現金と同じようにオンライン上で決済が可能な法定通貨「デジタル人民元」を使ってアプリ課金を行うと、米国民が中国政府からスパイされるリスクが生じると主張する法案が議会に提出され、物議を醸しています。
複数の共和党議員が連名で提出
対中国強硬派として知られ、大統領選に出馬した経験もあるマルコ・ルビオ上院議員は、複数の共和党員とともに「権威主義的なデジタル通貨からアメリカ人を保護するための法案」を提出し、デジタル人民元が使用できるアプリを阻止する姿勢を明らかにしました。
ルビオ議員は「我々を憎み、世界の舞台で我々に取って代わろうとする大量虐殺政権のデジタル通貨に自分たちを縛り付ける理由は全くない」と語り、米国にとって見過ごすことのできない、甚大な金融&監視リスクだと主張しました。
また、この法案提出に名を連ねたトム・コットン議員も「中国共産党はデジタル通貨を使って、使用者をコントロールしスパイするつもりだ」と主張、「中国にチャンスを与えるわけにはいかない。一番根底のレベルで我が国の経済を弱体化させようとする中国の試みを、米国は拒否すべきだ」と訴えました。
法案を出すこと自体が目的?
ニュースサイトAppleInsiderによると、この法案は400単語足らずで、デジタル人民元がリスクとなる根拠を全く説明していないそうです。
サードパーティのストアならいざしらず、アプリ購入やアプリ内課金で支払われた金銭は、iOSのApp StoreならばApple、AndroidのGoogle PlayならばGoogleに向かうため、いかなる方法でデジタル人民元を通して中国当局がユーザーを監視できるのかは不明です。
そもそも単にユーザーを監視するだけならば、IPアドレスやブラウジング、あるいはスパイウェアなどいくらでも方法はあるでしょう。事実、これまでにも中国当局が、iOSのセキュリティ脆弱性やWebサイトなどを利用し、ウイグル自治区のユーザーを監視していた過去が何度か明らかになっています。
これらのことを踏まえると、AppleInsiderが鋭く指摘するように、今回の法案は「政治家が何かをやっているということを有権者に示すための、単なる見栄である可能性が高い」のでしょう。米国は11月に中間選挙が控えています。
なお、マルコ・ルビオ議員は以前より、中国の命令でアプリの検閲を行っているとしてAppleを批判しています。
Source:AppleInsider
Photo:Flickr/Ben Schumin
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-458200/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania