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夏といったら恐竜でしょ!恐竜骨格模型をジオラマで製作!【達人のプラモ術<恐竜骨格模型>】

【達人のプラモ術】
バンダイスピリッツ
1/32 ティラノサウルス&トリケラトプス
01/04

夏です! 暑い日が続きます! そして夏と言ったら恐竜です! 先日、公開されたばかりの映画『ジュラシック・ワールド』を観てきました! いやぁやっぱり恐竜っていいですよね! そんなテンションMAX状態の中、バンダイスピリッツから1/32固定骨格プラモデルのトリケラトプスが発売になりました! 旬のプラモデルです。

そこで今回は昨年発売されたバンダイスピリッツの1/32固定骨格モデル第1弾ティラノサウルス(3980円)と最新キットのトリケラトプス(3980円)を組み合わせて、恐竜化石ジオラマを製作します。この夏注目のプラモです!

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■太古のロマンをプラモで楽しむ!

バンダイが昨年の夏、新たに展開したイマジナリースケルトン(Imaginary Skeleton)の第1弾として発売された恐竜の固定骨格模型。その第1弾が1/32スケールのティラノサウルスになります。そしてこの2022年7月、第2弾としてトリケラトプスのプラモデルが発売されました。

▲第1弾 ティラノサウルス

これまでも恐竜のプラモデルはありましたが、本格的な恐竜化石の骨格模型というのは、このイマジナリースケルトンが初めてです。キットはトリケラトプス、ティラノサウルスともに、復元された骨格標本を組み立てるという仕様で、どちらにも白亜紀の地面を再現したリアルな展示ベースが付属しています。

▲第2弾 トリケラトプス

またキットには、組み立て説明書とは別にトリケラトプスとティラノサウルスそれぞれの『現存古生物恐竜論』という12ページの小冊子が付属しています。これが実に面白くて、恐竜研究の最新情報がギッシリと満載されているんですね。以前制作した「しんかい6500」もそうでしたが、知識が満載された小冊子は、好奇心を満足させてくれる科学プラモの科学プラモたる部分だと思うわけです。ぜひ手に取って読んでいただきたいですね。

▲キットに付属する小冊子『現存古生物恐竜論』。12ページとはいえ内容は実に濃くて、ダイナソー好きにはたまらない内容です。内容はインターネット上にアップ禁止となっているので、ぜひ自身の目で見てほしい

 

■最新の学説から自然な動きをイメージし、その瞬間を切り取った固定骨格モデル

先にも書いたようにキットは恐竜化石の骨格模型です。 1/32スケールということもあって、ティラノサウルスは完成させると全長約35センチとなかなかのボリュームがあり、複雑なつながりを見せる骨格は、一見しただけだと組み立てが大変そうだなぁと思えてしまいます。しかし、パーツ分割と組み合わせがよく考えられており、またあえて可動モデルではなく固定ポーズモデルにしたことで、とても組みやすくプラモ製作の経験がない人でも2時間もあれば完成できます。

またキットは石灰石を50%以上含み、従来の石油由来樹脂の使用を大きく削減したLIMEXと呼ばれる新素材を原料にしており、重量感のある質感の再現をはじめ、
CO2排出削減にも貢献しているとのこと。

 

■いざ製作スタート! まずはティラノサウルスを作る

まずは昨年に発売されたティラノサウルから製作を進めていきます。

製作は頭部、胴体、足といった順番でサクサクと組むことができます。キットは獲物に飛び掛かる瞬間の体を折り曲げた姿勢が正確に再現されており、ティラノサウルスの骨格構造が「腹骨(腹肋骨)が皮膚と連動し、よじれや密着するような形状がこうなっているんだ」と理解できます(正しい科学プラモデル!)。

キットのままでも良いのですが、第2弾として発売されているトリケラトプスと組み合わせて恐竜の対決を再現するつもりなので、ティラノサウルスのポーズには手を加えていきます。

▲まずはアタマから制作開始。あえて固定ポーズで可動部分はなく、接着剤を使わないスナップキットなので、サクサクと組み立てを進められる。下顎骨には神経が通っていた溝なども正確に再現されている

