マウスピース矯正ブランド「Oh my teeth」を運営する株式会社Oh my teeth(以下、Oh my teeth)。同社では、歯科クリニックがマウスピース矯正のユーザーと共有できるカルテシステムの開発や、歯型を3Dスキャナーでスキャンし、3Dデータ化してユーザーと共有する診断などを行っています。
今回は、 Oh my teethのTech Lead(テックリード)である杉浦輝希氏に、Oh my teethの試みや、同社が目指すものについて解説いただきました。
テックカルチャーな社内
「未来の歯科体験」の実現のために日々活動しているOh my teethでは、代表取締役CEO西野がエンジニア出身ということもあり、エンジニアチームが使うようなツールや考え方が浸透しています。
例えば、エンジニアが所属するTechチームでは、1スプリント(ユーザーへ価値を提供するタイムボックス。1週間であれば1週間毎に新機能や改善がリリースされる)1週間のスクラム(ユーザーへ短期間で価値を提供し続けるための開発フレームワーク)が運営されています。しかし、これはTechチームに限ったことではありません。
セールスチームや歯科医師が所属するメディカルチーム、さらには広報担当までもがスクラムを運営し、日々の業務改善や新しいチャレンジをしており、ユーザーに最短距離で価値を提供できるような体制になっています。
また、Oh my teethでは導入クリニックのことをストアと呼んでいます。これは「Apple Storeのようにスタイリッシュな雰囲気を演出したい」「歯医者とは思えない近未来的な空間にしたい」というCEOの思いから来るものです。ストアから紙が消えた
一時期、Oh my teethでは紙のカルテを使っていました。歯医者であれば当たり前のように使っているであろうカルテ用紙は、歯科医師からしたらとても直感的に書ける優れものです。
一見便利な紙カルテですが、問題点はあります。例えば、情報を確認しづらい点です。
Oh my teethではリモートで参画しているドクターや、大阪ストアのドクターが表参道ストアのカルテを確認するなど「ドクターが担当ストア以外のストアのお手伝いをするケース」があります。
しかし、紙カルテではドクターがヘルプ先の情報を確認することができません。そして何よりも、紙カルテの情報はマウスピース矯正のユーザーに共有することができないのです。
「持っている情報は可能な限りユーザーに見せたい。でも紙カルテのような使いやすさはできるだけキープしたい」そんな難題を、私たちTechチームはiPadとApple Pencil、そして独自開発のカルテシステムを使って実現していきました。
市販されている歯科用の電子カルテシステムはいくつかありますが、自分たちの要望をすべて満たすものは自分たちで作るしかありません。また、多くの場合それが一番コストパフォーマンスが高いのです。こうして、Oh my teethのストアでは通常のユーザー対応業務においては紙を使うことがなくなりました。
歯型スキャン体験で取得したデータは
以前、TechableではOh my teeth 代表取締役CEO西野にインタビューしていただきました。
インタビューで触れたように、Oh my teethでは歯型を3Dスキャナーでスキャンして、すぐに3Dデータ化してユーザーに見せる診断を実施しています。
この診断では、ユーザーがストアで自分の歯型を見ることで、自分の歯並びや「虫歯がどこにあるか」などを知ることができます。
なお、Oh my teethではユーザーが帰った後に診断結果を確認する画面を送っています。
診断結果の画面では、歯型の3Dモデルを動かすことが可能で「自分の歯のどこに隙間があるのか」「咬み合わせがどうなっているのか」などをユーザー自身のスマホで確認できます。
矯正歯科において、3Dスキャナーを導入しているところではクリニック内で自分の歯型が確認できるところはそれなりにあると思います。ただ、3Dデータをユーザーのスマホで閲覧できるようにしているところはないでしょう。「見せられるデータは可能な限り渡す」という取り組みは、歯科を身近なものにするためにOh my teethが実践していることの1つです。
UX観点でのストア体験設計
UXという観点で、Oh my teethはクリエイティブファーム「THE GUILD」と連携しUX向上の取り組みを行っています。
参考:Oh my teeth、クリエイティブファーム「THE GUILD」と連携しマウスピース矯正中のユーザー体験をアップデート
Oh my teethが提供するUXの根幹となるものに「Oh!」と「サクッと」というものがあります。
圧倒的なユーザー体験を提供してユーザーに思わず「Oh!」と言わせることや、完全予約制にして待ち時間を0分にしてユーザーの拘束時間を極限まで抑えた結果生まれる「サクッと」。この2つを提供するために何ができるかをOh my teethは常に考えています。
UXというものは常にアップデートし続けていくものです。冒頭でも書いたとおり、Oh my teethでは全チームがスクラムを運営して毎週改善や新機能などをリリースしています。
このスピード感で改善していくことで、ほかの歯医者や競合サービスを追随させないUXを提供しています。
歯科業界を変える Oh my teeth
歯科業界のアナログなところをすべて変えて全く新しい歯医者になることを目指しているのがOh my teethです。
現在は矯正サービスに注力していますが、今後はあらゆる歯科体験においてもテクノロジーを最大限活用して「Oh!」と「サクッと」を提供していきます。
<著者プロフィール>
株式会社Oh my teeth Tech Lead
杉浦 輝希 / Sugiura Teruki中学時代からプログラミングにのめり込み、高校入学前からエンジニアになることを決意。母子家庭だったことから大学には行かず就職して働きながらエンジニアリングの勉強を続け、20歳でフリーランスエンジニアとしてスタートアップのテックリードやIT企業のSE業務を歴任。2021年からOh my teethにテックリードとして参画し、現在に至る。
- Original:https://techable.jp/archives/187394
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部