2021年の総広告費は6兆7998億円(前年比110.4%、電通「2021年日本の広告費」より)と、前年から継続して新型コロナウイルス流行の影響は受けたものの、東京2020オリンピック・パラリンピックの影響もあり、多くの広告媒体で回復基調となりました。
中でも特に、オンライン広告については、はじめてマスコミ4媒体の広告費を抜き、大きく成長しています。
今回は、広告プラットフォームを展開する株式会社ビズパでメディアプランナーを務める加藤誠也氏に、オンライン広告全盛の時代にオフライン広告を出す意味についてご寄稿いただきました。
オフライン広告はなくなるのか?
オフライン広告は、街中の看板広告や駅広告、電車広告や雑誌広告などの「インターネットを介さない広告」です。
ネット広告が急速な成長を見せる中、オフライン広告の成長は、媒体ごとに差はあるものの、全体としてはやや下降気味です。さまざまな要因が考えられますが、ネット広告に比べて「少額での取り組みが行いにくい」ことや「効果計測が難しい」ことが大きな要因として挙げられるでしょう。
それでは「オフライン広告はこのままなくなっていってしまうのか」というと、私はそう考えてはいません。
ネット広告には「媒体データを活用したターゲットの設定が可能」「予算に合わせて柔軟に出稿調整が可能なため安価に始めることが可能」「配信データを取得できるため効果測定がしやすい」といったメリットがあります。
反響に合わせて予算を調整できる分、まずはネット広告で施策をスタートする企業が多い印象があります。
ただ、基本的にネット広告は、ユーザーのネット上での動きに基づいたターゲティングやセグメントがメインのため、“すでにその商品・サービスに興味がある”人に対しては効率的にリーチすることが可能です。
しかし、その商品自体をまったく知らない人に対しては、なかなかリーチが難しい一面もあります。
一方、オフライン広告のメリットとしては「広告の露出が保証されている」「知名度、企業イメージの向上につながりやすい」「エリアターゲティングがしやすい」などが挙げられます。
ネット広告と比較して、費用の額が若干高い傾向にあるので、初期の段階で積極に取り組む企業は少ないかもしれません。
ただ、今までまったく知らなかった人に対して商品・サービスを知ってもらう意味では非常に優れた一面を持ち合わせています。また、昨今はSNS内で“拡散”され、話題化することで結果的にリーチが広がった事例が多数みられるようになりました。
ネット広告、オフライン広告双方に異なるよさがあるため、これらを上手く組み合わせていくことが重要です。
最近では、比較的安価に開始でき、効果測定がしやすいネット広告から取り組みを開始して、もともと自社に興味関心が高そうなユーザーへ一定のリーチをした後、潜在層へのアプローチへのニーズや顧客獲得単価の上昇を懸念してオフライン広告を始めたいという相談が増えています。
話題になったオフライン広告事例
今回、これまで話題になったオフライン広告の事例を紹介するので、自社でオフライン広告出稿時を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
①ゲムトレ:「勉強ばかりしていないで、ゲームしなさい」
最初に紹介するのは、株式会社ゲムトレ(以下、ゲムトレ)が、香川県でゲーム条例が制定されたことをきっかけに実施したオフライン広告。
「ゲームは障害ではなく、教育。子どもたちがゲームと正しく向き合い、学ぶ機会を提供したい」という同社の想いから、2021年10月に香川新聞へ新聞広告を出稿しました。
このとき、投稿したゲムトレ代表の小幡氏のTwitterへは3万6,400いいねが付き、大きな話題となりました。
この広告が話題になったのは、広告内容の意外性です。おそらく多くの人が、この広告とは逆の「ゲームばかりしてないで、勉強しなさい」と幼少期に言われたことがあるのではないでしょうか。
ところが、この広告は、昔、大人から言われた言葉と真逆の言葉だったため、多くの人の印象に残り、話題になったものと考えられます。
その後、ゲムトレは2021年12月のクリスマスの時期に同じ内容の広告を新宿駅へ掲出。
②明治R-1:受験生応援広告
この広告は、Twitter上に集まった“受験生の親御さんの愛に溢れた応援メッセージ”をそのまま広告として展開するというもの。
角度によって見え方が変わるこの印刷技術自体は、お菓子のおまけにも使われており、決して珍しいものではありません。
ただ、行きと帰りで心持ちが大きく違う受験生に対して、それぞれのタイミングにフィットするようなメッセージが浮かび上がるように工夫された点が、多くの受験生の心に刺さり、話題を呼んだのでしょう。
東大前駅の明治R1の広告。
お世辞抜きでこの広告は凄い。明日までらしいので、広告に携わる人なら是非見に行って欲しい。見る角度によって見え方変わる素材になっていて、行きと帰りで見るメッセージがガラッと違う。同じ面なのに。
このアイデア思いついた人すげえな。 pic.twitter.com/BMi0mOYD6P
— 加藤誠也 広告マニア (@adbrex_) January 15, 2022
③Notion:世界同時8都市キャンペーン‐For your life’s work‐
このキャンペーンはサンフランシスコ、ニューヨーク、トロント、ロンドン、ダブリン、パリ、東京、ソウルで実施され、東京では東京駅、渋谷駅、羽田空港などのバス停や街中看板などに広告が掲出されました。
