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第2世代e-POWER搭載に4WDの追加!日産「キックス」のマイチェンはアップグレード感増し増しでした

いま、日本のSUVマーケットでもっとも人気となっているジャンル。それがコンパクトSUVセグメントです。

トヨタの「ヤリスクロス」をはじめ、同じくトヨタの「カローラクロス」、ホンダ「ヴェゼル」、そしてスバル「XV」など人気モデルが勢ぞろい。魅力はなんといっても運転しやすい車体サイズとその割に広い荷室、さらには手の届きやすい価格など多岐にわたります。

そんな人気ジャンルを担う日産のコンパクトSUVといえば「キックス」。2020年6月から日本での販売が始まったモデルで、後席居住性や荷室の広さがライバル(ヤリスクロスやヴェゼル)に対するアドバンテージです。特に423Lを誇る荷室容量はクラスで断トツの実力。キャンプなど荷物が増えがちなアウトドアレジャーを楽しむ人との相性もバッチリなのです。

また、日本仕様は全グレードともハイブリッドだけの展開としているのも特徴です。日産が「e-POWER(イーパワー)」と呼ぶハイブリッドシステムは、エンジンは駆動輪と機械的につながっておらず電気を起こす発電機に専念。そこで生み出した電気を使い、モーターが駆動力を生み出します。

これはいわゆるシリーズハイブリッドと呼ばれる仕掛けで、発進&停止を繰り返すような市街地走行で燃費がいいのが大きなメリット(ただし高速走行はほかのハイブリッドシステムよりも燃費の伸びしろが少ない)。

加えてモーターによる加速は、EV電気自動車のようにスムーズでなめらかかつシャープで心地いいのが、ほかのハイブリッドに対する優位点です。とはいえもちろん、EVではなくハイブリッドなのでバッテリーを外部から充電する必要はないし、普通のガソリン車と同じように途中でガソリン給油さえすれば長距離を走り続けることもできます。

■ようやく追加された4WD

そんなキックスにも大きなウィークポイントがありました。それは4WDの設定がないこと。降雪地域の人にとって滑りやすい路面での安心感が高まる4WDは必須といえる機能であり、それを求める声も少なくなかったのです。

そんな中、ついに4WDが追加されたのだから朗報。キックスは7月19日にマイナーチェンジを受けたのですが、同時に4WDが加わりました。キックスと4WDシステムの組み合わせは待ち望んでいた人も多いことでしょうね。

4WDシステムは、後輪駆動用にモーターを追加した電気式。先立って日産「ノート」や「ノートオーラ」に用意されているシステムで、単に発進をアシストするに留まらず、旋回中も車体を安定させると同時に、曲がらなすぎ(アンダーステア)でもなく、逆に曲がりすぎること(オーバーステア)もなく、ドライバーが意図したとおりの旋回ができるように状況に合わせて駆動力を最適にコントロールする高度なシステムです。

同じ仕掛けを搭載したノートの4WDで雪道を走ったときは、ドライバーの意図を汲んで制御するからハンドリングがよく、雪道を楽しく走れたのが印象的でした。そんな走りの楽しさはキックスでも期待していいはずです。

ただ、ひとつだけ注意すべき点は4WD車はFFモデルに対して荷室の床が高くなっていること。つまり荷室容量が少し犠牲になっているので、購入時は実車で確認したいところです。

■新型に搭載された「第2世代e-POWER」

そして何を隠そう、今回のマイナーチェンジでのメカニズムの変更は4WDモデルの追加だけにとどまりません。なんと、e-POWERシステムそのものの世代が新しくなったのです。

従来のキックスが搭載していたシステムは、先代型ノートと同じタイプでした。しかし新型キックスは、新型ノートと同じ世代の新しいユニットに換装。これは「第2世代e-POWER」と呼ばれるもので、マイナーチェンジながら一世代分進化しているのです。

従来モデルに対するわかりやすい違いはモーターの出力(「ノートオーラ」と同じ)とトルクが向上していることですが、実際に乗ってみるとそれらスペック以上に違いを感じ取れることでしょう。静かなのです。

従来はバッテリーをできる限り充電するために頻繁にエンジンがかかりました。対して進化したシステムは、エンジンをできるだけかけない制御としています。だから静かなのです。

また、エンジンがかかった際でも回転数を上げず、できるだけ静かな状態を保つようになりました。一方で走行状況を検知し、ロードノイズがうるさいなどエンジンをかけてもその音が目立たないと判断した際はエンジンを始動し、回転を高めにして効果的にバッテリーを充電。

充電にメリハリをつけることで、バッテリーはしっかり充電しつつも静かさを保つのが新型ということです。違いは乗ればすぐにわかります。明らかに新型のほうが快適。性能面の伸びしろが大きくて驚きました。

新型は上質感がレベルアップしたのも見逃せないところ。センターコンソールが新しいデザインとなり、シフトセレクターも現行型のノートや「フェアレディZ」と同じ最新デザインへ。従来からあったブラックやオレンジの内装に加え、ベージュの内装が加わったのもトピックです。

また、先進安全技術も進化し、2台前を走る車両の動きをチェックして、ブレーキをかける必要があればいち早くドライバーに伝えて玉突き事故を防ぐ「インテリジェントFCM」も新搭載。

メカニズム、インテリアの質感、そして安全性と多岐にわたってアップグレードされたマイナーチェンジなのです。

<SPECIFICATIONS>
☆X FOUR ツートーンインテリアエディション
ボディサイズ:L4290×W1760×H1605mm
車重:1480kg
駆動方式:4WD
エンジン:1198cc 直列3気筒 DOHC
エンジン最高出力:82馬力/6000回転
エンジン最大トルク:10.5kgf-m/4800回転
フロントモーター最高出力:1366馬力/3410〜9697回転
フロントモーター最大トルク:28.6kgf-m/0〜3410回転
リアモーター最高出力:68馬力/4775〜1万259回転
リアモーター最大トルク:10.2kgf-m/0〜4775回転
価格:317万1300円

<文/工藤貴宏 写真/五十嵐真(IGASTA)>

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』をはじめ、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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