれを得意とする2つのドライバーユニットを搭載しており、幅広い音域を力強く鳴らすことができます。
さまざまなジャンルの音楽を聴き比べてみましたが、重厚感のある低音、クリアな高音、ボーカルの生々しい音が、ケンカせずにしっかりと聴こえたのが印象的でした。Podcastの番組も話し声の質感が感じられました。
音楽だけでなく、Apple TV+やAmazonプライムビデオで映画を視聴しても、低音がしっかりと鳴って迫力があり、セリフがクリアに聴こえました。
電話での通話、ビデオ会議でも、双方の声がクリアに聞き取れました。筆者の印象では、通話ではAirPods Proとの音質の違いはあまり感じられませんでした。
筆者が日常的に使っているAirPods Proと比較すると、「1More Evo」のほうが力強い音を表現できていると感じました。
専用アプリでさまざまな設定が可能
「1More Music」アプリを使うと、ノイズキャンセリングと外部音取り込みのモード切り替えのほか、以下のような各種設定ができます。
- ファームウェアのアップデート
- タッチセンサーのダブルタップ、トリプルタップに対応する操作設定
- 2種類のサウンドを聴き比べて音質をカスタマイズ設定できる「SoundID」
- 雨、風、滝など、約30種類の落ち着く環境音の再生
- 初めて使用するイヤホンの部品をなじませて音質を良くする、慣らし運転のようなバーンインを自動で行う「スマートバーンイン」
- 同時にデバイス2台との接続
自分好みのサウンドを設定できる「SoundID」機能
「SoundID」機能は、7タイプ用意された音楽について、AとBのどちらが好みかをの質問に8回ほど答えるだけで、自分に合ったサウンドが設定できます。
筆者が試したところ、低音に厚みが増し、高音をやや抑えた重めのサウンドに仕上がりました。再生する楽曲によっては迫力あるサウンドになるのですが、ながら聴きをするにはやや主張が強くなりすぎるようにも感じました。
筆者の場合は、しっかり集中して音楽を聴きたい時には「SoundID」をオン、ながら聴きの時はオフ、と使い分けていました。
欲を言えば、音楽のジャンルによって使い分けられるよう、プリセットのイコライザも提供されていると良いと思いました。
2台のデバイスに同時接続できる
「1More Music」アプリから、「実験的機能」として、Bluetoothデバイス2台に同時接続できるマルチポイント機能を有効化することができます。
この機能を有効にして、iPhoneとiPadの両方に同時接続して両方で音楽を再生すると、聴こえてくるのは片方のデバイスからですが、片方のデバイスで再生を停止すると、もう片方からの音が聴こえてきます。
よく利用するデバイスに接続しておけば、切り替えの手間なく音楽再生や通話ができて便利です。
イヤホンの「慣らし」を自動化する機能も
筆者がもう一つ、興味深いと思ったのは「スマートバーンイン」です。これは、専用に用意された音を2時間再生したら40分間休む、というサイクルを自動で実行して、振動板などの慣らしができる機能です。ステージが4段階あり、フルに実行すると丸1日以上かかります。
ペアリングしたデバイスの「1More Music」アプリで進行状況を確認できるのは便利ですが、「スマートバーンイン」中はデバイスが使えなくなってしまいます。筆者は、「スマートバーンイン」が完了するまで、普段は持ち歩かないデバイスとペアリングして、充電ケースに入れたままのイヤホンのバーンインを実行しました。
イヤホン単体でも「スマートバーンイン」ができるようになれば、より利便性が向上するように思いました。
「スマートバーンイン」実行前後の音質は、筆者の耳には「そう言われてみれば、違うような気もする」という印象でした。繊細な耳の持ち主の方には、違いが分かると思います。
アプリは今後のアップデートでの改善に期待したい点も
筆者が試した時点の「1More Music」アプリ(バージョン4.6.2)については、いくつか改善が必要な点もあると感じました。
環境音を流せる機能を集中したい時や昼寝したい時に使ってみたところ、6秒〜7秒程度のサウンドが、リピートされる合間に1秒にも満たない無音状態があり、やや気になってしまいました。無音状態がないように連続して再生されると、さらに自然な印象になると思うので、改善に期待ししています。
また、外部音取り込みモードが「風切り音低減」と表示されている(ノイズリダクションの中にある「WNR」が風切り音低減:Wind Noise Reductionを指していると思われます)のも、今後のアップデートでの修正に期待したいところです。
まとめ:2万円以下で高音質で音楽を楽しめる。発売記念セール中
「1More Evo」を約2週間にわたって使用した中で、特に印象深かったのは、AirPods Proよりも音に厚みが感じられて、コンパクトなのに音楽をしっかりと味わうことができる、ということです。
iPhoneとの接続でLDACによる大容量伝送のメリットを享受できないこと、
「1More Evo」は、オンライン限定で販売されており、Amazonの公式ショップ、楽天市場の公式ショップで購入可能です。
通常価格は19,990円(税込。以下同じ)ですが、2022年5月10日から6月10日までの期間限定で「1More Evo」発売を記念したセールが行われており、3,000円引きの16,990円で購入できます。
参照:1More
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-454566/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania