飽和状態にある中国市場と異なり、インドは未だに14億人の人口のうち約半分がスマートフォンを手にしていないと言われています。そんな可能性溢れる市場で圧倒的な存在感を放っている中国のスマートフォンベンダーでしたが、このところインド政府から厳しく締め上げられる光景が目立ちます。
上位は中国企業が独占
インドのスマートフォン市場が中国に次いで世界2位(3位は米国)の規模に成長した背景を探るにあたって、中国スマートフォンベンダーの存在は欠かせません。
調査企業Canalysによると、2022年第2四半期(4月〜6月)において、ベンダー別シェア上位5社のうち4社を中国企業が占めています(残る1社はSamsung)。一方でインドの国内ベンダーは市場のわずか1%ほどを占めるに留まっています。
しかし、中国とインドの政治的な緊張が高まるにつれて、次々と中国ベンダーがインド政府による規制の対象となっていることが分かっています。
政府が積極的に動き出す
例えば、シェア上位に名を連ねているRealMeやVivo、Oppoは、いずれも中国のBBK Electronicsが親会社です。
ところが、先月にはインドの政府当局がVivo Indiaの銀行口座にある5,800万ドル(約78億円)を凍結、さらにはOppoが5億5,100万ドル(約740億円)の脱税が指摘されるなど、次々とBKKの小会社が脅かされる事態に発展しています。
これに先んじて、シェア1位のXiaomiも中国の親会社に誤送金していたとの理由で、7億ドル(約940億円)を差し押さえられています。
また、Bloombergに匿名の情報筋が語ったところによると、インド政府は中国ベンダーに対して、12,000ルピー(約2万円)以下の端末販売を禁止することも検討しているそうです。第2四半期にインドで販売された全端末の3分の1はがこの価格帯に該当します。
インド市場から離れられない
インド政府が中国ベンダーを締め上げ始めたことについて、アナリストの間では、政治的緊張だけではないとの見方もあります。
調査企業Counterpointのアナリストは「インドが中国ベンダーを必要としているというよりも、これらの企業がインドを必要としている」と述べ、政府もそれを知っているからこそこのような手段に出ている面もあると指摘ました。
こうした事態が今後も続けば、中国ベンダーの勢いが大きく削がれるのは間違いないでしょう。しかし、他に魅力的な市場もありません。先述のアナリストも「これらの企業がどこかへ行くとは思えない。ここに留まるのだ」とし、これだけ大掛かりな投資を行って市場を開拓してきた以上、今後もインドにスマートフォン市場の可能性を見出し続けるほかないだろうと分析しています。
Source:Rest of World,Bloomberg,Canalys
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-477304/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania