高価格帯(3万円以上)と低価格帯(5000円以下)の二極化が顕著な昨今の完全ワイヤレスイヤホン市場。いまやイヤホンは、音楽を聴くためのデバイスとしてだけでなく、オンライン会議や動画視聴、ゲームなど、使用シーンは広がり続けています。また新規参入ブランドも増加し、何を基準にどう選べばいいのか難しい状況です。そこで、オーディオビジュアルライターの折原一也さんに、高価格だからこそ失敗したくない3万円以上のハイエンドモデルから、機能と音質それぞれの目的別おすすめイヤホンをピックアップしてもらいました。[音質編はこちら]
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2022年秋も注目機種の発売が相次いた完全ワイヤレスイヤホン。アップル、Bose、ソニー、テクニクス、オーディオテクニカ、ゼンハイザーetc.と著名メーカーがハイエンド製品を投入する3万円クラスは今年注目の激戦クラス。そこで、実際にテストしたモデルの中から、注目の機能5ジャンルそれぞれで、本気の最強モデルをピックアップしました。
■ノイズキャンセル重視なら?
完全ワイヤレス市場で注目度の高い機能が、音楽リスニング時に周囲の騒音を低減してくれる「ノイズキャンセル」。各社とも独自技術を競うなかで性能トップに選出するのは、Boseが9月29日に発売した最新モデル「QuietComfort Earbuds II」です。
世界で初めてノイズキャンセル製品を実用化したことでも知られるBose。最新モデルである「QuietComfort Earbuds II」は、公式サイトでも“世界最高のノイズキャンセリング”と謳っていますが、ライバル機種を持ち出して比較してもその性能はホンモノ。
装着時に耳の中を測定して個人最適化する“CustomTuneテクノロジー”で、街中でも周囲の音がほとんど気にならないレベルの強烈な騒音低減を実現。走行中の電車内でも全ての騒音が下がります。そしておもしろいのが、イヤホンの装着感がソフトで、ノイズキャンセルによる違和感も小さいこと。効果の強力さ、自然さ、どちらを取ってノイズキャンセル重視ならBoseがトップです。
■外音取り込み重視なら?
イヤホンを装着したまま周囲の音を聞ける外音取り込み機能。ノイズキャンセルとセットで語られる外音取り込みはメーカーによって自然さや音質に違いがあるのですが、その中でもトップに選出はアップルが9月23日に発売した「AirPods Pro(第2世代)」。
装着して屋外を出歩いてみたり、屋内でそのままテレビを見てみたりしてみて思ったのが、「AirPods Pro(第2世代)」の外音取り込みは本当に究極レベルだということ。強調感もなく周囲の音が聞こえてきて、まるでイヤホンを着けていないような自然さです。
先代の「AirPods Pro」も外音取り込み性能は業界トップと言われていましたが、周囲の音の聞こえ方の自然さ具合はさらにアップしています。外音取り込み機能ってノイズキャンセル技術とも関連が深くて、アップルシリコンのH2チップやノイズキャンセル用マイク搭載などのおかげでしょうね。
■通話性能重視なら?
スマホに接続しての通話はもちろん、オンライン会議の普及もあり、活用する機会が増えた完全ワイヤレスイヤホンのマイク。ここでもトップに立つのはアップルの「AirPods Pro(第2世代)」でした。
実際にオンライン会議でマイク音声を確認してみると、声をハッキリと明瞭に拾っているのがわかります。もうこの時点で、圧倒的なまでのマイク音質の良さを痛感するレベルです。また騒音下で通話をしていても、自分の声をしっかり拾ってくれます。
発売時には通話マイクの性能は大きく語られませんでしたが、実はアップルのAirPodsシリーズって、歴代モデルすべて通話マイク性能が優秀なんです。中でもこの「AirPods Pro(第2世代)」は、アップルシリコンのH2チップやノイズキャンセルと併用可能なマイクと合わせて、トップ性能に磨きをかけているんでしょうね。
■サラウンド機能重視なら?
スマホでは、音楽を聴くだけでなく、Netflix、プライム・ビデオ、DisneyPlus、そしてAppleTV+と動画サブスクを視聴することもありますよね。そんな用途に最も向いている完全ワイヤレスイヤホンは…ここでも「AirPods Pro(第2世代)」がトップ。サラウンドについては、「AirPods Pro(第2世代)」ではアップルによる空間オーディオの機能が使えることもあり、そもそも技術面から別モノです。
AppleTV+、Netflix、プライム・ビデオ、DisneyPlusといった動画サブスクにアプリからアクセスすれば、Dolby Atmosなどの立体音響サラウンド音源をストリーミングして、空間オーディオとして再生できます。映像作品の空間に飛び込んだようなサラウンド効果は素晴らしく、ハッキリと顔の前に人の声が聞こえるし、効果音は横も後ろも自由自在。さらに「AirPods Pro(第2世代)」ではカメラで耳を測定する、パーソナライズされた空間オーディオまで利用可能です。
サラウンド体験はあまりに素晴らしいので、iPhoneやiPadなどで映像エンタメを楽しむ目的で「AirPods Pro(第2世代)」を買ってもいいくらいオススメです。
■連続再生時間重視なら?
完全ワイヤレスイヤホンにおける機能って、細々とした部分だけじゃないですよね。長時間音楽を聴ける連続再生時間=バッテリー性能だって機能としては重要です。そこで選出したモデルが、2022年8月に発売されたNoble Audio「FoKus H-ANC」。マニア向けの完全ワイヤレスイヤホンで知られるNoble Audioが、まさかの利便性の高さで選出です。
イヤホン単体による連続再生時間はANCオン時で約8.5時間、ANCオフ時で約13時間。充電ケースでのチャージは2.5回可能となっているので、合計再生時間はANCオン時で約21.25時間、ANCオフ時で約32.5時間になる計算。Boseとアップルは本体のみで約6時間再生なのと比べると、バッテリーの持ちは安心感があります。こうして考えると、3万円クラスって意外と連続再生時間が短い機種が多いんだなと改めて思いますね。
>> 音質編はこちら
<取材・文/折原一也>
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- Original:https://www.goodspress.jp/columns/487338/
- Source:&GP
- Author:&GP