性能が高く、消費電力が低く、小型で扱いやすいMac miniですが、不満点がいくつかあります。
それらを一気に解決してくれるのがワイヤレス充電器兼Bluetoothスピーカー&マイクの「TIKTAALIK alu」です。
この製品は現在クラウドファンディングサイトで出資募集中で、一般向けには2022年6月ごろに出荷予定です。今回は一般販売に先駆けて、日本正規輸入代理店Segnoより製品をお借りして、実際の使用感を確認してみました。
3つの不満点があるMac mini
筆者は最近Mac miniを使い始めたのですが、3つの点で不満を感じています。
マイクが内蔵されていない
1つ目はマイクが内蔵されていないという点です。
macOS Sierra以降ではMacでSiriを使えるようになっており、メニュー右上にアイコンもあるのですが、Mac miniでSiriを使おうとこのアイコンをクリックしても以下のようにマイクがないので使えないというメッセージが出ます。
しかも、マイクを外付けしようにもMac miniには出力専用3.5ミリ音声端子しかなく、安価なアナログマイクを接続できません。
せめてスマートフォンのように出力と入力兼用の端子を装備していればよかったのですが、残念です。
内蔵スピーカーの音質が悪い
Mac miniはスピーカーを内蔵しています。
しかしながらこのスピーカー、音質はお世辞にも良いとはいえない代物です。
スピーカー用の開口部を作りたくなかった、あるいはコストダウンという理由が考えられますが、いずれにせよシステムとして必要だから一応つけたという程度のもので、Appleらしくないと感じます。
天板を何にも利用できない
Mac miniは薄型のデスクトップパソコンであり、天板にAppleのリンゴマークがついています。
この天板、見た目は美しくて良いのですが、ディスプレイを載せるほどの耐久性はなさそうです。上に重いものを載せられないので、この面を上にして設置すると机の上で面積を取り、邪魔になります。
このため筆者はブックエンドを使って縦置きしています。
天板がiPhoneなどのワイヤレス充電に対応していると便利だと思うのですが、サイズやコスト的に難しかったのでしょうか。
TIKTAALIK aluでMac miniの不満を一気に解決
これらの不満を一気に解決してくれるのが、TIKTAALIK aluです。韓国のスマート機器などの開発を手がけるCT5の製品で、世界最大規模のテクノロジー展示会「CES 2021」でも展示されました。
この製品は小型の本体に、
- Bluetoothスピーカー
- Bluetoothマイク
- スマホスタンド
- ワイヤレス充電器
の機能を凝縮したデバイスであり、前述のMac miniの不満を一気に解決してくれます。
アルミ製で質感の高い本体
TIKTAALIK aluの本体はアルミ製で、Macと並べると統一感があります。
直径70ミリ×83ミリで、iPhone13と比べたサイズ感はこのくらいです。机の上に置いても邪魔になりません。
重さは実測で252グラムと、スタンドとして使ったときに安定感のある重さです。
前面には動作状態を示すLEDとマイクが内蔵されています。また、上部と下部の間のスリットのなかがメッシュ状になっており、ここから音を出す仕組みです。
背面には電源供給用のUSB-C端子があります。設置したときに見える部分は非常にシンプルで余計なものがなく、どの方向から見てもアルミの高い質感を楽しめるでしょう。
スイッチやボリューム、音楽再生コントロール機能のためのボタンは底部にあります。
500mAhのバッテリー内蔵
TIKTAALIK aluには500mAhのバッテリーが内蔵されており、スピーカー機能は電源を接続することなく利用できます。
40%台の音量であれば17時間の連続再生が可能とのことで、旅行や出張などでも便利に使えるでしょう。
吸着力の強いシリコンパッドでスマートフォンやタブレットを保持
まずTIKTAALIK aluのスタンド機能を見てみます。
TIKTAALIK aluの上部の黒い部分は吸着力の強いシリコンマットになっており、スマートフォンやタブレットをしっかりと保持することが可能です。
試しにシリコンケースつきのiPhone XRを、TIKTAALIK aluの首の角度を最も急峻な45度にした状態で置いてみました。
しっかりと吸着しており、簡単には滑り落ちなさそうです。
