イギリス・ロンドンに拠点を置くスタートアップ企業、Nothing Technologyが、7月13日に、初のスマホ「Nothing Phone(1)」を発表しました。世界40以上の国・地域で発売し、日本での発売は8月と予告されています。価格はRAM 8GB+ROM 256GBモデルが6万9800円。8GB+128GB、12GB+256GBというバリエーションもあるようですが、それらの価格や発売時期はまだ公表されていません。
実は、このスマホ、正式に発表される前から少しずつ情報が解禁されて、ギーク層を中心に注目を集めていました。2020年10月にNothing Technologyを設立したCarl Pei(カール・ペイ)氏は、OnePlus(ワンプラス)というスマホメーカーの共同創設者の1人で、業界では著名な存在。昨年、第1弾として発売したワイヤレスイヤホン「Nothing ear(1)」は世界で50万台を超えるヒットを記録。Nothing Phone(1)は、現在全世界で20万台以上の先行予約待ちになり、アメリカで行われたオークションには最初の100台が出品されて、最初の1台は3000ドル(約41万6000円)で落札されるほどの人気を集めたとのこと。いったいどんなスマホなのか? 発売に先駆けて、使ってみることができました。
■最大の特徴は「Glyph Interface」
Nothing Phone(1)は6.55インチの有機ELディスプレイを搭載した、ベーシックなフォルムの端末。ですが、背面パネルには、ユニークなデザインが施されています。スケルトン調の背面には900個ものLEDが搭載され、光のパターンで電話の着信、アプリの通知、充電状況などがわかる仕組み。また、象を模した部分があったり、遊び心も感じられるデザインになっています。
背面のライトは「Glyph Interface」と呼び、着信音によって光り方を変えられるため、個別の連絡先を割り当てて、光だけで誰からの着信かがわかる趣向。
なお、このGlyphは、撮影の補助ライトとして使うことも可能。レンズの横に一般的なフラッシュライトも備えていますが、Glyphを点灯させることで、被写体をまんべんなく明るく照らすことができます。
Phone(1)のカラバリは、ホワイトとブラックの2色。どちらも単一の色ではなく、パーツによって微妙に色が異なり、素材の質感を強調。フレームには100%リサイクルされたアルミニウムを使い、プラスチック部品の多くにもバイオベース(再生可能)またはリサイクル材料が使われています。
ケースに入れて使うと、ユニークな背面が隠れてしまうのでは? という心配は無用。ほぼ見栄えを変えない、純正のスマホケース(別売で価格未発表)も用意されます。
■Androidベースの独自OSの使い勝手は?
Nothing Phone(1)には、Androidをベースに、独自のカスタマイズを施した「Nothing OS」が搭載されています。ただし、手が加えられているのは主に画面デザインで、操作性は一般的なAndroidスマホと同様。むしろ、プリインストールアプリが少なく、独自機能も少ないので、グーグル純正のPixelに近い印象。Androidを使ったことがある人は、迷わずスムーズに使いこなせるはずです。
Nothing OSはオープンなプラットフォームを目指しており、他社製品とのスムーズな連携も特徴としたいようです。Phone(1)の「EXPERIMENTAL FEATURES(実験的特徴)」には、テスラと接続させて操作できる機能がプリセットされていますが、今後さらに、さまざまな他社デバイスとの連携を発表する計画があるとのこと。また、「NFT Gallery」というウィジェットがあり、NFTコレクションを表示すると、ホーム画面から直接フロアプライス(最低落札価格)を追跡できるそう。
これらをすぐに役立てられる人は少ないでしょうが、時代を一歩リードする機能や拡張性を備えていることは大きな特徴です。
■操作性に支障はないが、初のスマホとして不安な部分も…
多くの人にとって気になるには、操作性ですよね。チップセットには、ミドルハイ向けのSnapdragon 778G+を採用。サクサクと軽快に操作でき、日常的な操作でストレスを感じることはなさそうです。
6.55インチの有機ELディスプレイの解像度は2400×1080ピクセルで、輝度は500ニト(ピーク輝度は1200ニト)。10億色表示やHUD10+にも対応しています。120Hzの高リフレッシュレートに対応し、タッチサンプリングレートは240Hz。ゲームから動画視聴まで、多目的に活用できる仕様です。
ただし、筆者が「Netflix」アプリをインストールしようとすると、「Google Playストア」では表示されず、「Netflix」サイトからダウンロードしたアプリも起動できませんでした。実際に発売される端末では改善されることを望みますが、Nothing OSの初めての端末なので、発売時点で、非対応のアプリがあったりするかもしれません。どうしても使いたいアプリがある人は、購入前に確認したほうがいいでしょう。また、何かしらのトラブルに遭った場合のサポート力も未知数と言わざるを得ないでしょう。
バッテリー容量は4500mAhで、電池持ちは平均的な印象。33Wの急速充電に対応し、15Wのワイヤレス充電にも対応しています。
■デュアルカメラの撮影画質は期待していた以上
リアカメラはメイン(5000万画素/F1.88)+超広角(5000万画素/F2.2)の2眼。メインカメラにはソニー製の「IMX766」という画像センサーを搭載。これは、OPPO Find X3 Proなど、ハイエンドスマホでも採用されているセンサーです。超広角カメラは被写体から4cmの距離でのマクロ撮影が可能。動画は最大4K(30fps)で撮影でき、120fpsでのスローモーション撮影も可能。普段づかいには困らない仕様を備えています。
気になる画質ですが、色味はナチュラルで、やや明るく鮮やかに写る印象。
動画撮影中に一時停止できたり、「写真」モードでシャッターを長押しして動画を撮影できるのも便利に感じました。ただし、シャッター音が独特なメカニックな音で、やや大きいのが気になりました。
フロントカメラは1600万画素で、こちらも画質は及第点。派手な補正機能はありませんが、「ポートレート」モードに設定すると、背景をぼかしたり、顔の肌目を整えたりする補正ができます。
■個性的なデザインに惹かれるなら使ってみる価値アリ!
デザインとレア度で注目されそうなNothing Phone(1)ですが、操作性にクセはなく、使い勝手も良さげです。
2枚のSIMを挿せて、もちろん5Gに対応。防水・防塵はIP53で、屋外で使って雨に濡れたりするのは問題がないレベル。NFCを搭載し、Google Payは使えますが、おサイフケータイには対応していません。そこに妥協できるのであれば、面白い選択肢になりそうですよ。
>> Nothing
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/464481/
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