グーグル初のスマートウォッチ「Google Pixel Watch」が10月13日に発売されました。Googleの各種サービスとの連携性に優れ、Fitbitのヘルスケア機能も搭載。さらに、Suicaを使えることでも注目を集めています。
価格は、スマホと接続させた状態で使うWi-Fiモデルが3万9800円、スマホから離れても通話・通信ができる4G LTEモデルが4万7800円。筆者は4G LTEモデルを使っていますが、使い心地はかなり気に入っています。Androidスマホのユーザーで、これからスマートウォッチを使ってみたいと考えている人には非常に魅力的な選択肢になりそうです。その理由は…。
【理由1】腕時計としてちょうどいいサイズ感
Google Pixel Watchは腕時計としてベーシックな円形。文字盤の直径は41mmで、大きすぎず、小さすぎず、多くの人に合うサイズと言えるでしょう。
文字盤のエッジは曲面で、全体的に丸いドーム型といった印象。画面の背景色は黒で、画面縁も黒なので、ベゼルレスのようにも見えます。文字盤のデザインは変更でき、デザインによっては、時計というよりも、未来感のあるデジタルツールといった趣きも感じられます。
ケースには80%をリサイクルしたステンレスを使用。色は3色から選べます。購入時に付いているバンドは、フルオロエラストマー製の「アクティブ バンド」というもの。フルオロエラストマーはシリコンに似ていますが、耐熱性や耐油性に優れ、Apple Watchのスポーツバンドにも用いられている素材です。S・Lの2サイズのバンドが同梱されているので、誰の腕にもフィットするはずです。
バンドはケースの溝にピッタリ合うようにはめて、少し回すように動かすとカチッと固定される仕組み。なので付け替えは容易。レザー製やステンレス製など、多彩なバンド(別売)も用意されています。
【理由2】初めての人でも直感的に操作できる!
OSはWearOS by Google(WearOS 3.5)で、Android 8.0以降を搭載するスマホに対応しています。iPhoneでは使えないので要注意。
スマホに「Google Pixel Watch」アプリをインストールして、Bluetoothをオンにすれば、Pixel Watchを近づけるだけでペアリングに導かれます。あとは、画面の案内に従って初期設定ができ、同アプリで、いつでも設定を変更できます。
ケースの右側にリューズがあり、押して画面を点灯したり、アプリ一覧画面を表示したりできます。指先でクルクルと回して、画面のスクロール、音量や画面の明るさの調整もできます。
リューズの上にもボタンがあり、ここを押すと、最近使ったアプリ一覧が表示されます。このボタンはやや硬く、強めに押す必要がありますが、そんなに頻繁には使わないはずなので気にはならないでしょう。
ほとんどの操作は、スマホと同じように画面をタッチして行います。下方向にスワイプするとクイック設定、上方向にスワイプすると通知が表示。左右にスワイプして表示するタイルには、ユーザーが頻繁に確認する情報や、よく使う機能を設定できます。
文字盤のデザインを変えたり、タイルを設定したりという作業は、Pixel Watchだけでも行えますが、「Google Pixel Watch」アプリを使うと、よりスムーズに行えます。
【理由3】Fitbitのヘルスケア機能が使える!
Googleのアプリが使いやすいことも利点です。「Googleアシスタント」や「Googleマップ」「YouTube Music」などがプリインストールされていて、「Playストア」からWatchで使えるアプリをダウンロードして追加もできます。
スマートウォッチに欠かせないヘルスケア機能は「Fitbit」の機能が使えます。Fitbitはスマートウォッチが普及する前から、健康管理に役立つウエアラブルデバイスを開発・製造しているメーカーですが、現在はグーグルの傘下にあります。Pixel Watchでは、Fitbitと同じ機能をそのまま使えるわけです。
運動を記録する「Fitbit Exercise」は41種類のワークアウトの記録が可能。ランニング、ウォーク、サイクリングなど一般的なものから、インドアクライミング、カヌー、ヨガ、格闘技といったモードまで幅広く揃っています。モードを選択して、▶︎(スタート)をタップするだけで計測開始。運動を終えると、計測されたデータをPixel Watchの画面で確認でき、スマホの「Fitbit」アプリには、より詳細なデータが蓄積されます。
Pixel Watchには、心拍数センサー、血中酸素センサー、加速度計、高度計、ジャイロスコープなどが搭載されていて、運動中に自動でモニタリングされる仕組み。腕に着けたまま寝ると、睡眠をモニタリングして、睡眠の質を分析することもできます。
なお血中酸素センサーは、運動や睡眠のモニタリングに使われるようで、手動で血中酸素濃度を測定はできません。また「Fitbit 心電図」というアプリがプリインストールされていますが、日本では医療機器としての認可が取れていないとのことで使えません。それらを必要としないのであれば、機能としては十分と言えるでしょう。
【理由4】Suicaが使える!
