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100秒の思考を1000円で買い取り。SF感あふれる脳波買取センターで脳波を売ってきた

「ちょっと脳波を売ってくる」「興味深い脳波を買っちゃった」

そんな会話が当たり前になる時代が、すぐそこまで来ているかもしれません。

クリエイティブ集団コネルは、脳波買取センター(以下、BWTC)を立ち上げました。7月30日(土)~8月7日(日)の期間、脳波データを100秒あたり1000円で買い取るイベントを開催中です。

会場は、東京都千代田区のアートセンター「アーツ千代田3331」。入場は無料で、一部事前予約を受け付けています。

ということで、一足先にTechable編集部が脳波を売ってきました。

脳波データから絵画を制作

BWTCでは、専用の機材で計測した脳波を買い取り、集めた脳波データを絵画に変換し、販売します。

実施期間中、最大100万円(10万秒)まで脳波の買い取りをおこない、上限に達したあとは脳波絵画の展示即売会としてイベントを継続します。

なお、脳波の買い取り時に個人を特定する情報は取得せず、入場にあたって年齢制限などの条件もありません。

真っ白な部屋に真っ白な箱

それでは、脳波買い取りの流れを簡単に紹介しましょう。まずは、脳波の計測です。

この真っ白なボックスが、脳波の自動買い取り機。近未来感漂うその姿に、少し心拍数が上がります。

計測前に、イニシャル、年齢・性別(任意)、脳波測定中に思考する内容を画面に入力します。筆者は思考内容を「WHAT I WANNA EAT TODAY」に決めました。アルファベットでしか入力ができないので、ご注意ください。「KYO NO YORUGOHAN」でも大丈夫です。

計測装置は、株式会社ハコスコの脳波デバイス「FocusCalm」。医療機器と比べると精度は劣るものの、一般的に手に入る脳波計のなかではノイズが少ないのだそう。


取り出し口から現れるヘッドバンド型の専用装置を装着すると、100秒間の計測がスタートします。

この100秒間が、意外と長いのです。真っ白な部屋で、視覚的に思考をさえぎるものがない時間。私たちは、無意識的に膨大な量の情報やデータに触れる生活をしていますから、こうした体験自体が貴重と言えるのかもしれません。

取材後に何を食べるか真剣に考え尽くして、計測は終了です。

アイスが食べたい私の脳波絵画

計測した脳波データは、コネルが開発した独自のアルゴリズムにより絵画へと変換され、自動買い取り機からレシートと1000円が出てきます。

レシートには、脳波絵画とFocusCalmで取得した脳波データ、脳波ドナーである私の情報などが記されていて、右下のQRコードからBWTCのコレクションページにアクセスすると、脳波絵画をWeb上でも確認可能です。

自分の思考が可視化され、作品として展示されるーー。すごいことをやってのけた気分です。

会場に設置されているアーカイブ検索用のディスプレイでも、自分の脳波作品を見ることができます。思考の詳細は割愛しますが、「暑すぎてアイスしか食べたくない」という結論に至った私の脳波絵画がこちらです。

レシートに記載されているUBCODEの下4桁を入力すると、大画面で自分の作品を見ることができる。右上が0秒、左下が100秒。

それぞれの脳波絵画に値が付く

こうして完成した脳波絵画は、コレクションをして終わりではありません。コネルが値付けをおこないます。

値付けをおこなうエリア


コネルの出村氏によると、絵画としての美しさや線形の珍しさなどをもとに値付けをおこなうのだそう。ドキドキしながらサイトを確認してみたところ、私の脳波絵画には、7200円の値がついていました。

値段が付いた自分の脳波絵画は購入することができます(後日郵送)。もちろん、自分ではない誰かの作品を購入することも可能です。

当日自分の作品を持ち帰りたいという人は、700円(税込)でレプリカを購入できます。

トレーシングペーパーに印刷されたレプリカ。持ち帰り用の箱に入れてくれる。


ここまで、脳波買い取りの流れを紹介してきましたが、BWTCでは、事前に制作した作品や子どもが1時間思考した脳波を絵画に変換した大型作品などの展示もおこなっています。

自分の脳波絵画と似ている作品を探してみたり、「なぜ濃淡があるのか」「なぜ密度が濃いのか」を考えてみたりと、さまざまな過ごし方を楽しめそうです。

社会実験型の作品「BWTC」

100秒で1000円。東京都の最低賃金が時給1041円(記事執筆時点)であることを考えると、魅力的な金額です。しかし、コネルは“稼げるバイト”を提供したいわけではありません。

コネル創業メンバー。左から出村光世氏、 荻野靖洋氏、宮田大氏。


BWTCは、目には見えないさまざまなデータが無意識に取引される時代に、情報の価値について考え、新たな取引の形を模索することを目的とした企画。“不透明なデータの価値”と“脳波計の大衆化”をテーマに、展開しています。

BWTCについて「便利・ヘルスケア・安心以外のデータの価値と向き合うきっかけを作りたかった。今回のイベントを通じて、まずはこれらを議論する場を提供できれば」と話していた出村氏。

同氏は、「BWTCは社会実験型の作品。報道やSNSの投稿を含めた取り組み全体が作品です」とも話します。体験後は、“作品の一部”として、感じたことや考えたことを発信したり共有したりすると、より楽しめるかもしれませんね。

BWTCの会場に足を運ぶ方は、感染症対策をお忘れなく。オフラインでの体験は難しい、控えたいという方は、メタバース会場「BWTC Metaverse Store」でリアル会場の雰囲気を少し楽しめます。

BWTC Metaverse Storeでは、脳波の買い取りはおこなっていませんが、5名の有識者の脳波データをもとに作成した脳波絵画をNFT作品として限定発売中です。

BWTC
PR TIMES

(文・Saki Amano)

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