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車中泊ブームで人気再燃!実はメーカーも作っていたポップアップルーフ車6選

ファミリーでの車中泊がブームになり、ポップアップルーフを架装したキャンピングカーを多くのビルダーが製造しています。ここ数年はオーバーランドスタイルの盛り上がりを受けて、ファミリー以外でもポップアップルーフに注目している人もいます。

1990年代、バブル崩壊後の“安・近・短”なレジャーが盛り上がり、日本でもいくつかのメーカーがポップアップルーフを架装したミニバンを製造していました。

現在、日本の自動車メーカーからポップアップルーフ付きのモデルは販売されていませんが、ドイツのプレミアムブランドがポップアップルーフ付きのミニバンを日本で販売しています。

広げると広大な空間が出現するポップアップルーフ。日本ではどのようなモデルがあったのかを振り返ってみましょう。

 

1. 70年代に登場した日本初のポップアップルーフ搭載車!三菱「デリカ キャンピングバン」(1972年)

ポップアップルーフ採用モデルというと、1995年にデビューしたマツダのボンゴフレンディが有名です。しかし三菱は、ボンゴフレンディがデビューする20年以上前にポップアップルーフモデルを作っていました。

その名はデリカキャンピングバン。1969年に登場した初代デリカバンをベースにフロントから大きく開くポップアップルーフを搭載。オレンジ色のルーフ、そしてストライプ柄のボディは当時かなり目立ったはずです。

デリカキャンピングバンはポップアップルーフだけでなく、ベッドやハンモック、カーテン、さらにオプションでキッチン台やガスレンジも用意されたそう。まさにキャンピング仕様のモデルだったのです。

1970年代前半は高度経済成長が終焉を迎え、変動相場制移行によるドルショックやオイルショックが起こり、節約・省エネという空気が日本を覆いました。そんな中で人々は安・近・短でレジャーを楽しむようになり、オートキャンプが普及し始めたと言います。デリカキャンピングバンはその流れを先取りしたモデルだったのでしょう。

 

2. ポップアップルーフを世の中に認知させた立役者!マツダ「ボンゴフレンディ」(1995年)

前述したように1990年代はバブル崩壊により人々のレジャー志向が海外旅行などから近場でお金をかけずに楽しむことに変わりました。1980年代からクロカン四躯で冬はスキー、夏はキャンプを楽しむ人はいましたが、この時代にはごく普通の家族でもオートキャンプを楽しむ人が増加。家族で荷物をたくさん積んででかけられるミニバンがブームになります。

そんな中で登場したのがマツダ ボンゴフレンディ。大人2人がゆったり寝られるスペースが確保されたオートフリートップと名付けられた電動開閉式ポップアップルーフ搭載車をラインナップに加えた3列シートのミニバンで、小さな子供がいる家族から注目を集めました。

オートフリートップは、しっかりした網戸、下のフロアとの荷物の受け渡しに便利な小窓、テントを格納したときも車内を明るくするサンルーフなど、アウトドアから街中まで気持ちよく過ごせるさまざまな機能が盛り込まれました。

ちなみにボンゴフレンディの全幅は1690mmですが、オートフリートップ搭載車は全高がナンバーの規格からはみ出すため、2Lモデルでも3ナンバーになりました。

 

3. コンパクトなボディに水平ポップアップルーフを搭載!スバル「ドミンゴアラジン」(1996年)

1983年に登場したドミンゴは軽ワンボックスのサンバートライをベースに1L直3エンジンを搭載して3列シートを備えたモデル。1994年にフルモデルチェンジした2代目はサンバーディアスをベースにしています。

ミニバンがブームになる中で、小さくても3列シートが欲しいという人からドミンゴは支持を集めました。

そんな2代目ドミンゴに受注生産という形で追加されたのがポップアップルーフを搭載したドミンゴアラジンです。

ドミンゴアラジンは前方が大きく跳ね上がるタイプではなく、ルーフ全体が水平に上昇するエレベーティングルーフを採用。スバルはこれをリフトアップルーフと名付け、広がったスペースをロフトに例えていました。

テントスペースの高さは約50cmなので座ることも難しいですが、ルーフ全体を持ち上げることで車内を立って歩けるスペースが出現することをウリにしていました。

ドミンゴアラジンはベースグレードとなるリフトアップルーフの他、シンクや折りたたみテーブル、室内用コンセントなどを備えたキャンパーも用意されました。

 

