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輸入車なのにお手頃価格!走りも魅力のイタリアンブランド「ベネリ」って知ってる!?

輸入バイクというと、排気量が大きく高価というイメージを持っている人が多いかもしれません。ただ、近年の輸入モデルは一部の高級グレードを除き、国産バイクとそれほど大きな価格差はなくなっています。そんな中でも、“中免”(普通自動二輪免許)しか持っていないけれどまたバイクに乗りたいと考えているリターンライダーに注目してほしいのが、400cc以下の小排気量を中心にラインナップしているイタリアン・ブランドのベネリ(Benelli)。コストパフォーマンスも高く、人とちょっと違うバイクを選びたいというライダーにおすすめできます。

 

■イタリアで生まれ、プロトの手で日本に上陸

ベネリというブランド名を聞いたことがあるのは、結構バイクに詳しい人でしょう。1911年にイタリアで誕生したブランドで、小排気量車を中心にラインナップを揃え、イタリアン・ブランドらしくレース活動にも積極的でした。1969年には世界GPの250ccクラスでチャンピオンも獲得しています。

2005年からは中国に拠点を持つQ.J.グループの一員となり、2016年からはボルボやロータスなどを傘下に持つGEELYの資本参加も受け、新生・ベネリとしてラインナップを拡充しています。

日本での輸入販売を手掛けるのは、2輪のパーツメーカーとして知られるプロト。販売網も広く、全国で購入できるのは新興の輸入ブランドとしてはメリットです。現行モデルは125ccクラスから400ccクラスまで6車種がラインナップされていますが、そのうち5車種に乗る機会があったので、それぞれのインプレッションとどんなライダーにおすすめできるのかを紹介しましょう。

 

■クラシカルな単気筒「インペリアーレ400」

現行ラインナップの中で、最も注目度が高いのが、2022年に上陸した「インペリアーレ400」です。1950年代に販売され、名車とうたわれたベネリ-モトビブランドの「Imperiales」をオマージュしたクラシカルなデザインで、空冷の単気筒エンジンを搭載。最近は、惜しまれながら生産終了となったヤマハ「SR400」や、ホンダ「GB350」など空冷単気筒マシンが人気ですが、そのライバルとなりそうです。

スポークホイールに、スプリング付きの前後セパレートシートを採用したシルエットは、知らない人が見たら2022年に発売されたモデルとは思わないくらいクラシカル。単気筒エンジンの排気音も歯切れが良く、ライダーの気分を盛り上げてくれます。ただ、不快な振動が一切なく、アクセルを開けると鋭いピックアップが感じられるのが現代の設計らしいところ。フロント19インチ、リア18インチのホイールによるハンドリングは安定志向ながら、コーナーリングを楽しめる懐の深さもあり、クラシックなフィーリングを味わいたいライダーにすすめられます。

●サイズ:2170×820×1120mm
●重量:205kg
●エンジン:374cc 空冷単気筒SOHC2バルブ
●最高出力:15.5kw(21.1PS)/5500rpm
●最大トルク:29Nm/4500rpm
●価格:66万8800円

 

■125ccクラスとは思えないスポーティさの「125S」

同じく2022年に追加された新モデルが「125S」。前後17インチホイールを履いた、フルサイズの原付二種で、押し出しの強いストリートファイター的なスタイルが存在を主張します。特徴的なLEDヘッドライトに倒立フォーク、アップハンドルの組み合わせでいかにも走りそう。125ccクラスとは思えない迫力があります。

実際に走らせても、運動性能は125ccクラスのイメージを覆すもの。さすがにエンジンはトルクフルとはいえませんが、回転上昇が滑らかで上まで回すとかなりパワフル。特に高回転域の気持ち良さは、小排気量車を得意とするイタリアン・ブランドらしいところです。

車体の完成度も高く、ハンドリングも俊敏。腕のある人が乗れば250ccクラスを追いかけ回すこともできそうです。スポーツバイクにリターンしようと考えている人は、このマシンで復活すると、大排気量車へのステップアップもスムーズでしょう。

●サイズ:2030×780×1070mm
●重量:147kg
●エンジン:125cc 水冷単気筒SOHC4バルブ(3スパーク)
●最高出力:9.4kw(12.8PS)/9500rpm
●最大トルク:10.0Nm/8500rpm
●価格:41万8000円