言葉で使用方法を説明するのではなく、調べものをしたり、タスク整理をしたりスケジュール管理をしたりと、多様な使用シーンを切り取って掲載することで、実際にNotionを使用するシーンを想起させるものでした。
また、街中の横断歩道から見える場所や、バス停などに広告を掲示し、人々が立ち止まっている少しの時間に、自然に目にするような工夫が見られたのも特徴の一つです。
以上の事例を見てみると、派手に大きな広告を出すことで効果を生み出しているように見えたかもしれません。確かに、広告を出すときに「どこに出すか」はとても重要な要素の一つです。
ただ、誰もが目につく場所に出せばいいのかというと、必ずしもそうではありません。
「広告を見てほしい人は誰で、その人たちはどんな行動をとっているか」「自社が伝えたいことは何なのか」「メッセージの受け取り手にどう感じてほしいか」をクリアにしたうえで、受け取り手の感情や過去の記憶、価値観などに寄り添うことが重要です。
とはいえ、どんな広告を出稿するか以前に、オフライン広告はそもそも媒体を探しにくい、価格が不明瞭といった印象を持っている人もいると思いますので、お困りの際には、ぜひ当社へお問い合わせいただきたいと思います。
ネット広告×オフライン広告で効果的な宣伝を
今後もオンライン広告市場の拡大は順調に推移していくものと思われます。
ただ、前述の通り、より大きな広告効果を得るためには、ネット広告のみに頼ることなく、オフライン広告と上手く組み合わせることが肝要です。
中にはオフライン広告は、効果測定が難しく敬遠してしまう企業がいるかもしれません。
ただ最近は、クリエイティブにキャンペーンコードを埋め込み、登録時や購買時のコード利用数を広告の効果指標としてカウントしたり、SNSのUGC(User Generated Contents)総数で効果計測をしたりと、効果を可視化する施策も増えてきています。
また、オフライン広告は、媒体の検索が難しい、価格が不明瞭、やり取りがアナログで不便といった側面があるかもしれませんが、当社のようなプラットフォームを活用すれば、そのブラックボックス化された側面も解消できると考えております。
オフライン広告プラットフォーム「BIZPA(ビズパ)」
①バラエティ豊富で小ロットの商品取り扱い
2万点以上の広告商品を掲載しており、フリーペーパー・看板・サイネージなど様々なジャンルから、自社のターゲットや時点に合った広告を検索できます。また、10万円以下の商品が7割以上となっており、スモールスタートが可能です。
②WEBでカンタン見積・発注
実施したいエリアや予算、ターゲットの年齢・性別などからもカンタンに検索可能です。商品情報はすべてWEBから確認でき、見本誌などもダウンロード可能かつ無料でWEBから見積もり・発注ができます。
③ダイレクトに媒体とのやり取りが可能
ビズパに掲載されている広告商品は、媒体社・メディア・総代理店が直接掲載しているものも多数あり、中間マージンが発生しないため、適正な価格での取引が可能です。
予算に応じた媒体の絞込はもちろん、「富裕層」「シニア」などのキーワードから検索を行ったり、地図上から狙いたいエリアに絞り込んで探したりすることも可能です。
気になった媒体があれば、ページ上からすぐに問い合わせや見積依頼もできるので、効率的に広告施策を検討できます。
ご自身でマッチした広告媒体を探すことも可能ですが、経験があまりない企業の担当者の方に対しては「メディアプランサポート(お問い合わせ)」を準備しています。
広告に関する困りごとから広告プランの提案に至るまで、ビズパ担当者がメールやオンラインで対応が可能です(相談は全て無料)。
とりわけ、相談者は「広告自体が初めて」「WEB広告はガンガン実施しているけど、オフライン広告の知見はまったくない」といった方が多いです。
最近ですと下記のような相談を頂きました。
- ターゲットが集まる展示会を狙って、会場までの導線上に広告を展開したい
- 士業向けにアプローチできる手段を教えてほしい
- すでにあるチラシを活用できる、シニア層に対して効果的な広告手段を教えてほしい
- 渋谷駅周辺でSNSでの拡散が期待できる広告面を教えてほしい
特に、スタートアップや50名以下のベンチャー企業様には多くの相談・依頼をいただいた実績があります。当社の経験豊富なプランナーが他社様の事例や豊富な媒体を紹介しながら、広告施策を全面サポートするので、お気軽にお申し付けください。
広告は、お客様とサービス・企業をつなぐ接点となり、企業の成長をドライブさせるカンフル剤にもなります。
広告予算が多い企業だけでなく、どんな事業規模の企業であっても、ネット上か否かに関係なく、自社に最適な広告出稿ができれば、広告業界はまだまだ成長の可能性を秘めていると思います。
そして多くの中小・スタートアップの成長も後押ししてくれるはずです。誰もが自社に最適な広告を迷うことなく実施できる世界を目指して、当社も努力してまいります。
<著者プロフィール>
加藤誠也
株式会社ビズパ
メディアプランナー2019年に株式会社ビズパへ創業メンバーとして入社。主に、広告を検討している企業へのメディアプランニングを担当。TBS「日曜日の初耳学」などテレビ番組への出演、メディア寄稿も多数。Twitter:@adbrex_
- Original:https://techable.jp/archives/186354
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部