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SNSで求められる「心理的安全性」とは? “素直な意見”が言える空間づくりに必要なこと

SNS内での誹謗中傷が注視されている近年。そんな中で、誹謗中傷を恐れて「素直な意見が言えない」という人は少なくないといいます。

ユーザーが安心して発言するためには、どんな対策が必要なのでしょうか。TieUps株式会社の宇都彩香氏に、現在SNSで必要とされている「心理的安全性」について寄稿していただきました。

最近よく見る「心理的安全性」とは

近年、たびたび見かける「心理的安全性」というキーワード。心理的安全性とは、1999年に組織行動学の研究者・エイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念です。

同氏の論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」で登場した心理学用語「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」を訳した言葉で、「チームメンバーが自分の発言を拒絶、罰したりしないと確信することができる状態」と定義されています。

なお、心理的安全性という言葉が広がったのは、Googleが行った“効果的なチーム”についての研究プロジェクト「Project Aristotle(プロジェクトアリストテレス)」がきっかけだと言われています。

同プロジェクトの調査結果で、優秀なチームには心理的安全性が重要であることが判明し、それを2016年にThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が報道したことから、世間に認知されるようになりました。

プロジェクトアリストテレスでは、Googleで働くチームが「どこでつまずき」「どんな理由で急成長したのか」を調査。2015年には、自社の情報サイト「re:Work」にて、研究結果である「成功するチームを作るための“5つの鍵”」を発表しました。

心理的安全性・相互信頼・構造と明確さ・仕事の意味・インパクトなど、5つの鍵の中でも圧倒的に重要なのが心理的安全性だといいます。心理的安全性の高いチームのメンバーは離職率が低く、収益性が高いとのこと。また、ほかのチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用できるほか、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が2倍多いという特徴があるようです。

つまり、心理的安全性の高いチームでは、生産性の向上だけではなく、メンバーが長く安定的に働ける環境の構築といった、いい作用が生まれると考えられます。

 

参考記事(英文):The New York Times

上記を元にした和訳解説記事はこちら

SNSでなぜ「心理的安全性」が必要なのか

インターネットの普及により、私たちはSNSを通して世界中の人々と交流できるようになったものの、残念ながらSNSの誹謗中傷をきっかけとしたトラブルや悲しいニュースは後を絶ちません。

ただ、近年は国内・国外において誹謗中傷への対策が進んでおり、SNSの心理的安全性が確保されつつあります。たとえば英語圏では、TikTokやTwitterで動画やツイートを投稿する前にAIが投稿内容を確認し、誹謗中傷と判断した場合に「本当に投稿していいですか?」とアラートを出すといった、誹謗中傷の対策を実施しています。

また、最近日本で使えるようになったTwitterの「コミュニティ機能」でも誹謗中傷の対策が行われています。コミュニティ機能は、フォロワー全員ではなく、コミュニティに参加しているメンバーだけに向けてツイートできる機能です。

コミュニティ作成時は、コミュニティ専用のルールを設定することが可能で、参加希望者はルールに同意をしないと参加できない仕組みとなっています。

また、Twitter側がコミュニティの安全を保つために「問題が生じる可能性のあるコミュニティを事前に特定する方法」「新しい報告フロー」を開発するといった取り組みを行うようです(Twitter公式ブログ)。

このようなコミュニティ内ルールの整備や誹謗中傷対策により、トラブル防止のほか、“自分の発言が否定されない”という共通認識が生まれ、誹謗中傷を恐れて控えられていた「素直な意見」の増加が期待できます。

コミュニティの参加者には「コミュニケーションの質の向上」「居心地がよくなる」「長期的なコミュニティ活動が期待できる」などのメリットがあります。

そのほか、企業が商業用コミュニティを作成し、顧客から率直な意見や感想を得るといった使い方ができそうです。

通常のSNSとは違った新しいコミュニティ設計

ここまで他社SNSについて紹介してきましたが、現在当社はSNSを制作中で、年内にはコミュニティカスタマイズSNS「WeClip」のiOSアプリをリリースする予定です。

WeClipは、誰もがコミュニティを作成できるSNS。タップやスワイプで投稿、チャット、アルバムやバナーなど、ウィジェットを選択して自由にデザインできます。数名の個人利用から大人数のビジネス利用まで幅広い利用を想定しています。

WeClipには通常SNSにある2つのものが存在しません。1つ目は「個人フォロー」です。WeClipはコミュニティ自体をフォローする仕様なので、個人にフォロワーがつきません。

従来のSNSでは同じ発言をしても、よりフォロワーの多いアカウントへのリアクションが大きいといった、フォロワー数によって発言力や影響力に差がつきやすくなる傾向がありました。

「フォロワー数=自身のレベル」という認識が定着している中、WeClipでは個人フォローをなくして個人のフォロワー数を表示しないようにすることで、途中からコミュニティに参加する人が発言しやすい環境を作ります。

2つ目は「DM」です。誹謗中傷やトラブルはDMがきっかけになることが多いため、WeClipでは個人間のメッセージ送信機能をなくしています。

また、複数のコミュニティ管理者が公開スペースで投稿を削除したり、不適切な発言をするユーザーをコミュニティから退出させたりするなど、ユーザー同士でコミュニティを守れる仕組みを用意。もちろん、スタッフによるパトロールは随時行います。

日本発のSNSからユーザーを世界へ

日本で使われている主要なSNSはすべて海外発のサービスで、InstagramやTwitterと並ぶ日本発のSNSはまだありません。

世界に存在する数ある言語の中でも日本語の利用率は低く、こうした“言語の壁”により活躍が日本国内に限られるインフルエンサーやアーティストは多いようです。

そんな中、WeClipよりも先に海外展開を果たしたプロフィール作成ツール「lit.link」では海外からのアクセスが増えています。現在、月間8,000万PVのうち、20%の1,600万PVが海外からのアクセスです。

今後、当社はWeClipを海外へ展開し、日本にいるインフルエンサーやアーティストが世界で活躍するための支援を行うサービスを目指します。

 

<著者プロフィール>

宇都彩香
TieUps株式会社 PR/HR Manager

2016年EdTechベンチャー広報、2019年上場企業IR担当を経て、2021年よりTieUpsに入社。同年、PR/HR Managerに就任。

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