 

■唯一無二のスタイルが人気の「レオンチーノ250」

同ブランドのマシンで、最も売れているのが「レオンチーノ250」。1951年に発売された同名のモデルへのオマージュも感じられますが、上下に分割された楕円のLEDヘッドライトなど、シルエットはモダンなものです。コンパクトなシート、スイングアームマウントのフェンダーとナンバープレートホルダーなど、デザインはバイクらしくも他に似たものがない独自のもの。女性にも人気が高いのは、このデザインによるものでしょう。

エンジンは水冷の単気筒ですが、走りはかなり元気。低回転でも扱いやすく、初心者が街乗りなどもしやすそうですが、やはりこのブランドの真骨頂は高回転での気持ち良さです。気持ち良くフケ上がるので、ついついアクセルを開けたくなる。倒立式のフロントフォークを備え、フロント110/70R17、リア150/60R17と大型車並みのワイドタイヤを採用していることもあって、コーナーリングも得意です。リターンライダーからベテランライダーまでおすすめできる完成度になっています。

●サイズ:2030×840×1115mm
●重量:162kg
●エンジン:249cc 水冷単気筒DOHC4バルブ
●最高出力:19kw/9250rpm
●最大トルク:21.0Nm/8000rpm
●価格:64万9000円

 

■125ccらしからぬ走りで遊べる「TNT 125」

前後12インチホイールを履いた原付二種ながら、クラスを超えた迫力を感じさせるのが「TNT 125」。ストリートファイター的なLEDのフロントマスクに倒立フォーク、そして鋼管トレリス構造のフレームが、その存在感の所以です。エンジンは縦型シリンダーで、大型のオイルクーラーを備えているため、空冷フィンが刻まれていますがメーカーでは油冷と位置づけています。

12インチの125ccマシンというと、ホンダの「グロム」や「モンキー」がライバルとなりますが、乗り味はそれらのモデルとは一線を画するもの。ホイールベースがやや長いこともありますが、車体剛性が高いこともあってレジャーバイク的な印象はなく、“走り”を楽しめるマシンに仕上がっています。エンジンも高回転型で、低回転域でのトルクは薄めですが、上まで回すがかなり元気な加速が味わえます。バイクに乗り始めた初心者から、ベテランライダーのセカンドバイクとしてもすすめられるマシンです。

●サイズ:1770×760×1025mm
●重量:124kg
●エンジン:125cc 油冷単気筒SOHC4バルブ
●最高出力:8.2kw/9500rpm
●最大トルク:10.0Nm/7000rpm
●価格:36万8500円

 

■レプリカ世代も満足できる2気筒マシン「TNT 249S」

そして今回試乗したマシンの中で一番楽しかったのが「TNT 249S」。ブランド唯一の2気筒エンジンをトレリスフレームに搭載し、リアサスペンションユニットは車体右側に斜めに配置されるというユニークな設計です。LEDのフロントライトや倒立フォーク、ペータルタイプのダブルディスクなど、装備も豪華でスタイリングも迫力があります。

実際に走って感じたのは、同ブランドの中でも群を抜く高回転での気持ち良さ。2気筒エンジンは吹け上がりが鋭く、近年のバイクにしてはパワーバンドが明らかに高回転域にあるので、かつてレーサーレプリカで走り回っていた世代には懐かしく感じられるはずです。高回転での排気音も美しいので、ついついアクセルを開けてペースが上がりがち。足回りのクオリティも高いので、そのペースをしっかりと支えてくれます。昔はレプリカに乗っていて、久しぶりに走りたくなったけど前傾姿勢はキツそうだな…と感じているライダーにおすすめできます。

●サイズ:2130×800×1120mm
●重量:204kg
●エンジン:250cc 水冷並列2気筒DOHC4バルブ
●最高出力:22kw/11000rpm
●最大トルク:21.0Nm/9000rpm
●価格:74万8000円

*  *  *

イタリアンブランドらしい個性と魅力を持ちつつ、国産車に対して競争力のある価格で入手できるベネリのマシン。既に感度の高いライダーには知られてきており、輸入が間に合わなくなっているモデルもあるようですが、人とは違ったマシンに乗りたいライダー、このスタイルにビビッと来た人は一度乗ってみることをおすすめします。

>> ベネリ

 

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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