▲組み上げた胴体部分。ティラノサウルのあばら骨は左右で22本ある

▲キットは接着剤を使用しないスナップモデルだが、作例ではポーズ変更するので、パーツを組み上げたあとに流し込み接着剤でしっかりとパーツを固定

▲44個の骨で構成される尻尾は分割が工夫されており、パーツの接合線が表に出ないようになっている

▲組み上げた胴体と長くつながる尻尾。頭と足がないのでモモサウルスのような海龍のようにも見えるのが興味深い

▲組み上げた頭部、胴体、胸と腕の付け根となる鳥口骨を組み上げ、最後に足を取り付ければ完成となる

▲貧弱な腕にくらべて、太くたくましいティラノサウルスの足の骨

▲キットは、獲物にとびかかるためにぐっと足を縮めた、とびかかる寸前のポーズを再現しているため、両足は地面から離れており、付属の専用スタンドでベースに固定できる

▲付属の専用展示ベース。泥の上に残るティラノサウルスの足跡や植物の葉などがリアルにモールドされているので、丁重に塗装して仕上げたい

▲箱を開けてから1時間で完成したティラノサウルス

▲スタンドを使わず展示ベースに直接立たせてみた

 

■イメージはヒューストン自然科学博物館のレインvs.スタン

昨年夏にパシフィコ横浜で開催された『恐竜科学博ラミディア大陸の恐竜物語』において、ヒューストン自然科学博物館が所蔵している世界で最も有名なトリケラトプスの化石、通称LANE(レイン)と、1992年にほぼ完全な状態で発掘されたSTAN(スタン)と呼ばれるティラノサウルスの骨格化石が公開されました(当然ながらそのスタンとレインに会いに行きました!)。そこで観たレインに襲い掛かろうとするスタンの躍動感のある展示をイメージソースにレインvs.スタンのジオラマの製作を進めていきます。

▲『恐竜科学博ラミディア大陸の恐竜物語』の公式ガイドブック。恐竜模型製作としても資料性満点

▲間近で観るティラノサウルス(発見者の名前からスタンと呼ばれる)の完全骨格は迫力満点。動的なポーズなど今回のジオラマ制作の参考にしたい(写真:長谷川迷人)

▲ほぼ完全な状態の化石として発掘されたトリケラトプスのレイン。次回の制作では大いに参考にしたい。実物を前にするとその迫力に圧倒される(写真:長谷川迷人)

 

■意外に古くからあった恐竜プラモデル

日本での恐竜プラモは、昭和40年代の怪獣ブームの際にいくつか発売されていました。当時は恐竜と怪獣も一括りの扱いだったと記憶しています。当時怪獣ブームのきっかけを作ったのが映画『ゴジラ』(1954年公開)になるわけですが、劇中で山根博士が「ゴジラは二百万年前の海棲爬虫類から陸上獣類に進化する過程の生物」と言っているので、当時の子供は怪獣=恐竜と擦りこまれております(笑)。ちなみにゴジラのプラモデルは1964年にマルサンが発売していました。さて怪獣プラモは脇に置いて恐竜プラモの話に戻りましょう。

1960~’70年代当時、恐竜プラモといえば海外製一択でした。オーロラ(アメリカのプラモデルメーカー)がティラノサウルスやプテラノドン、トリケラトプスやマンモス等をプラモ化しており、日本でも販売されていました。

オーロラは1977年に倒産しましたが、モノグラム、レベルが金型を受け継ぎ、恐竜プラモは長く発売されています。少年時代に憧れた恐竜プラモは…海外プラモということもあってそれなりに高価で、子供のおこづかいではおいそれとは買えない、言うところのガラスケースのプラモデルでした(遠い目)。

※ガラスケースのプラモ
一昔前は、高価なプラモデルや海外製のキットは模型店の棚ではなく、ガラスケースの中に並べられていて、子供には触ることができない、触らせてくれない憧れのプラモデルだったんですねぇ。

▲小学生だった70年代、当時欲しくても買えなかった(買ってもらえなかった)オーロラのティラノサウルス。考証が古いので、尻尾を地面につけて歩いているスタイルで再現されている(※最新の考証ではティラノサウルスは、歩く際に体のバランスを保つために尻尾は地面につけず持ち上げられていたとなっている)

次回はトリケラトプスを製作します、お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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