最近はMacもWindowsもBluetoothキーボードが使いやすくなり、筆者も普段はBluetoothで接続した無線キーボードを愛用しています。
しかしながら、Windows PCのUEFI画面など、Bluetoothキーボードが使えない場面が残っており、有線キーボードを1台持っていると安心です。
一方、WindowsとMacの間にはキー配列の違いがあり、ある程度高価なキーボードにならないと両方に対応しておらず、費用を抑えるにはそれぞれ別のキーボードを用意しなくてはなりません。
そんななか、エレコムが販売している「TK-FCP096WH」という格安ながらMac/Windows両対応の有線キーボードを見つけましたので、使い心地をレビューしたいと思います。
MacとWindowsのキーボードの違い
MacとWindowsの間では、クラウド上で動作するアプリの増加などによりソフトウェア面では差が少なくなりました。
一方、ハードウェア面では昔からのしがらみで違いが残っています。
その代表例がキー配列です。
たとえばMacはスペースバーの両脇にcommand(cmd)/option(opt)といったキーがあるのに対し、Windows PCはWin/Altといったキーを持っています。
以下の写真はAppleのMagic KeyboardとMicrosoftのデザイナーコンパクトキーボードのキートップを拡大したものです。
これらはWindows用のキーボードをMacで使うと左側のcommandとoptionの位置が逆になる(Winキーがcommand、Altキーがoptionとして認識される)程度なのでまだよいのですが、さらにやっかいなのが無変換&変換と英数&かなといった日本語入力関係のキーです。
これらはキーコードが異なるため、Windows PC用の日本語配列キーボードをMacに接続しても使えません。
ロジクールなどの高級キーボードのなかには自動的に接続先のPCを判別して出力するキーコードを変更する機能を備えたものがありますが、いざというときの予備キーボードに高いお金をかけるのはもったいなく感じられ、筆者はどうしたものかと悩んでいました。
エレコムのTK-FCP096WHはMac/Win両対応の格安有線キーボード
そんななかで見つけたのが、エレコムの「TK-FCP096WH」です。
このキーボード、定価は5,247円(税込)とそこそこの値段ですが、Amazonでは1,927円(税込、本記事執筆時点)と格安で売られています。
それにもかかわらずMacとWindows両対応なのが魅力的です。
ちなみにこの機種はテンキーレスでホワイトカラーのモデルですが、黒色やテンキーつきなど、全4種類のラインナップがあります。
Fn + W/QでMac/Windowsを切り替えられる
筆者がこのキーボードを購入するきっかけとなったMacとWindowsのキー配列切り替えは、以下のキー入力でおこなえます:
- Fn + W: Macモード
- Fn + Q: Windowsモード
ポイントはMacやWindowsにドライバやユーティリティーをインストールする必要がなく、キーボード自体が切り替え機能を持っているという点です。
Windowsのセーフモードなど、ドライバやユーティリティーを利用できない場面がありますが、キーボード本体で切り替えができるため、MacやWindows側で認識さえできれば、問題なく利用できるでしょう。
MacとWindows両対応のため、切り替えがおこなわれるキーには二重に表記があります。また、W/Qキーにはmac/Winと書かれており、切り替え方法がわかりやすいです。
薄くて軽くて小さい
このキーボードは薄くて小さいのも特徴です。
テンキーなどを排した83キー構成のため横幅が289.2ミリと短く、高さも21.2ミリしかありません。
また、重さもケーブルを含めて394グラムと比較的軽量であり、いざというときのためにちょっとした場所にしまって気軽に取り出せます。
鉄板入りで意外と打ちやすいキー
キーボードの構造は一般的なノートPCのキーボードと同じパンタグラフ式です。
ストロークはノートPCよりも浅く感じますが、これは薄さを重視するためなのでしょう。
しかしながら、キートップの下には鉄板が内蔵されており、強くキーを打ってもたわむことなくしっかりとした打ち心地を実現しています。
このためか長時間キーを打っても意外と快適で、この記事もTK-FCP096WHで作成中です。
マルチファンクションキーが地味に便利
ファンクションキーは「マルチファンクションキー」と名付けられており、ボリューム調整や音楽などの再生制御ができます。
わざわざマウスで操作しなくてよいのは便利です。
便利なキーボード、だけどいろいろとあと一歩惜しい!
このように「TK-FCP096WH」はMacとWindows PCを両方使うユーザーにとって魅力的な予備キーボードなのですが、なぜそうした?と開発者に聞きたくなるような仕様がいくつもあります。
これらがあるせいであと一歩惜しいといわざるを得ません。
Macモードにしてもcommandとoptionが逆
上で紹介した写真を見て鋭い人は気づいたかもしれませんが、このキーボード、なぜかMacモードにしてもcommandキーとoptionキーが逆のままです。
Windows PC向けのキーボードをMacに接続すると、Windowsキーがcommandキーとして、Altキーがoptionキーとして認識されるため、おそらくコスト削減のために入れ替え機能を実装しなかったのでしょう。
キーの種類としてはそろっているので問題ないのですが、せっかくMacモードがあるならここも入れ替えてほしかったです。
macOSの標準機能で入れ替え可能なので確かに問題はないのですが、ちょっと残念な仕様に感じられます。
切り替えキーの割り当てが感覚と逆
こちらも記事を読んでいてすでに違和感を覚えた方もいるかもしれませんが、Mac/Winモードの切り替えに割り当てられたキーが感覚と逆です。
MacがFn + W、WindowsがFn + Qとなっていますが、WindowsはFn + Wが自然ではないでしょうか。
Macについても、Qのほうが日本語の語感的にあっている気がします。
ユーザー数の多いWindowsを左側に置きたかったのかもしれませんが、デフォルトがWindowsモードなのですからよく使うのはMacへの切り替えキーでしょうし、なぜこのキー割り当てにしたのか筆者には想像がつきません。
Mac/Winモードが記憶されない
このキーボードはMac/Winモードに切り替え可能なのですが、前回の設定を覚えておくことができません。
このため、PCの電源を落としたり、USBポートからキーボードを抜いたりするとデフォルトであるWinモードに戻ってしまいます。
できれば設定を保存可能にするか、デフォルトでどちらかを選択可能であればよいと思いました。
薄さ重視なのにチルトつき
このキーボードは薄さが売りなのですが、なぜか底面にキーボードの奥側をチルトするための出っ張りがあります。
この出っ張りがなければもっと薄くできたのでは、と思いました。
別途折りたたみ可能な足をつけてチルトを実現すると、追加部品によりコストが上がるのでこの仕様になったのかもしれません。
Mac/Win両用予備キーボードとしては優秀、1台持っておいて損はない
いろいろと不満点も書きましたが、エレコムの「TK-FCP096WH」は予備キーボードとして非常に優秀です。
いざというときに頼りになる有線式であるのに加え、Mac/Win両対応で両方を使っているユーザーにとって予備キーボードが1台で済むという利点があります。
キーボードとしても鉄板入りでたわみづらいため打ちやすく、メインのキーボードが壊れたときでも十分作業に利用できるでしょう。
ただ、上で挙げた「あと一歩惜しい」ポイントが返す返すも残念です。
次期製品ではぜひこれらのポイントが改善されることを期待したいと思います。
Source: エレコム
(ハウザー)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-483730/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania