【達人のプラモ術】
ペガサスホビー
1/350 THE SPACE ARK(宇宙船アーク号)
03/03
戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。
今回はアーク号製作の第3回。完成編となります。LEDを使ったエンジンの発光ギミックに加えて、今回はジャンクパーツを使ってジオラマベースにも追加工作をしてみました。外宇宙から飛来する遊星べラスと地球衝突の日! 人類最後の40人を乗せた宇宙船(いやこの場合敢えてロケットと呼びたい)アーク号発進です!
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。
■ロケット組み立てのガントリーを追加工作
キットにはよくできた打ち上げ用カタパルトレールのジオラマベースが付属しており、今回は塗装とジオラマ用のパウダーを使ってベースに仕上げていますが、アーク号を乗せてみると、シンプルな銀色のロケットということもあって実にシンプル。
そこでベースをもう少し作りこむことにしました。実はこのキット、別売のディテールアップ用パーツが発売されています。それを組み込むことで建造中のアーク号をよりリアルに再現することもできます。
しかし、残念ながら今回ディテールアップパーツを入手することができませんでした。ならば自作するしかない! ということで、プラ板と鉄道模型用のジオラマ素材を使用してガントリーの鉄骨を製作。手すりやクレーンは手元にあった艦船用のエッチングパーツを組み合わせて、劇中でアーク号建造に使われたガントリーをそれらしく再現してみました。全体が赤く塗られているので銀色のアーク号を引きたててくれます。
■「新世界は若者のものだ!」
前回書きましたが、ヘンドロン博士と車イスに乗った億万長者のスタントンのフィギュアをジオラマベースに配置して映画のラストシーンを再現してみました。
■LED発光に関して
今回アーク号のエンジンノズルはLEDで発光させたのですが、完成してみたら思いのほか目立ちません。LEDをもう少しエンジン噴射口ギリギリまで手前に取り付ければ良かったようです。発光用の電源は9V電池を使用して、スイッチと併せてジオラマ用ベースの内側に収めています。
■宇宙船アーク号完成!
■ロケットもいいけどUFOもいいぞぉ!
今回の『地球最後の日』と並ぶジョージ・パルの傑作『宇宙戦争』(1953年)に登場するマーシャン・ウォー・マシンも達人お気に入りの宇宙船です。
『宇宙戦争』は2005年にトム・クルーズ主演でリメイクされています。原作であるH・G・ウェルズの小説は古典SFの傑作で、19世紀のイギリスを舞台に火星人の地球侵略をリアルに描いた作品。原作では、地球に落下した隕石の中から現れる3本足のメカ(トライポッド)が熱線を吐きながら地球を蹂躙していくんだけれど、ジョージ・パル版『宇宙戦争』だと磁力線で空中を飛行する宇宙船になっているんですね。このマーシャン・ウォー・マシンは今見ても古さを感じないし、実に美しいエイリアンスペースクラフトだと思います!
デザインは本作品の美術を担当した日系人アルバート・ノザキによるもの。トム・クルーズのリメイク版では3歩足のトライポッドになっていました(これはこれでカッコ良し)。
ちなみに『宇宙戦争』は、1938年にアメリカでラジオドラマ化されているんですが、放送がリアルで真に迫っていたため、本当に火星人が攻めてきたと勘違いしてパニック起きたという話があります。真柏のドラマの声を演じたのは若き日のオーソン・ウェルズです。
* * *
昭和生まれの達人にしてみれば、21世紀になって1950年代のSF映画に登場するメカが次々とプラモデル化されるというのは、それこそセンス・オブ・ワンダーだ! と、もろ手を挙げて喜んでいるワケです。
マニアックなSFの古典映画もストリーミング配信で視聴できるようになりました。その昔、アメリカでSF映画のビデオを30本以上購入してきたら、成田空港の税関で怪しいビデオと疑われて、別部屋チェックを受けたのも懐かしい思い出です。
5月に3年ぶりの開催となった静岡ホビーショーでも、また新しいSFメカのキット化が発表されました。SFメカ好きにとっては、ホント良い時代になったものです。
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/451951/
- Source:&GP
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