メーカーが推奨しているわけではなく自己責任ですが、試しにさらに傾けてみました:
iPhone XRが逆さまになっても落ちることはなく、しっかりと吸着していることがわかります。
とはいえ取り外すのが大変なほど吸着力が強いわけではなく、簡単に外すことができます。吸着式なので、縦/横だけでなく360度好きな角度で置けます。
MagSafeにも対応しているため、iPhone12以降であればさらにしっかりと保持可能です。iPhoneをつかんで持ち上げると剥がれる程度の磁力のため、MagSafeによる設置であっても外しづらいということはありません。
それならばとさらに重い12.9インチiPad Pro(第3世代)を載せてみました。
こちらもしっかり保持してくれました。
ただiPadの場合はシリコンパッドを吸着させる場所をずらすとバランスが崩れて剥がれてしまいます。
滑り落ちるというより、設置面が小さいためにiPadがバランスを崩し、回転して剥がれるという感じです。大型のタブレットを急峻な角度で置くのはおすすめしません。
本体を回転させてスタンドの角度を変える安心機構
TIKTAALIK aluはスタンドの角度を0度から45度まで自由に変えることができます。その仕組みがユニークで、本体を回転させて角度を変える仕組みです:
動画からもわかるように、カチカチと角度ごとに内部でしっかりとギアが噛み合っており、重いデバイスを載せても首が勝手におじぎしてしまうということがありません。
AirPodsもワイヤレス充電可能
TIKTAALIK aluを電源に接続した状態でワイヤレス充電対応機器をスタンドに載せると、充電をおこなうことができます。
試したところ、iPhone XR及びiPhone13で5ワット(5V-1A)での充電が確認できました。スマートフォンだけでなく、AirPodsシリーズの充電にも対応しています。
Qi規格の認証を取得していますので、Qiに対応していて上に乗せられるものであればなんでも充電できるでしょう。
スピーカー&マイクはMacとサクッとペアリング可能
スピーカー機能とマイク機能はBluetoothで接続して利用します。
今回はMac miniとペアリングしましたが、非常に簡単にペアリングできました。
TIKTAALIK aluをペアリングモードにするとMacのBluetoothの設定に「Tiktaalik alu」が現れますので、「接続」を押すだけです。
ペアリングに成功するとサウンド設定の「出力」と「入力」にそれぞれ「Tiktaalik alu」が表示され、使用可能になります。
大きさの割にしっかりした音が出るスピーカー
スピーカー機能に関しては、大きさの割にしっかりした音が出ると感じました。
中高音域はクリアで、人の声などがはっきりと聞き取れます。Mac miniの内蔵スピーカーとは大違いです。
低音域はさすがに迫力がある音とまではいえませんが、存在感はしっかりあり、音楽を楽しめる音質を持っていると感じました。
今回は試せませんでしたが、TIKTAALIK aluを2台揃えるとステレオ再生ができます。より臨場感の高い音楽再生が可能になりますので、音質重視なら2台での使用がおすすめです。
Siriがしっかり指示を聞き取ってくれるマイク
マイク機能に関しては、非常に高音質というわけではありませんが、Siriが音声指示をしっかり聞き取ってくれるだけの品質は備えています。
iPhone Maniaの記事を読み上げたときの声を録音したのがこちらです:
以前の記事でiPhone内蔵マイクでも録音をしていますので比べてみてください。
音声認識をおこなうには十分といえますし、Zoomなどのビデオ会議でも活躍してくれることでしょう。
TIKTAALIK aluの不満点
Mac miniの弱点をカバーしてくれるTIKTAALIK aluですが、不満点もあります。
音量調整が面倒
前述の通り、TIKTAALIK aluの目に見える部分には一切操作ボタンがなく、ボタンはすべて底面に配置されています。
このため、操作をおこなうには本体をひっくり返す必要があり、スマートフォンなどを上に載せているときは特に面倒です。
さらに、上の画像には書かれていませんが、ボリュームUP/DOWNボタンを短く押す操作は次の曲/頭出しに割り当てられており、ボリューム調整をおこなうには長押しをする必要があります。
ボリューム操作は再生機器側でおこなうほうが良さそうです。
iPhoneの充電は5ワットまで?
