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日本ゴアに聞いた!防水テクノロジーのパイオニア「GORE-TEX」のハナシ【夏の流行モノ指名買いリスト】

【夏の流行モノ指名買いリスト】

今や、あまりモノに詳しくない人であっても何となく知っているGORE-TEX。ならばこの機会に世界一有名な防水テクノロジーについてより深く知るべく、日本ゴアを直撃取材。その歴史やお手入れ方法、種類などなど、気になるアレコレを聞いてきた

*  *  *

■GORE-TEXについて知っておきたい5つのこと

GORE-TEXとはWLゴア&アソシエイツ社(通称・ゴア社)が開発した、テクノロジー素材のブランド名である。だが、優れた機能性を備 えていること以外、分かっていないという人も多いはず。なので、改めて基本からおさらい。

GORE-TEXブランド マーケティング 伊藤由里子さん
ゴア社の日本支社である日本ゴアに所属し、GORE-TEXのマーケティングを務める。また本稿ではインタビューと監修でご協力いただいた

 

 

1. 歴史

Q. そもそもGORE-TEXはどういう経緯で誕生した素材?

A. ビル・ゴアとヴィーヴ・ゴアの夫妻が1958年に、フッ素樹脂の合成ポリマー(PTFE)でモノ作りをする会社としてゴア社を創業。1969年、息子のボブ・ゴアが延伸加工に成功し、ePTFEが誕生。これを膜状にしたもの がGORE-TEXメンブレンです。そして 防水・防風・透湿性を備えたこの膜に、表地・裏地を貼り合わせたものをGORE- TEXファブリクスと呼びます(伊藤さん)

2. 製造

Q. GORE-TEX は実際、どういった流れで製品化される?

A. ゴア社では多様なテクノロジーを用いたGORE-TEXファブリクスをアパレルやシューズメーカーに販売し、ウエアやシューズなどの製品が作られます。そこで重要となるのが、様々な製品テストです。 製品の防水性・透湿性・防風性を保証できるよう、 各メーカーさんと協力しながらゴア社の基準をクリアする製品を作り上げています(伊藤さん)

3. 手入れ

Q. GORE-TEXを使用したウェアは、どうお手入れするのが正解?

A. 雨や汗、皮脂による汚れは大敵。どんどん洗ってください! ウエアの洗濯表示に従い、表示でOKなら洗濯機を推奨。理想は40°C以下のぬるま湯&少量の液体洗剤で、すすぎは2 回、脱水時間は短め。乾燥機or日陰干しで完全に乾いたら、熱を加えて撥水性を回復させるべく、乾燥機で温風乾燥を20分間。乾燥機がない場合は、当て布&低温のアイロンでもOKです(伊藤さん)

4. 用途

Q. アパレルやアウトドア以外では、どんな分野で活用されている?

弊社では、1 医療機器、2 工業製品、3 生地という3つの部門が存在しており、ePTFEは機能性と汎用性の高さから様々な分野で活用されています。工業製品ではケーブルやフィルター製品、スマートフォンの防水機能、自動車のライトなどに用いられ、もっともビジネス規模が大きい医療関係では、素材の耐久性の高さから人工血管にも使われています(伊藤さん)

5. 未来

Q. GORE-TEXは今後どのように進化していく?

A. 現在、研究開発において重視しているのが“これまでの優れた機能性を保持しながら、いかに自然環境への負荷を軽減できるか”というサスティナブルなモノ作りです。例えば、表地にリサイクル生地を使用したり撥水剤をフッ素不使用のものに変えるなどしており、今年の秋からはePEメンブレンを採用したGORE-TEXプロダクトも新たに登場します(伊藤さん)

■アクティビティ別 GORE-TEX プロダクト表

全てのGORE-TEXプロダクトには、防護性と快適性を実現させるために、耐久防水性・防風性・透湿性の3大機能が備わっている。運動強度が高い順に紹介していこう。

クライミング→「GORE-TEX PRO プロダクト」

▲クライミングでは、突然の雨や雪、冷たく激しい風、荒々しい岩壁などから体を保護するためのタフな機能性が求められる

アルパインクライミングや冬山登山 などの過酷な条件下を想定して開発されており、頑丈な表生地、革新的な裏地でラミネートした3レイヤー構造によって、シリーズ最強クラスの耐久性、防水、透湿性を発揮する。また2020年の秋からは、これに3種のテクノロジーを組み合わせ最適化することで、より優れたパフォーマンスを実現させたアップグレード版も登場している。

[特徴]
・非常に頑丈
・極めて優れた透湿性
・耐久防水性
・高い防風性
・ストレッチ性(製品による)

 

ランニング・トレラン・サイクリング→「GORE-TEX Active プロダクト」

▲これらの有酸素運動では、動きやすさや軽量性、汗による水蒸気の排出、体の冷え防止といった快適性の維持が課題となる

アクティブな有酸素運動時の着用を想定し、透湿性に重点を置かれて開発されているため、GORE-TEX プロダクトの中では最軽量クラス。特別に開発された軽量GORE-TEX メンブレンと13~30デニールの非常に薄い表生地、および軽量のGORE C-KNITTM バッカーを組み合わせた3レイヤー構造を採用。柔らかく肌触りも抜群でコンパクトに携行できるので、旅行用としてもオススメだ。

[特徴]
・極めて優れた透湿性
・軽量性
・耐久防水性
・高い防風性

 

ハイキング→「GORE-TEX Paclite プロダクト」

▲低標高の登山でも、急な天候の変化に備えておくことが大切。着用するウェアにおいても、軽く動きやすいことが必須条件

たとえ低標高のハイキングであっても、雨風に対する備えあれば憂いなし。バックパックの中にコンパクトに折り畳んで収納できたりと、持ち運びに便利かつ、天候の変化にいつでも対応できる高機能なウエアがあれば安心して楽しめる。GORE-TEX メンブレンに表生地を貼り合わせ、内側は裏地ではなく耐久性のある薄いフィルムで保護することで優れた透湿性と驚くほどの軽量性を両方実現させた。

[特徴]
・コンパクト
・極めて優れた透湿性
・耐久防水性
・高い防風性

日常生活→「GORE-TEX INFINIUM Windstopper プロダクト」

▲日常生活では傘さえあれば雨に対しては事足りるが、昼夜の気温の変化や風にも注意。快適に過ごすためには着心地も重要

数あるGORE-TEXプロダクトの中 でも、 透湿性や防風性といった着用時の着心地に特化したのがコチラ。薄くて軽いウエアでも風を防ぐ だけで暖かさは大違い。さらに衣服の中の蒸れを軽減すれば快適性も高まる。もちろん耐水性はあるので少々の雨なら問題なし。 防水基準に縛られないため“快適さ”とスタイリッシュなデザインが両立できることから、日常生活にも馴染みやすい。

[特徴]
・高い防風性
・優れた透湿性
・耐水性

 

>> 特集【夏の流行モノ指名買いリスト】

※2022年6月6日発売「GoodsPress」7月号52-53ページの記事をもとに構成しています

<取材・文/TOMMY>

 

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