<プロが教える超初心者からの釣りデビュー講座>
釣りをまったくしたことのない入門者向けの当連載は、今回で第2回目。前回は、用意する道具がシンプルかつ身近な堤防で楽しめるアジのルアーフィッシング“アジング”に必要なアイテムを紹介したが、今回はいよいよ実践編。
アジングでは、オモリの付いたハリの「ジグヘッド」にソフトプラスチック製の「ソフトルアー」をセットした仕掛け「ジグヘッドリグ」(リグとは仕掛けのこと)が基本。その仕掛けの作り方やルアーの投げ方を説明していく。
ジグヘッドリグは、ソフトルアーのセットの仕方次第で水中での動きが良くも悪くもなり釣果に大きく影響するため、地味な作業だが丁寧にセッティングするのが大事。
また、リールを巻いてルアーを泳がせながら魚を誘うルアーフィッシングは、他の釣りに比べて投げる回数が圧倒的に多い。キャスト(ルアーを投げる)の飛距離や正確性は、釣果に直結する重要な要素だ。
キャストは慣れが必要だが、アジングでは軽いタックル(竿とリール)とルアーを使うため、コツをつかむのは比較的簡単。アジは足元にもいるため、遠投しなくても釣れる可能性は十分にあるので、楽しみながら上達していこう。
ソフトルアーのセットとキャストはアジングの基礎だが、これができればアジは釣れたも同然なので、しっかりとマスターしておこう。
■ルアーを付けるための3ステップ
アジングはルアーフィッシングのため、本物のエサは使わない。生きているイソメにハリを刺す必要がないので、虫が苦手な人でも気軽に楽しめる。
エサの代わりに使うのが、ソフトプラスチック製のソフトルアー。これをジグヘッドにセットしたジグヘッドリグが、アジングの基本ルアーとなる。
ジグヘッドにソフトルアーをセットする際、ウネウネと曲がってしまったりジグヘッドのオモリ部分まで到達していなかったりすると、ルアーの動きが悪くなりアジが釣れなくなってしまうため、まっすぐに刺すのが大事。
まっすぐ刺すためには、以下の2点が重要。
・事前にハリを出す位置を想定する
・ソフトルアーの中心にハリを通す
これらに注意すれば、何回か練習するだけで誰でもキレイに刺せるはずだ。
より詳しくセット時のコツやポイントを説明するので、参考にして欲しい。
[ステップ1]ハリを抜く位置の目安をつける
まずはソフトルアーとジグヘッドを重ね、ハリを出すところの目安をつける。
ハリ先をソフトルアーの中心に刺していく。
[ステップ2]ソフトルアーの中心にハリを通す
ソフトルアーの中心にハリが通るようにゆっくりと刺していく。この時、ハリを動かすというよりも、ソフトルアーを押し進めるほうが刺しやすい。
[ステップ3]最後にハリを抜いてソフトルアーがまっすぐになれば完成
目安をつけた位置にハリ先が到達したらハリを抜き、ソフトルアーをジグヘッドのオモリ部分に密着させれば完成。
ソフトルアーの中心にハリが通り、適切な位置でハリ先を抜けば、必ずまっすぐセットできる。
■ルアーフィッシングの要はキャスティング
釣りをしたことのない人は、魚が釣れるまでは退屈だと思っている人もいるが、ルアーフィッシングで退屈な時間は一切ない。
というのも、ルアーを水流でアクションさせるためにリトリーブ(リールを巻くこと)とキャストを繰り返すからだ。
そのため、他の釣りに比べてキャストの回数は多く、キャスティング(ルアーを投げること)の出来が釣果に結び付きやすいのがルアーフィッシングの特徴でもある。
そこで、基本となる投げ方の“オーバーヘッドキャスト”をマスターして、ルアーを自在に投げられるようにしよう。
■キャスト前のポイント
スムーズにキャスティングができるよう、まずはロッドの持ち方やリールの扱い方を説明する。
ロッドは利き手の中指と薬指の間にリールを挟むようにして持ち、ルアーがロッドの先端から30cm程度になるようリールを巻いて長さを調節する。
この時ハンドルで巻くのではなく、リールのローター(ハンドルを巻いた時に回転する部分)を直接手で回したほうが微調整しやすい。
また、リールのラインローラー(巻く時に糸が当たるところ)をロッド側にすると、糸が指から近くなるため、つかみやすくなる。
ロッドを持っている手の人差し指で糸をつかんでから、リールのベールアーム(ローターにつながる半円状で金属性の部品名。ベールと呼ばれることも多い)を開ける。開けると糸が出ていく状態になり、戻すと糸が巻ける状態になる。
■キャストの方法
キャストは慣れが必要だが、要点は至ってシンプル。
ルアーの投げ方とコツを説明する。
糸を人差し指に掛けてベールを開ければ、キャストの準備はOK。
コツは糸を人差し指の先端に軽く引っ掛けるようにすること。関節に掛けると、キャスト時に糸を離すタイミングが難しくなるのでNG。
ロッドの持ち方は、右利きの場合は左手でロッドエンド(竿の一番下)を持ち、周囲の安全を確かめてから後ろに振りかぶる。
この時、動きがゆっくりすぎると垂らしたルアーがロッドに絡んでしまうため、遠心力でルアーがロッドから離れる程度のスピードで振りかぶること。
テイクバック(ロッドを後ろに振り上げる動作)からの一連の流れで右手を前方に伸ばし、上の写真のように投げる人が真横から見た際に左向きの場合、ロッドが時計の11時くらいの角度になったら糸を離す。
右手を伸ばすと同時に左手を引くと、テコの原理で小さな力でキャストできる。
力まずに、右手のスナップで投げるイメージ。
ルアーの弾道は、30~45度あたりになるのが理想。無風の時には最も飛距離の出る45度が良く、風がある時は角度の小さいライナー気味で投げると、余分な糸が出にくく、その後のリトリーブ(リールを巻くこと)がスムーズに行える。
ルアーが飛んでいる時はロッドをルアーの方に向けると、糸がロッドのガイド(糸が通る穴)に当たる抵抗が少なくなり、飛距離が伸びる。
ルアーが着水したら、すぐにベールを戻すのが基本。特に風の強い時には、ベールを戻さないと着水後に糸が余分に出てしまうので注意。
* * *
ソフトルアーがキレイにセットできてキャストも決まれば、アジをキャッチするのはもう目の前。
次回は、どのようにルアーを動かしてアジを誘うのかを解説するので、お楽しみに。
<文/渡邉長士 写真/須田俊哉>
渡邉長士|1981年生まれ、千葉県出身。地元の房総半島を中心に旬なターゲットを狙うプロ釣り師。海のルアーフィッシングが得意。アジをルアーで釣る“アジング”を提唱したパイオニアで、全国にブームを広めた1人。釣り具メーカー「ダイワ」「オーナーばり」と契約し、数々のアジング製品の監修、プロデュースやテレビ、雑誌などで釣りの楽しさを発信している
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/469554/
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