Google Pixel Watchは「Google Pay」に対応し、キャッシュレス決済も利用できます。電子マネーは「Suica」が使えて、クレジットカードとデビットカードはVisaとMastercardのタッチ決済に対応しています。
「Suica」は、スマホの「Google Pay」で使えるようにしておけば、それをPixel Watchに同期させて使える仕組みです。つまり、スマホとPixel Watchのどちらでも使えるわけですが、チャージはスマホでしかできません。また、Suica定期券も使えません。それでも、バッグからスマホを取り出すことなく、リーダーにPixel Watchを近づけるだけでピッと決済を済ませられるのは便利。
なお、スマホの「Google Pay」では「PASMO」「nanaco」「楽天Edy」などの電子マネーが使えますが、Pixel Watchで使えるのは「Suica」のみで、その他の電子マネーは対応していません。
筆者はタッチ決済対応の三井住友カード(VISA)を持っているので、それもPixel Watchへの同期を試してみましたが、設定できませんでした。後でGoogle Payのヘルプページを参照すると、三井住友カードは「現在、スマートウォッチでのVISAタッチ決済はサポートしていません」と書かれていました。カードのタッチ決済を使いたい場合は、事前に調べておきましょう。
【理由5】スマホがなくても通話ができる!
Wi-Fiモデルと4G LTEモデルがあることは先述しましたが、4G LTEモデルでは、スマホと接続していない状態でもPixel Watch単体で通話・通信ができます。それには、通信事業者が提供するスマホと同じ番号が使えるプランへの加入が必要で、auの「ナンバーシェア」(月額385円)とソフトバンクの「ウェアラブルデバイスモバイル通信サービス」(月額385円)が対応しています。
筆者はauの「ナンバーシェア」に加入しました。同プランには「Google Pixel Watch」アプリの「モバイルネットワーク」から申し込むことができ、申し込みが完了するとすぐに使える状態になりました。おそらくソフトバンクの「ウェアラブルデバイスモバイル通信サービス」でも同じ手順だと思われます。
「ナンバーシェア」に加入した場合にPixel Watch単体で使えることが確認できたのは、「電話」「Googleアシスタント」「天気情報」「Google Pay」での決済、「YouTube Music」のストリーミング再生。Pixel WatchにはGPSが搭載されていますが、「Googleマップ」の利用にはスマホとの接続が求められました。
例えば、ランニングやウォーキングに出かける際に、スマホを持っていなくても、ワイヤレスイヤホンで「YouTube Music」の音楽を聴けて、かかってきた電話に応答でき、コンビニで「Suica」で買い物をできるわけです。ウォーキングならスマホを持ち歩いても、さほど邪魔はならないでしょうが、本気で走るランナーにとってはスマホを持たなくて済むことは大きなメリットになるでしょう。
普段運動をしない人にとっても、4G LTEモデルが重宝する場面はありそうです。外出時にスマホの電池が切れてしまっても、Pixel Watchの4G LTEモデルがあれば、大事な電話に出られます。家を出るときにスマホや財布を忘れても、4G LTEモデルがあれば、電話で連絡が取れて、Suicaで電車に乗れたり、買い物ができたりするので安心です。
■強いて不満点を挙げるとすれば…
Google Pixel Watchは、スマートウォッチに欠かせないと思われる機能は、ほぼ漏れなく備えています。Android向けのウォッチでは、まだ決済サービスに対応している機種は少ないので、それも大きなメリットと言えるでしょう。
筆者が唯一、気になったのは電池持ち。Pixel Watchのバッテリー駆動時間は最大24時間。Apple Watch(主要モデルのバッテリー駆動時間は最大18時間)よりは長いのですが、それでも充電は毎日しなければなりません。
Androidスマホで使えるスマートウォッチの中には、より長い時間使える機種があります。電池が2週間以上持つことをアピールしているモデルもあります。電池持ちを重視する人は、他のモデルも検討することをおすすめします。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/486502/
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