4. ミニバンブームの牽引役もポップアップルーフを搭載!ホンダ「オデッセイ フィールドデッキ」(1996年)

1980年代は3列シートモデルというとキャブオーバータイプのワンボックス車が主流でした。車内が広くて便利ですが、運転感覚が乗用車とは異なるため敬遠する人がいたのも事実。

1994年に登場した初代オデッセイはアコードのプラットフォームを使って開発されたことで乗用車のような乗り心地と高い運動性能を手に入れました。これが大ヒットモデルとなり、日本にミニバンブームが訪れます。

ホンダはそんなオデッセイにポップアップルーフを搭載したフィールドデッキを設定。釣りやマリンスポーツなど早朝からレジャーを楽しむ人の仮眠スペースを備えたモデルとして売り出します。

ポップアップルーフ上部にはルーフレールがつけられているのでサーフボードなどを積むことが可能。テント材はウェットスーツと同じものを使って防水性を高めています。さらにテント内に車内灯をつけて夜でも明るい中で過ごせるようにしています。

 

5. テントがあればこどもと一緒の時間がより楽しくなる!ホンダ「ステップワゴン フィールドデッキ」(1998年)

5ナンバークラス最大級の室内空間が与えられた四角いボディと「こどもといっしょにどこいこう。」という名コピーで大ヒットした初代ステップワゴン。ホンダはオデッセイに続き、ステップワゴンにもフィールドデッキを設定しました。

ステップワゴンはフラットシートで車内に簡単にベッドスペースを作ることができました。そこにポップアップルーフが加わったことで、家族みんなが車内で快適に寝られるように。

ポップアップルーフのパネルはFRP製なので、どうしても後からつけたような見栄えになるというデメリットがありました。ステップワゴンフィールドデッキはルーフパネルをボディ同色にすることでボディとの一体感を出しているのが特徴です。

オデッセイ フィールドデッキ同様にテント素材はウェットスーツと同じものを使用しているので防水性にも優れていました。

 

6. 優雅な時間を楽しめるプレミアム車中泊仕様!メルセデス・ベンツ「Vクラス マルコポーロホライズン」(2018年)

メルセデス・ベンツの3列シートモデルであるVクラスは、高級ミニバンの代名詞であるアルファードでは物足りない人から選ばれるプレミアムモデルです。そんなVクラスにポップアップルーフを備えたマルコポーロホライズンが設定されたのは2018年。

横方向にもゆとりがあるポップアップルーフに加え、前席を後ろ向きに回転させ格納式のテーブルを出して車内をリビングとして使ったり、3列目をベッドにして家族でゆっくり寝ることができるなど、サイズ感を活かした機能が魅力。屋外で快適にくつろぐときに便利なサイドオーニングも標準装備されます。

運転席下にはサブバッテリーを搭載。エンジンを切ってもバッテリーあがりを心配せず電装品を使えます。

もちろんメルセデス・ベンツらしいプレミアム感あるインテリアや最新の安全装備を搭載しているので、アウトドアはもちろん街中や高速道路も快適に移動できますよ。

 

■現在はキャンピングカービルダーが作ったものを手に入れる方法も

自動車メーカーが作るポップアップルーフ搭載車は1990年代に全盛期を迎えました。しかし2001年4月にステップワゴンが2代目にフルモデルチェンジし、2005年11月にボンゴフレンディの生産が終了したことで、日本車のポップアップルーフモデルは姿を消しました。これらのクルマが欲しい人は中古車を探すことになりますが、流通量はかなり少なくなっています。

現在、自動車メーカーが手掛けるポップアップルーフ搭載車はマルコポーロホライズンのほか、日本未発売のフォルクスワーゲンT6カリフォルニアを並行輸入で手に入れるという方法があります。

また、キャンピングカービルダーが手掛けたポップアップルーフ付きのモデルもあります。選択肢は軽自動車から大小さまざまなミニバン、そしてハイエースまでいろいろあるので、使い方や予算に応じて選ぶことができます。

ルーフテント付きのクルマを基地にすれば、アウトドアの楽しみ方が広がりますよ!

 

<文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

 

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