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Uボートを翻弄する“吠える大西洋”をスタイロフォームで製作【達人のプラモ術<Uボート>】

【達人のプラモ術】
レベル
1/144 Uボート
(映画『Das Boot』40周年記念ムービーセット)

03/05

ドイツ映画『Das Boot』公開40周年として今年春に発売された『Das Boot 40周年ムービーセット』で、劇中に登場するU-96の製作を進めていますが、今回はウエザリング塗装で船体の錆を再現。そしてボックスアートにも描かれている嵐の中で大波に翻弄されるU-96のジオラマを製作していきます。(全5回の3回目/1回目2回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■船体のウエザリング

艦船模型としてはパーツ数が少ないレベル社の1/144 Uボートですが、エッチングパーツ等のディテールアップを使用しなくても完成度が高いモデルなので、ストレートに製作してウエザリング塗装を施すことでリアルなUボートを仕上げられます。

ウエザリングは、航海で錆びた船体を再現。実際当事のUボートの写真を見ると、航海の後では船体が激しく汚れて錆びている様子が確認できます。作例では、タミヤのスミ入れ塗料『ブラン』で船体をウォッシング(薄めたエナメル塗料を船体全体に塗布、ウエスや綿棒で拭き取ることで汚れや錆を再現する技法)することで、錆びた質感を再現。さらにリアルタッチマーカー(ブラウン)を使い、凸モールドに沿って色を入れていくことで、溶接のラインを際立たせています。

【Before】

▲グレー2色で塗装下船体。ウエザリングを施していない状態

【After】

▲スミ入れ塗料とリアルタッチマーカーを使用して錆や汚れといった質感を再現した船体

 

▲ウエザリングを施す前に、U-96の艦橋に描かれた笑うノコギリ鮫のデカールを貼る

▲船体全体にタミヤスミ入れ塗料のブラウンを使いウォッシングを入れる。スミ入れ塗料は、攪拌しないで上澄みを使うのがコツだ。綿棒やウエスを使い、汚れや水垢の流れる方向などを意識しながらスミ入れ塗料を拭き取っていく

▲甲板と船体各部に設けられている注排水スリット部分には黒のスミ入れ塗料を使用して奥行きを再現

▲船体の溶接ラインのモールドをリアルタッチマーカー(ブラウン)で塗装

▲綿棒でグラデーションを付けながら陰影を強調する

▲注排水スリットはマーカーを使い、錆が流れた跡を描いていく

▲ウエザリング塗装が完了した船体

▲時には1カ月以上にもなる航海から帰投したUボート。船体がかなり激しく錆ついているのが分かる

 

■嵐の大西洋をスタイロフォームで再現!

今回は嵐の海の中のUボートをジオラマで再現します。海面ベースは、スタイロフォーム(本来は断熱素材だが、ジオラマでも使用する密度の高い発砲素材。ホームセンター等で販売している)を船体が収まるようにカット。そこに切り出したスタイロフォームを貼り付け、うねり波を作っていきます。

▲船体が細く排水量が少ないUボートは、大西洋の荒れた海での作戦はかなり厳しかった。荒天時には大波に翻弄されながらの見張りも命懸けだし、何日も続く嵐では時に45度以上も傾く船内で乗組員が疲弊してしまうため潜航して嵐を避けることもあった

▲荒波の中、大波に翻弄され、傾き艦首が持ち上がった状態のUボートをイメージして製作した荒れた海のベース

前回でも書いたが、舵とスクリューは水面下で見えなくなるので取り付けていない

海面の再現はアクリル絵の具の下地剤「モデリングペースト」を使用します。ジオラマ製作では良く使われるテクスチャーで、粘度の高いペーストで、薄く延ばす、また盛り上げることもでき、乾燥後に削るなどの加工も可能な素材です。これをスタイロフォームで製作したベースに塗布(ケーキにクリームを盛り付けていく感じw)していきます。

まずは船体を取り付けていない状態で海面を再現します。この際に筆で波の方向やうねりを意識しながらモデリングペーストの表面に凹凸を付けていくのがポイントです。モデリングペーストの乾燥には最低でも24時間必要となります。

▲モデリングペーストをスタイロフォームの表面に塗る

▲というよりも盛りつけていく

▲盛り上げたモデリングペーストに筆で波の凹凸を描いていく

▲油彩用の、毛先の腰が強い筆を使うと良い

▲ベースの下塗りに使用したターナー製「U-35アクリリックスモデリングペースト」。水溶性のペーストで粘度が高く、乾燥後は肉ヤセしにくく切削や研磨が可能な下地素材。ライトモデリングペーストは1/2の軽さで仕上げられる。「モデリングペースト」(500ml:1650円)、「ライトモデリングペースト」(500ml:1650円)

さてさて、モデリングペーストを盛り付けただけですが、ただのスチロールの塊が、波が荒れ狂う海に見えてくるから不思議なもんです。

ここに船体をはめ込んだ後、ヘビージェルメディウム(粘度が高く、モデリングペーストよりもさらに盛り上げるといった立体的な表現に適した樹脂メディウム。乾燥すると透明感と光沢感が増すので今回のような海の再現に適している)を使い、船体とベースの隙間を埋めて、さらに船体に降りかかる瀑布のような水を盛りつけていきます。ヘビージェルメディウムも乾燥に24時間以上おきます。

▲ジェルメディウムは粘度が高いので、筆に水を含ませながら作業を進める

▲船体と海面ベースの隙間をヘビージェルメディウムで埋めつつ、喫水線部分の艦舷に波のうねりを描いていく

▲船体に降りかかる大波、Uボートの船体を翻弄するうねりをヘビージェルメディウムで再現

▲まだ塗装していないが、チャンと嵐の海に見えるようになってきた

▲今回使用したのはターナーから発売されている「U-35ヘビージェルメディウム」(500ml:1650円)。水溶性のジェルメディウムで、粘度が高くエッジが立てるなど立体的な表現ができる。乾燥すると透明感と光沢感が増す(イメージ的には木工用ボンド)

仕上がった状態は、いやいや見事に海です、ちゃんと荒れた大西洋になりました、というわけで今回はここまで。次回は製作した海面を塗装することで、よりリアルな仕上げを目指します。お楽しみに!

 

■一度は行ってみたい!ドイツ・キールのUボート博物館

完全な状態で保存されたUボートがドイツのキールに博物館として現存、一般に公開されています。博物館とは言うもののキール郊外のラボーという海外線にドーンと置かれており、艦内の見学ができるようになっているそう。この艦はU-955として実戦に参加したタイプⅦC41で、1945年に英国に降伏後、ノルウェー海軍が使用していたものです。退役後に1965年に1ドイツマルク(!)という価格で西ドイツへ売却され、1971年10月にラーボエ海軍記念館(Laboe Naval Memorial)で博物館船となったそうです。

いやぁ現存するタイプⅦC型Uボート、潜水艦好きとしては、ぜひ見に行きたいです!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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