TIKTAALIK aluのワイヤレス充電は10ワットまでの出力に対応しているとされていますが、筆者が実験した限りでは5.5ワット(5V-1.1A)までしか出力が確認できませんでした。
iPhone XR及びiPhone13で実験をおこない、バッテリー残量を10%未満にしてみたのですが結果は変わりません。
iPhone XRでも7.5ワット、iPhone12以降ではMFi認証を取得したサードパーティー製充電器を利用すると15ワットでの急速充電が可能になるはずですが、TIKTAALIK aluの場合はできないのかもしれません。
また、AirPods Proの場合は5V-0.5Aの2.5ワット出力でした。
通知用LEDがわかりづらい
TIKTAALIK aluの前面にある通知用LEDは、これ1つで本体の充電のステータス、ワイヤレス充電のステータス、Bluetoothのステータス表示を兼ねています
ところが付属の説明書にはこのLEDに関する詳細な情報がなく、現在どういう状態なのかがわかりづらいです。
また吸着パッドの周りに埋め込まれた青色LEDは、充電可能な本体を近づけたり、充電中になったりすると点灯しますが、スマートフォンを載せると完全に隠れ、見えなくなってしまいます。
LEDの光が弱いため、周りが明るい場合は吸着パッドが隠れないAirPods Proの場合でも点灯しているかどうかが判別しづらく、やはり役に立ちません。
こうしたことからも、特にワイヤレス充電用のステータスLEDは独立させて欲しかったと感じました。
本体のバッテリーだけではワイヤレス充電ができない
TIKTAALIK aluに内蔵されているバッテリーは500mAhと小容量であり、これを使ってワイヤレス充電をおこなうことはできません。ワイヤレス充電をおこなうには電源に接続する必要があります。
コストや重さ、サイズの問題もあるのでしょうが、内蔵バッテリーだけでiPhoneを50%程度まで充電できる仕様であればよかったと思います。
吸着パッドに埃がつきやすい
素晴らしい吸着力を誇るTIKTAALIK aluの吸着パッドですが、それだけに埃もしっかり吸着してしまいます。
数時間置いただけでこれだけの埃がついてしまいました:
この状態でもしっかりと吸着しますが、マットが黒いだけでに埃が目立ちます。メーカーはウェットティッシュで簡単にとれるとしており、まめに掃除をした方が良さそうです。
有線充電用のUSBポートが欲しかった
TIKTAALIK aluには出力用のUSBポートがなく、有線での充電ができません。
このため、ワイヤレス充電非対応の機器の場合は別途電源を確保し、USBケーブルを接続する必要があります。出力用のUSBポートがあればより幅広い機器で利用できると感じました。
マルチペアリング非対応
TIKTAALIK aluはマルチペアリングに対応していません。
このため複数機器での使い分けをするにはペアリングをし直す必要があり、少々面倒です。基本的には1つのデバイスとの組み合わせで使うことを想定しているのでしょう。
Mac miniとTIKTAALIK aluは相性抜群
色々と不満点を書いてきましたが、Mac miniとTIKTAALIK aluは相性が抜群だと感じました。
Mac miniに欠けているマイク機能や音質に不満のあるスピーカー機能が利用できる上に、Mac miniの近くにスマートフォン置き場を作れ、さらにワイヤレス充電までできてしまいます。
これだけの機能を搭載しながらも本体が小型なので、机の上で場所を取りません。
シルバーの本体は質感が良く、Mac miniと並べたときには見た目の統一感もあります。
TIKTAALIK aluは現在、クラウドファンディングのCAMPFIREで出資を募っています(2022年5月31日まで)。一般販売予定価格が9,980円(税込)のところを、クラウドファンディングサイト経由の場合は割引価格で入手できます。
興味を持った方はぜひ検討してみてください。
Source: CAMPFIRE TIKTAALIK alu紹介ページ
(ハウザー)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-455082/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania